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ESP  作者: xxxPSY
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2/4

失敗した

「話には聞いてたけどマジで広いな……」

ポツリとそんなことを呟くほどに周りに人がいない。

もう、門から歩き始めてかなりたつ。門の所にバス停があったのはこの為か……。岩崎と話してたせいでさっきの便はもう出ていたから無視したのが逆に仇になったな。

「校舎っぽいのは見えてるからもうちょいとだとは思うんだけどな……」

『もう、そんなに愚痴ってばっかりだと気分も暗くなるわよ』

突然脳内に俺につっこむように声が響いた。

「よう、今までどうしてたんだ?チェルシー」

俺は視線を自分の右側に向けて答える。

そうすると視線の先にはさっきまで居なかった女の子が宙を浮きついてきている。

『どうしてたんだ……ってあんたね……私が意識出してると気づかれるかもだから隠れてたんでしょ?』

「あぁ、そうだったな。わるい」

『もう!ちゃんと終わったなら呼んでよね』

ぷいっと少し拗ねたように顔を背けた。

さて、少し語ることが出来たようだ。別に彼女チェルシーは俺着きの幽霊とかでも無ければ幻の類いでもない。

ただ、一見すれば幻影とも言えなくはないとは思う。

チェルシーは俺の脳に念波で視覚野に直接自分の姿を訂正して俺に見せているのだ。

だから、俺にしか見えない。だから、俺にしか声も聞けない。なんだってこいつは最近流行りの超能力の塊なんだからな。つまりは、姿も声も全てテレパスの応用というわけだ。任意の相手にだけに認識されるように設定できるらしい。まあ、俺以外の人間に試したことないから何ともだけどな。

『て言うかもう跳んじゃえば?』

チェルシーがめんどくさそうな顔でそう言ってきた。青い碧眼を寄せて眉を寄せて。

「ここの地形が詳しくわからない限りそれは避けるべきだと思うんだが?」

俺は懸念することがありそう返した。

『どうして?』

「なんか邪魔されてる感じがする。周りに靄みたいなのがかかってよく見えないんだよ」

『へ~そうなんだ。あたしにはわかんないんだけど?』

「ま、これは俺の力だからな」

『あたし自身の力は大したことないからね』

「そういうこと。だからもう少し歩かないとな」

道自体はレンガの敷き詰めたような道で歩きやすくはあるし、道に迷うこともないだろう。俺は肩に掛けたカバンを背負い直し歩を進めた。

少し行くとまっすぐな道に出て、その先に本当の校門らしき門が見えた。

「お!やっとついたみたいだな」

『ほんと長かったわね~』

隣でホッとチェルシーが呟いた。

「お前は歩いてないけどな」

『ならこのまま出てきて一緒に歩いてあげようか?』

ニヤリと笑いそう言ってきた。

「やめてくれ……」

『でしょ?』

ニッシシシとしたり顔をみせやがった。

「あ~今のでなんかドッと疲れた」

いつもの会話なのになんでだろう……?

『じゃあ、跳ぶ?』

「そうだな、ここの周りが見えにくいわけもわかるかも知れないし」

直線なら肉眼に頼っても問題ないだろう。

「よし、やるぞ」

最近は超感覚に頼りっぱなしだったから少し集中して座標を定めないといけないな。

目標は門の一歩手前くらいの感じでいいだろう。

まずは自分の周りの固定。そして目的地の固定。頭の上から穴に吸い込まれるイメージで力を込める。

すると、世界が瞬間に入れ替わる。

さっきまで遠くに見えていた門が消えて目の前に新たな景色が見えるはずだった。

そう、だった。

本来ならば見えるであろう門は見えない。

見えたのはほぼゼロ距離からの女の子の顔だった。

俺自身もかなり驚いたが、それ以上に驚いたのは彼女だろう。

驚きの余り見開かれた大きな黒の瞳。息がかかる距離の整った鼻ときれいな桜色の唇。

俺にも彼女にも一瞬なにが起こったかわからずに、間が生まれた。

先に思考が戻った俺が後ろに一歩ひく。

あれほど気をつけていたのにまたやってしまった。似たようなことで岩崎にバレたってのに……。

「うぉっと!わるい!!」

はたして、これは わるい の一言で済むのだろうか。だが、とっさな俺にはこれくらいしか言えなかったんだよ。

『あちゃ~やっちゃったね』

顔に手を当ててしまったと表現。

俺が一歩引くと彼女は急に体の力が抜けたように後ろにしりもちをついた。

バタンと倒れた顔には明らかに動揺の色が伺える。

「ちょ!大丈夫かっ!?」

俺はとっさに倒れた彼女に寄って手を差し出した。

彼女は一回俺の顔を見てから無言で手をとってくれた。

ぐっと力を入れて、細く長い指をした手をひっぱった。いや、ひっぱったと言うほど力は必要なかった。羽でも拾い上げるような表現が正しいかもしれない。

「えっと……大丈夫?」

パンパンと自分のお尻についた埃をはたき落とす彼女。

長い濡れたような黒髪の彼女。

誰なんだろうか?

紺を基調に作られたこのブレザーを見る限りここの生徒だろけど……。

「あの、峰島祐馬君ですよね?」

彼女は視線をあげずにそう質問してきた。

「え?あぁ、そうだけど?」

「そうですか……」

ん?なんだこの子?と思い、

「て言うかなんで俺の名前……」と聞こうした瞬間。

『!!!っ祐馬!!』

「え?……」

「ならばあなたをテストしてあげましょう!」

ゆらりと顔を上げた彼女にさっきの動揺ではない明らかな殺意に近いものが浮かび上がっていた。

ヤバいっ!?と思い瞬時に後ろ3メートルほど跳んだ。

するとさっきまで俺がいた場所に直径1メートルはあろうか岩が落下してきた。ていうかどこから出した!?その岩!!

岩は完全にレンガ作りの道を陥没破壊してその場に鎮座した。

だが、それを彼女は軽々と、

「ふんっ!!」

手をかざし持ち上げた。直接は触れずに。

サイコキネシスト――

念力で空間物体に影響を与える力。メジャーな力ではあるが、これは――

そうか、さっきの岩はどこからかサイコキネシスで投げつけたのか!

そんな思考を回してる間に次の攻撃が俺に迫り来る。

さっきの持ち上げられた岩を直進させて俺へ凄いスピードで突撃してくる。

また、ピンチだ!

今度は俺は座標を上に設定して、上空に跳んだ。

どうもここの島に来てから感じる靄のせいで上手く力を使えてない。跳ぶこと自体は大丈夫みたいだけど周りが見えてないような……。

だが、まったく見えないわけではない。俺は刹那後ろに視線を流した。すると俺に当たり損ねた岩が空中でUターンを決めて力学を無視したような動きを見せた。

彼女いったい何レベルあるんだ!?明らかに普通のレベルから逸している!!

「くっ!!」

滞空時間に攻めきられるのか!

どの道この高さから落ちたら鍛えてない俺の肉体はかなりのダメージを受けるわけだから元より跳ぶつもりではいたが……。これは……。

俺の中で予定より早く跳ぶ地点を定める。

ちょうど岩の後ろ。彼女の死角に当たる場所へ。やっかいなのは跳んだ後にすぐ俺の姿が彼女に認知されることだ。それに彼女のめちゃくちゃな力が加わると連続攻撃を仕掛けられる。このまま逃げるだけなら簡単だが泥試合はごめんだ。

なら、狙うべきは!

俺は周りこんだ岩に隠れた一瞬の隙にある一点に座標を絞り込む。

そして、俺と彼女の直線上から岩が消えた瞬間を見計らって俺は跳んだ。

「えっ!?」

彼女が驚き気づいた時にはもう遅い。

俺は彼女の背中に周りこんだ。

「え~っと、背中取ったからこれで……」

と、言い勝利宣言を掲げようとした瞬間、本能に近い何かが俺の中に走った。

「ヴォーリングトーテムポール!」

「ーーーーーっ!!」

彼女がそう呟くように言うと俺が今立っていた所が筒状に浮かび上がった。

俺は間一髪でそれをバックステップでかわした。

座標に狙いをつける余裕なんて無かったから殆ど反射だ。

彼女は優雅に長い黒髪をたくしあげ俺の方を見た。

「あら?よく今のをかわせたわね」

俺は緊張を解かずに彼女の話に耳を傾けた。

「………………」

「だんまりなんて面白くないわ。それとも口もきけないくらい驚いたのかしら?」

「………………」

俺は無言。集中を解くとそれだけでやられそうだ。

『ねぇ、この人やばくない?』

そんなことわかってる。今はやばくこいつをどうするかだ。

チェルシーの言葉を聞き流し俺は前を見据え考え続ける。

後ろに回って終わりの方法はあいつの術中らしいから使えない。となると直接の攻撃か……?

でも、女の子を無碍に傷つけていいものか……。

『向こうから一方的に仕掛けてきたんだからやっちゃいなよ!』

『そういうわけにもいかないだろ!』

なにかどっちも傷つかない方法はないのか!?

「そっちから来ないならまたこっちからいくわよ!!」

彼女の周りに力場が生まれさっきの岩が再び浮上する。

「ちっ!!」

とりあえず回避だ!時間を稼いで次の作成を練ろう。

と、彼女が再び臨戦態勢に入った瞬間、

「そこまでです!妃沙奈ちゃん!!」

「え?」

俺と彼女の意識が声のした方に移る。

俺が視線を向けた先には一人の女の子がいた。栗色の髪をした小さな女の子。

「あ!アイサ!」

「もう、妃沙奈ちゃんは無茶し過ぎです。後ろを取られた時点で降参してあげるべきですよ」

「あははは、なんか楽しくなっちゃってさ~」

「嘘ですね。さっきのことでむしゃむしゃして、事のついでにボコボコにしてしまう魂胆だったのでしょ?」

ボコボコ……。

「あははは~」

さっきとは違い空笑いをする妃沙奈さん……?

ていうか完全に茅の外な上にボコボコにされる予定だったの……?

「あ!」

っと俺の存在を思い出したかのようにこっちを向くアイサさん……?

「ごめんなさい!うちの妃沙奈ちゃんが暴れちゃって。怪我とか無かったですか?」

「あ、あぁ怪我ていう怪我は無いけど……」

俺はおっかなびっくりな態度で尻すぼみに答えてしまった。

正直まだなにが起こったかわかりきってない感じだ。

「そうなら良かったです。私たちはある人の頼みであなたを編入時にテストするようには言われたのですが、その妃沙奈ちゃんが本気でかかってしまったので……」

手を口元に当て心配そうに言ってくるアイサさん。

そんなしおらしい感じで謝られてはなにも言えないじゃないか。

「いや、驚いたけどなにもなかったし気にしてないですよ」

『なにちょどってんだか……』

だまってろ。

あ~あとため息をつくチェルシー。

「ほら、妃沙奈ちゃんも謝って」

グイッと妃沙奈さんをアイサさんは引っ張って俺の前に連れてくる。

連れて来られた当の本人はバツの悪そうな顔をして、

「いきなり襲ってごめんなさい……」

と呟いた。

「よし!こんなところで立ち話も何ですから校内に入りましょう」

チェルシーとの心の会話の『』がわかりづらいかな・・・?

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