表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/103

パトリック・ブルックスの戦術‐三


……男子生徒にとって、運命のくじ引きの日が来た。


「引いてもすぐに、くじを開かないでください。」

ネリエが、男子生徒に声をかけながら、くじを引かせていく。


くじが入っている箱を持ち、パトリックは女子生徒たちに順番にくじを引かせていく。

ノエルが緊張した面持ちで、くじを引く。

いたずらを思いついた顔をして、パトリックはノエルに、こそっと耳打ちをする。


「学園祭が終わったら、衣装を買い取りましょうか。」


パトリックのセリフに不思議そうな首を傾げるノエル。


「……たまには“違う服”で、“やる”のも悪くないかもしれません。」


“夜の営み”の意味だと察したノエルは、顔を真っ赤にする。


「もうっ!まだ授業中ですよっ……!!」

逆上せているかと見間違えるくらい、ノエルは顔を赤くして、ぽこぽことパトリックを叩く。


「後ろがつっかえてるから、早く回した方がいいんじゃないかな?」

口角をぴくりと引き攣らせて、アーリヤは笑顔を取り繕った。

――アーリヤは、パトリックがノエルから離れたのを確認した後、

ノエルを睨むことを忘れなかった。


―――

「全員引きましたね?それでは開いてください!」

ネリエの掛け声と共に、かさりと紙が開かれる音が教室内に響き渡る。


“ドレスだ……”

“紳士服でしたわっ!”

“執事服ですって!”

“メイド服!?”


一喜一憂の声が、教室を包む。

そして、注目されているのは、“あの四人”だった。


女子生徒たちが、そわそわしながら四人を見ていた。

そんな空気を察して、パトリックは話しかけに行く。


「カイル兄さんは、どの衣装でしたか?」


「オレはメイド服だったぞ!」

少し照れたような顔で、カイルは答えた。


“きゃーっ”

黄色い声が、あちらこちらから聞こえてきた。


「ノアは?」

パトリックは振り返り、ノアに尋ねた。


「……」

ノアは返事をせず、引いたくじをパトリックに見せた。


「おや、ノアもメイド服でしたか。」

“なんか、想像しやすくて、面白みにかけますね”と小さく笑うパトリック。

それを聞いて複雑な顔をしながら、ぷいっとノアは顔を背けた。


“ノア様のメイド服!?”

一段と高い声たちが、騒いでいた。


「ヘーレーは……」


「我もメイド服だ!」

にかっと笑いながらヘーレーは、開いたくじを見せてくれた。


“隣国の王子からご奉仕をしてもらえるなんて……!”

期待と不安が混ざった声が聞こえてきた。


「アーリヤ王子は、なんでした?」

パトリックが尋ねると、アーリヤはにっこりと笑って紙を見せてくれた。


「ドレスでしたか。」

パトリックが頷く。


“ドレスを仕立てたい……”

“むしろドレスになりたいですわ……”

少し方向性が違う声が、混ざっていた。


「パティはなんだった?」

笑顔のままアーリヤが、パトリックに尋ねた。


「私ですか?ドレスですよ。」


夢の中の未来で起きた、斬首刑を阻止するために、パトリックはずっと男性服を着てきた。

久しぶりだな、とパトリックはわずかに感傷に浸る。


パトリックの言葉を聞いたアーリヤが、もっと笑顔を輝かせた。


「ドレス、お揃いにしない?」


――女子生徒たちに、文字通りの激震が走った。


ネリエを中心に、クラスの女子生徒が円陣を組んだ。


“さすが、我が国の王子……天才か?”

“雰囲気が全然違う、お二人がお揃い!”

“絶対、素敵ですね”


女子生徒たちの円陣から、聞こえてくる声をパトリックは無視をする。


「嫌ですよ。」


円陣を組んでいた女子生徒が、一斉にパトリックを見る。


「社交場というのなら、徹底的に雰囲気を作り上げたいんです。」


思った以上に真面目に取り込もうとしていたパトリックに、ハッと気づかされる女子生徒たち。


「それに――」


クラスの女子全員が、パトリックの次の言葉を待つ。


「同じ服だと身長差、体格差が如実に出るじゃないですか。」

女子生徒たちが、ズルっとその場で転びかけた。


「“王子の方が良い”とか言われたら、言った人の家を没落させます。」


ぷくっと頬を膨らませるパトリック。

アーリヤは「そんな可愛い顔して!誰かに攫われちゃうよ!」と褒めていた(?)が、

その物騒なセリフは、今のパトリックの表情とはまるで噛み合っていなかった。


「「(やっぱり、悪名高い“ブルックス家の悪魔令嬢”だ……)」」


クラス全員の心が、思わず一つになった。


テイラーがパトリックに向かって、「正体を現したわね!」と指をさそうとした。

しかし、ノエルに遮られてしまった。


「わっ、私も、パディ様とお揃いが、良かったです。」

だんだん声が小さくなっていくノエル。


「執事服だったの?」

「はい……」


ノエルが、気の毒に思えるほど、肩を落としていた。


「なら、私の専属の執事ってことにすれば、学園祭でずっと一緒にいれるわね。」


その言葉を聞いて、ぱぁとノエルの顔が明るくなった。


――ついでに、アーリヤがメイド服を引き当てたノアやカイルに「変わってくれ!!」と頼み込んでいた。

アーリヤの提案に、首を横に振るノアやカイル。


「我も赤薔薇の専属メイドに、名乗り上げるのも一興だな!」

「僕がパティの専属メイドやるから、くじを交換してくれ!!」

「謹んで、お断りしよう!」


“なんでだっ!?”とアーリヤは、膝から崩れ落ちた。

周りの生徒たちから、心配されるアーリヤ。


「なんで悪役令嬢ムーブが、黙認されてるのよっ!?」

“意味わかんないんだけど!?”

テイラーも“紳士服”と書かれたくじを握りしめ、机に突っ伏す。

テイラーに声をかける生徒は、結局、誰一人いなかった。



評価、ブクマ、レビュー、感想ありがとうございます!

大変励みになっております!

引き続き、どうかよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ノエルとパトリックがイチャイチャしてるがすごい…良い(語彙力消失)
テイラーたん( ̄▽ ̄;)ドンマイ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ