↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
37/40

37 敵将猛威(黄金の獅子)

登場人物

グロウ:男主人公。剣の国ブライダの魔法戦士。

エレナ:女主人公。聖獣の国セレスの元公爵家令嬢。

エリュトロス:最強の聖獣らしき小さな飛竜。

オニクス:元魔王軍のダークエルフ。グロウに敗れて従者となる。

ミリオボルト:新魔王軍・12真将の一人。

 改めて剣を構えるグロウ。

 不敵な笑みを浮かべてそれに大股で近づく敵将ミリオボルト。


 近づき……間合いが接触。

 次の瞬間、鋭い攻撃が交錯した!

 幾度も幾度も、刃と拳が繰り出され、防がれ、また繰り出される。


 この日初めて、ミリオボルトは攻防を繰り返す戦いを繰り広げた。

 この男と()()になる者がようやく現れたのである。


 だがようやく現れた男――グロウが弾き飛ばされて後ずさった。

 攻防はほとんど互角……だがグロウが僅かに、しかし確実に()されている。


「クソっ、とんでもないぞコイツ……」


 焦るグロウ。

 それを見て――既に周囲の敵兵を一掃した――オニクスが呻いた。


「レベル500のグロウ様でもダメか?」


 しかもグロウのステータスはレベル相応の物ではない。

 グロウだけが持つCosmossenseという能力……それが全能力値に加算されているのだ。200や300の能力値に独自能力値(ステータス)の699が上乗せされ、実質899や999となっている。

 同じ魔剣から補正の一端を受けているオニクスは、今やその事をはっきりと認識していた。


 その側によろよろとエルフの魔法剣士ペアーが来る。

 彼女は相手のレベルを計測する【スキャニング】の呪文を唱えた。そして歯軋りする。


「あいつ……ミリオボルトのレベルは1280よ!」

「なにィ!?」


 オニクスが驚愕する。

 それを横目に笑うミリオボルト。


「半分以下のレベルで俺にここまで食い下がるかよ。装備がよほど強力らしいな。ならば受けろ、渾身の……【ジゴワット・ボルト】ォー!」


 ミリオボルトの拳に膨大な電光が収束し、それを正拳とともに撃ち放つ。

 だがその時にはグロウも魔剣エレクトラーに天から電光を落していた。


「くそッ、【ライトニングブラスト】!」


 稲妻を纏った斬撃で、グロウは敵の必殺技を迎え撃つ。

 奇しくも雷撃の拳と剣。

 二つの稲妻がぶつかる……が、やはりグロウが明らかに()されていた。その威力を止めきれず、じりじりと体が焼かれる。



 強化されたグロウの能力を、新魔王軍のこの将軍は素で上回っていた。



 だがしかし。

 突然グロウの体が青白く輝いた。光は一瞬で消えたが、途端に魔剣が敵の稲妻を斬り裂き、霧散させる!

【スキャニング】ごしにグロウの状態を見て驚くペアー。


「これは!? 戦闘中にステータスが激しく変化している!」


 strength(筋力)Agility(敏捷性)等、肉体的な能力にさらに別の補正が加わり、上昇していた。

 その原因をミリオボルトは見抜いた。


「強化呪文か! だがこのレベル差を覆す程の威力を出せる奴がいるとは……!」


 彼の視線はグロウの後方、馬車の陰、強化呪文を放ったエレナを見つけていた。

 フィリスの千切れた腕は既に再生している。治療を終えたエレナは大急ぎで肉体強化の支援魔法【能力全開(フルポテンシャル)】を夫に使ったのだ。


 そして敵の技を破ったグロウは――電光を纏った剣を敵に繰り出し一閃!

 超高電力を帯びた斬撃は黄金の鎧を断ち切り、敵将の体を深々と切り裂いた。

 鮮血を撒き散らしながらミリオボルトは吹っ飛び、頭から地面に激突。その衝撃で地面にクレーターさえ生じた。

 地の底からブスブスと煙があがる。


「か、勝った……」


 安堵の溜息をつくオニクス。

 しかしグロウはまだ構えを解かなかった。敵の気配が、まだ、消えない……。



 果たして、クレーターの底から声が届いた。


「やるじゃねぇか。なら真の姿を見せてやる」


 穴の底からのしのしと力強く出てくる……獅子の頭と(たてがみ)、屈強な体を持つ獣人。その全身は黄金の体毛に覆われている。


「ミリオボルト……その正体は獅子獣人(ワーライオン)!」


 驚くオニクス。

 その側でペアーが、別の事に驚愕していた。


「れ、レベル25500!?」


「2倍差を覆せる事はわかったが、次は50倍差に挑戦してもらおうか。さあ見やがれ、黄金の獅子の牙を!【ジゴワット・プラズマ】ーッ!」


 金の獅子が吠えた!

 その腕に膨大な電光が収束し、正拳とともに撃ち出される。だが今度は一条の電撃ではない。無数の電撃が撃ち出され、獅子の前方一帯を縦横無尽に駆け巡った。文字通り電光石火の速さで。

 一帯は超高電力の埋め尽くす地獄と化した。


 その余波で、側で見ていた者達も吹っ飛ばされる。その中にはエレナ達も含まれていた。馬車が盾になって直撃はしなかったものの、エレナは地面を転がる。体は汚れ、服は泥まみれになり、無数の擦り傷ができた。


 一方、グロウは――


 立っていた。

 魔剣と魔力で身を守り、敵の攻撃を受け止め、受け流したのだ。

 だが全身からブスブスと煙をあげ、鎧は壊れて地面に転がっている。流血していないのは傷口が焼かれているからであり、全身は傷だらけ。無傷の部位などなかった。

 がくり、と力が抜けて倒れそうになる。

 辛くもなんとか踏ん張りはしたが。


「ほう、持ち堪えたか。大したもんだ」


 倒れる事を拒んだグロウにミリオボルトが賞賛の声をあげる。

 グロウは弱々しく剣を構え、なんとか笑おうとした。


「嫁さんを傷つけられて下を向いてる気はねぇよ」


 それを聞いてミリオボルトは「ぶわははは」と笑った。


「古くせえ! だが……そういうのは好きなタチでな。俺の下につけば副官にしてやる。女も助かるが、どうだ?」


 そう訊きながらも殺気は失せていない。

 拒めば躊躇なく仕留める気だ。この問いに二度目は無い。


 そこへ大きな声がとんだ。


「絶対ダメ! 負けても逃げてもいいけど、悪者になるのは許さないから!」


 肩を抑えて膝をつきながらも、エレナが叫んだのだ。夫に向かって。

 それを聞いてグロウが微笑んだ。こんな状況なのに、楽しそうに、嬉しそうに。

 ミリオボルトが「ほほう」と感心する。


「なるほど。結構イケてる女だぜ」



 エレナは側に転がっていた飛竜(ワイバーン)を両手で掴み上げた。

 そして必死に訴える。


「エリュー、なんとかならないの? というか聖獣なんでしょ、どうにかしてよ。今ここで本気出さないでどうするの? おにぎり毎日いっぱい食べてるでしょ、ムダ飯食らいじゃないわよね?」


 するとどうした事か、エリューの瞳が青く輝きだしたのだ。



 その時……不思議な事が起こった!

今時流行らない危機描写だ。女主人公まで泥に汚れて叫ぶ。普通やらない事だとわかっているのだが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。