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エピソード13

エピソード13は長くなります。

 打ち上げのある土曜日は、一日中雨だった。梅雨がもたらす湿気は、初夏独特の暑さと混じりあい最高に蒸し暑い空気を生成する。梅雨前線のまっただ中にありながらここ最近降雨していなかったその分を取り返すかのように、しとしとと降る雨は朝から晩まで絶えることはなかった。玄関口でこうもり傘を手に取る。

「部活の打ち上げがあるから、今日の夕飯はいらない」

「うぃー」

 リビングで寝そべっている母親からの返事を後ろに、俺は家を出た。


 駅についた時間は、約束された集合時刻の10分前であったが、既に相当な人数が来ているようだった。駅の軒下に、数十人の塊が集まっており非常に目立つ。

「よお、七瀬!」

「うーす」

 3年間適当にだらだらと、時にはちょっと真剣になって打ち込んだ部活の仲間が集まっていた。女子も後輩も含めると総勢で30人くらいだろうか、だとすると今ここに集まっているのは20人と言ったところか。

 男子の塊の中に入っていくと、陸山を中心に他数名の同輩がいた。

「もう行くか?」

 俺が尋ねると、陸山は腕時計にちらと視線を走らせた。

「もう人数は揃ってるっぽいけどな。あまり早く店に着きすぎてもまずいだろう」

 きいてみるよ、と言い残して、陸山は女子の塊の方へ抜けていった。六浦がそれに応じている様子が視界の端に映った。

「くがさ、怪しいよな」

 陸山が抜けたグループ内で、不意に一人が声を潜めて言った。くが、と言うのは陸山のあだ名だ。

「怪しい? 何がさ?」

 俺が尋ねると、そいつはにっと笑った。

「だってさ、陸山と六浦さんてよく一緒にいるの見るぜ」

「あ、俺も練習の時二人で抜けてったの見たことある!」

 俺はこの話題にちょっと驚いた。

「陸山がか? 知らなかったな」

 素直な感想をもらすと、同種の笑みを俺にも向けて来た。

「お前は八武崎がいるからいいよな。焦らなくてもいいもんなー」

 またこの話題か。俺がこの種の話に加わると多かれ少なかれこういう展開になる。

「あいつには、彼氏がいるだろう」

「でも別れたって話だぜ?」

 げんなりする。こんなところまで、幼馴染の名前が出てくるとは。ふん、と鼻を鳴らす

「その話題はもういいだろ。いい加減、飽きた」

 すると、グループの俺以外の面子が顔を見合わせた。そして、誰からともなく笑い出す。

「ま、それもそうだな」

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