第69話 鍵
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慎吾のスピリチュアル事件簿 シーズン2
「アマデウスの謎」
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前回までのあらすじ
2008年。
リナ、そして父親の魁斗が、謎の組織に狙われた。
イギリス諜報機関に属するヒロは、リナを守るために命を落とす。さらに、リナの父親・魁斗も遺体で発見された。
2012年、女子大生となったリナの携帯に「妹を誘拐した」という電話が届く。
霊能力を持つ1つ下の後輩、慎吾を連れて実家へ戻ったリナ。誘拐犯は期限内に1億を差し出さなければ、雛子を殺すと宣言。
後藤と藤岡は4年越しで、再び羽鳥家の誘拐事件を担当する。
誘拐事件の翌日から、近辺では連続殺人事件が起こり始めた。
誘拐事件から5日目、犯人の代わりにリナの妹が身代金受け渡しの場所を指示する。リナはその夜、犯人から布田駅に来いというメッセージを受け取った。
慎吾と2人で、布田駅に向かうのだが・・・?
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第69話 鍵
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(誘拐犯が示したタイムリミット・・・12月19日24時)
2012年12月18日(火)、午後2時34分。布田駅。
北口周辺で警備にあたっている男・・・ 布田駅警備でのリーダーを務めるのは、警視庁から派遣された堂島秀夫。
2日前、兄の大悟を亡くしたばかりだ。
兄とは違って細身の秀夫。制服をピシッと着こなし、鋭い視線で警戒の目を光らせる。
ふとその視線が、一際光った。この場にいるはずのない男を捉えたからだ。
堂島「藤岡さん! どうしてここに!?」
銀縁眼鏡で白いコートをつけた藤岡が、布田駅北口に現れた。堂島の姿を確認した藤岡は、堂島の前まで小走りに駆け寄ってきた。
堂島「藤岡さん! 今日は待機命令が出てるでしょ!?
俺の兄貴は、それに背いて殺されたんですよ!?」
立ち止まった後、軽く深呼吸をして口を開く藤岡。
藤岡「わかってる。だが大事な情報を突きとめたんだ!
今、行われている連続殺人事件。その犯人の情報をな・・・」
堂島「え・・・?」
堂島の態度が豹変する。
堂島「ま、待ってください・・・連続殺人の犯人って・・・。
そ、それって・・・」
藤岡の鋭い視線が、堂島を睨み付ける。
堂島「お、俺の兄貴を殺したヤツ!?」
藤岡「あぁ、そうだ」
2度頷いた藤岡。
藤岡「いいか。落ち着いてよく聞くんだ。この連続殺人犯は・・・
ナイフやバットなど、殺害に使った道具は残している。
しかし体毛や物品など、本人に繋がる物は一切残してない」
真剣に藤岡の話を聞く堂島。
藤岡「俺の突きとめた情報では、犯人は複数いる。
今から俺は・・・そいつらの1人がいると思われる場所に行く」
堂島「ちょ・・・そいつらの1人って・・・
待って下さい。情報が急すぎて・・・」
藤岡「ゆっくり説明したいところだが、時間がない。
俺は証拠をこの手で捉えるため、その場所へ向かう」
堂島「な、何言ってるんですか? 1人でなんて危険ですよ!?
お、俺も行きますよ! 兄貴を殺したヤツ、絶対捕まえます!!」
首を横にふる藤岡。
藤岡「都内の警察や警備員は、今日の【F】駅に最大限動員されている。
それに・・・ 俺が1人で行かなければならない理由がある」
堂島「何ですか? その理由って・・・」
藤岡「今は・・・ 言えない。これは警察全体にも関わる事なんだ」
堂島「警察全体?」
藤岡「あぁ。単なる連続殺人事件・・・
そう思っていた以上の事が・・・今、起こっている」
堂島「な、何言ってるんですか? もう少し、わかるように・・・」
藤岡「今はわからない方がいい。とにかく今は、確実な証拠が必要なんだ。
確実な証拠がなければ・・・我々警察も大変な事に巻き込まれる」
ゴクリと唾を飲み込む堂島。
堂島「俺は・・・藤岡さんのような、東大の頭脳は持ってません。
話はよく見えませんが・・・ 何か大変な事が起こっている・・・
って、事ですね?」
藤岡「あぁ、そうだ。そして今は、ヘタに動いてはいけない時」
堂島「俺の兄貴を殺したヤツですよ・・・
それでも俺は、動いてはいけないと!?」
藤岡は、深く頷いた。
堂島「そんな・・・」
しばらく呆然とする堂島。完全に納得してはいないものの、やがて首を縦に振った。
堂島「藤岡さんが、そう言うなら・・・ よっぽどの事なんでしょう。
わかりました。今は、藤岡さんに・・・任せます」
藤岡「すまないな。それと1つお前に頼みがある」
堂島「頼み?」
藤岡「あぁ、その為に俺はここに来たんだ。
考えたくはないが・・・もし万が一の事が、俺にあれば・・・」
コートの胸ポケットから、USBメモリを取り出す。
藤岡「これをお前に預ける。今まで俺が集めた証拠が入っている。
ただし・・・
そのファイルには時限式の閲覧プログラムが組まれている」
堂島「 ? 」
藤岡「明日の午後3時ちょうど・・・
その時間にしか、ファイルは見られないようにしてある。
今は見られないって事さ」
堂島「なんでそんな手間のかかる事を? 今すぐ、教えてくださいよ!」
やや興奮気味の堂島は、声を荒げた。
藤岡「俺にとっても、堂島は可愛い後輩の1人だった。ホシは挙げたいさ。
だがここでヘタに動くと・・・
連続殺人よりも酷い、大惨事が起こる!」
藤岡は冷静な口調・・・それでいて語気を強めた口調で語る。
藤岡「俺が24時間後も無事なら・・・
お前達の協力の元、一気にカタをつける。約束する!
だが、もし俺に何かあれば・・・
お前が兄貴の敵を討つんだ!」
堂島「・・・ ・・・」
何か言いたげな表情を見せる堂島。
藤岡「お前の気持ちもわかる。だが・・・ ここは俺に任せてくれ」
藤岡は堂島に鋭い眼光を浴びせたまま、微動だにしない。
しばらく口を真一文字に結んでいた堂島は・・・ 藤岡の目を見つめながら深く頷いた。
藤岡「よし・・・」
USBメモリを堂島に渡した。
藤岡「もっとも・・・ お前の力を借りるつもりはないがな・・・」
堂島は、胸ポケットの奥深くにUSBメモリをしまう。
堂島「分かりました。でも、危険な場面では・・・
いつでも俺を応援に呼んでくださいよ!」
藤岡「あぁ・・・。約束するよ。何かあれば、真っ先にお前に声をかける」
そう言うと藤岡は、堂島に背中を向け、駅構内に入っていこうとした。
堂島「ま、待ってください! ど、どこへ?」
背中を向けたまま藤岡は・・・ 小さな声で言った。
藤岡「府中本町さ。俺が探している奴は・・・そこに現れる」
そして藤岡は、人混みの中へ姿を消した。
・・・ ・・・。
同時刻。京王線・新宿行きの電車の中。
リナ「・・・ ・・・」
布田駅が近づいてくると、リナの心臓はバクバクとなり始めた。
これから、妹を誘拐した連続殺人事件の犯人と接触するかも知れない。
(リナ「布田駅まで・・・ あと数分・・・」)
自分だけが関わっているなら、もっと強気になれただろうが・・・今回は妹の命がかかっている。判断ミスは絶対に許されない。
4年前、覆面男らにリナと父親は誘拐された。裏で糸をひいていた黒幕がいるはずだ。
その黒幕は、銃撃戦ですら平気でしかけてきた。
そして今回・・・関係のない一般市民を1人ずつ殺している。妹を誘拐した人物は・・・人の命を平気で奪える、考えるだけでも恐ろしい人物だ。
リナ「・・・ ・・・」
慎吾が横にいるだけでも、かなり心強い・・・ とはいえ、不安な気持ちを全て拭えるわけではなかった。
リナはリュックの中からノートパソコンを取り出し、起動させる。
慎吾「あ・・・ 調布駅だ・・・」
リナの横に座っていた慎吾が声を出した。2人の乗った電車は、調布駅でいったん止まる。
リナ「次よ、布田駅は」
ノートパソコンを操作しているリナは、視線を合わせることなく慎吾に伝えた。
慎吾「秋津、分倍河原、調布・・・
今まで殺人が起こった駅を経由してますね」
リナ「この電車、新宿まで行くから・・・
そっからなら田園調布も、恵比寿もすぐよ」
慎吾「今まで起こった殺人事件は全て・・・
この近場なんですね・・・」
リナ「布田駅も、府中本町駅も・・・ どちらもすぐだし・・・」
慎吾「【F】駅か・・・」
出来る事ならば、次の殺人を止めたいと思うが・・・
(慎吾「まずは、布田駅・・・」)
今ある選択肢は、布田駅に向かう・・・だけだ。
リナはずっとパソコンの画面を見ている。もうすぐ犯人の指定した駅に着く状況で・・・
何を見ているのか気になった慎吾は、横から覗いてみた。
慎吾「メール・・・ ですか?」
リナはチラッと慎吾を見た後、またパソコンの画面に視線を移す。慎吾がパソコンの画面を見るのを、とがめる事はしない。
リナ「うん。死んだ彼氏からの・・・ 最後のメールよ」
【もしこのメールを君が読む時は・・・ おそらく俺は死んでいるだろう】
この書き出しで始まるメールは・・・ 延々とリナへの愛の言葉が綴られている。4年前の事件以降、なるべくヒロの事、過去の事は考えないようにしていたが・・・
深夜、犯人から示された動画にはヒロが映っていた。
ヒロの事を思い出すと、心臓を握られたように苦しい感覚に襲われ、涙がこぼれそうになる。
しかし・・・
これから危険を冒さなければならないリナは
(リナ「ヒロ先生・・・ 力を貸して・・・」)
ヒロの愛の言葉が綴られたメールを見て、少しでも勇気を奮い立たせようとしていた。
慎吾「あの・・・ 最後のそれ、何ですか?」
2 35 485813 85 15644845 41 8
48 416 14384 8 64 318414 384 18613
48 434 3821 641 38 4313 3848 83
47 488 9198 869 467 55 75139 57895
87 638 41089 3 89817 781871 81718
4 18 36 4161214 8498488 1
7 897 371 845 4841 3 4
14 8 143 8 913 1834 54 3
413 648 991 36 5345 43 8
1443 4831 864 18 6913 98 7
1515 85286 5 951 81 5898
1438 981713 96998 177 2
慎吾はメールの最後にある、変な数字の列を指さす。
リナ「わからないの?」
慎吾「 ? いや・・・ ちっとも・・・」
リナはマウスでドラッグしてみせた。スペースの部分が暗転して
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□□■□□□
□□■□□□
□□■□□□
□■■■□□
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■■■■■□□■■■□□□□□□□■■□□□□□□□■■■■■□
□■■□□□■■□□□■■■□□□■■□□□□■■□■□
□□■■□■■□□□■■□■■□□□■□□□□■□□■□
□□□■■■□□□■■□□□■■□□■□□□□■□□■□
□□□□■□□□□■■□□□■■□□■□□□□■□□■□
□□□□■□□□□□■■□■■□□□■■□□■■□□□□
□□□□■□□□□□□■■■□□□□□■■■■□□□■□
文字が浮かび上がる。
慎吾「あ! なるほど! 」
慎吾が納得したと同時に、電車は布田駅に停車した。
リナ「着いたわ・・・ 行かないと!」
メールに夢中になってたリナは、すぐにパソコンを閉じて慎吾と共に電車を降りた。
ホームに降り立ったリナと慎吾。辺りには、警戒にあたっている警察官や警備員の姿がたくさん見える。
(リナ「あとは・・・ 犯人からの連絡があるはず・・・」)
・・・ ・・・。
午後2時59分。
慎吾とリナは、最初駅構内をウロウロしていたが・・・たくさんの警察や警備員に怪しまれないよう、1度改札口を出て、駅の外を歩いていた。
そして3時になる頃を見計らって、再び駅構内へと入っていく。
改札口付近を通りかかった時・・・リナの携帯から、メール着信を伝えるメロディが流れた。
即座に確認すると、昨日とは違うアドレスだったが・・・
(リナ「きた・・・」)
【Go to a restroom. And find a key in the second private room.】
(トイレに向かえ。そして、2つめの個室の中から鍵を探し出せ)
慎吾と共に、メール内容を確認する。
慎吾「トイレに行って・・・ 2番目の個室で鍵を見つけろ・・・」
リナ「へ~。あんた・・・英語、読めるの?」
意外といった表情で、リナは慎吾を見つめた。
慎吾「まぁ、センター試験程度なら・・・。一応大学生なんで」
自信なさげな表情で応える慎吾を、「ふ~ん」という顔で覗き込むリナ。
リナ「ま、私にメール来てるんだし・・・ 女子トイレって事よね」
慎吾「えぇ・・・ さすがに僕は・・・行けません。気をつけてください」
リナ「わかってる・・・。じゃぁ、ちょっと行ってくるわ」
そう言うと、リナはトイレに向かって歩いて行った。
慎吾「僕は改札口付近で路線図を見て、悩むフリを・・・」
リナ「わかった!」
・・・ ・・・。
周りの人物に警戒しながら、リナは女子トイレに入って行く。そして誰も使用していない、2つ目の個室のドアを警戒しながらゆっくりと開けた。
リナ「・・・ ・・・」
パッと見は、普通のトイレだ。ドアを閉め、しばらく個室の中を探る。便器のフタ、トイレットペーパーの芯、便器の裏・・・
(リナ「あった・・・」)
便器の裏の下側に、ガムテープで貼り付けられた鍵を見つけた。ガムテープをはがして、鍵を手にする。
(リナ「 ? コインロッカーの鍵・・・」)
リナは手に入れたコインロッカーの鍵を握りしめ、トイレを出た。改札口手前にいた慎吾が、リナに気づいて寄ってくる。
慎吾「ど、どうでした?」
慎吾に鍵を見せた。
リナ「これがあった・・・」
慎吾「コインロッカーの鍵ですね・・・。
そのロッカーを・・・開けろって事ですか?」
リナ「まぁ、普通に考えればそうだけど・・・」
慎吾「中に・・・ 何か入ってるのかな?」
2人は、鍵に書かれた番号のロッカーを探す。
慎吾「ありました」
駅のちょうど真ん中辺りに、その番号のロッカーはあった。
慎吾「僕が開けましょう。鍵、貸してください」
ニコッと笑いながら右手を差し出す。
例えばロッカーの中に、危険な何かがあるかもしれない。リナを危険な目に遭わすまいと思ってとった行動だが、リナがそれを拒否する。
リナ「ううん。これは私に指示された事。私が開ける」
リナは鍵を差し込み、横に回す。
ガシャン。
無機質な音が鳴り響いた。ゆっくりと開くと・・・
(第70話へ続く)
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次回予告
犯人の指示に従い、リナは行動する。
しかし・・・
布田駅構内で大きな爆破騒ぎが起こった。
次回 「 第70話 パスワード 」
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