第七十三章 師匠
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天使がこんなにもいると言うことは、皆は既にやられたのか?いや、そんな軟な連中じゃない。
それに師匠もいる。
師匠がそう簡単にやられるはずがない。
なら、何処かに閉じ込めたか、それとも大天使クラスが絶賛お相手中ぐらいだろう。
いずれにせよ、皆が待っている。行かないと!
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ヤミガラスを抜き、天使の群れに突っ込む。
「遅い!」
全ての場所から来る天使を次々と斬り捨て、一気に天界を目指す。
奴らは近接戦だけでなく、弓も構え、一斉に射て来た。
「邪魔何だよ!『LK・コンバット』!」
両手にガトリング砲が出現する。
前までは重すぎて持ち上げられてなかったが、今の天使状態なら飛びながら扱える!
周辺に構えている光の矢は撃ち落とし、弓を持っている天使を一掃する。
「まだまだまだっ!『緋炎・炎龍・改』」
空は瞬く間に紅に染まった。が、どれだけ倒しても天使は集まってくる。
「数が多いな」
戦闘開始から二十分。強力な魔法を連発して発動させたが天使達は膨大な数で攻めて来る。
まぁ、地上の人間を一掃するんだ。まだまだだろう。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
魔力を右手に集中させる。
すると、空中に赤い魔法陣を幾銭も出現した。
「さっきまでは協力だったが、今度のはかなり強力だ!」
俺は溜めていた魔力放とうとした瞬間だった。
物凄く強力な魔力を感じ取った。天界の中心、城の真ん中だ。
「この魔力・・・まさか、師匠はあれを・・・俺にだってあれだけするなと・・・」
俺はこの強力な魔力の正体を知っていた。
闇魔法禁術『屍行進』。
この魔法はかなり強力だ。無双と言ってもいいだろう。
けど、こいつは・・・師匠だって言ってたじゃないか!
「そこをどけぇぇぇぇぇぇ!『天地爆裂』!」
空が鼓動した。
灼熱の炎共に衝撃が空で連鎖する。
そこには城へと向かう道が作られていたが、城の中から次々と天使が出現する。
俺は刀を構えた。
「『閃光線』」
一筋の光が天使達を切り裂いた。
「ユウ、一緒に」
「ああ、解った。狙うのは一点。道を作るぞ」
アリエルはコクリと頷く。
「魔力を一点に・・・・・・」
アリエルと魔力を融合させる。
「『光爆線』」
光の熱線が俺達の道を作る。
「今だ!」
道が天使で埋め尽くされる前にアリエルと一緒に城に突入した。
結界を張る。
「よし・・・何とか城に突入は出来た・・・」
「気を付けて・・・この先で・・」
「そうだ!皆!」
俺は奥へと走って行った。
そして、辿り着いた先では、全てが終わっていた。
「よう、ユウ・・・・悪い・・・・」
目の前で師匠が倒れた。
体は所々黒くなっている。
「やっぱり、使ったんですね・・・禁術を」
「はは、悪いな。でも、こうするしかなかったんだ・・・後は任せたぞ」
師匠の体は少しずつ黒くなっていく。
「でも、師匠が倒せなかった相手を・・・」
「お前ならやれる・・・だから、だから頼んだぞ」
そう言って師匠の体が全て黒く染まった。
「師匠!まだ!まだ、俺はあなたに教わりたいことが!」
「免許皆伝だ。あばよ、ユウ・・・」
師匠の体はボロボロと崩れ、灰となった。
「師匠・・・」
禁術には必ず代償が必要になる。
それでも、師匠は奴を倒せなかった。
「素晴らしい。最高に泣ける別れじゃないか」
そう言いながら上からリシュエルが降りて来た。
「リシュエル・・・」
「そんな形相で睨まない。今から相手をしてやるから」
「ああ、俺もそのつもりだ」
周りを見る。
皆が倒れているが、死んではいない。きっと、師匠が守ったのだろう。
「アリエル、今なら幽閉されるだけで罪が免れるぞ」
「私は知った。天使として知ってしまった。知ったなら、知った者としての責任を全うするまで」
ん?
「そんなことでは、ユグドラシル様を失望させるだけだぞ」
「ユグドラシル様なんて存在しない」
え?
「おい、ユグドラシルが存在しない?」
「ユウ、本当に彼は存在しないの・・・って言っても、私はついこの前知ったけどね。私達天使はずっと騙されていた・・・架空の神に。そして、それを操っていたのがリシュエル・・・あなただったんですね」
リシュエルは少し笑うと、
「そうさ。ユグドラシル様なんて者は存在しない。いや、正確には存在したが、死んだ。そして、この僕が架空のユグドラシル様を作った」
「そして、牧場計画を持ち出した。その本質はあなたの勝手な行動。そこに、ユグドラシル様の意志はない。だから、私はあなたとも戦う」
・・・・・。
「ユウ君?」
俺はエミナに駆け寄った。
「悪いな・・・大事な時に俺がいなくて・・・」
「うんうん、全然そんなことないよ。けど、約束して。必ず、勝って」
「ああ、解ってる。これが、最後の戦いだ。終わらせて来る」
俺はリシュエルに向か合った。
「アリエル!悪いが、こいつとは一対一で戦わせてくれ。絶対に手を出すな。俺が倒れるまで、絶対にだ」
アリエルは一瞬驚いたような表情になり、直ぐに穏やかな表情に戻った。
「解った。私も、エミナと一緒。必ず、勝って来て」
「ああ、サンキュ」
俺はヤミガラスを構えた。
目の前にいるリシュエルも持っている剣を構える。
「来いよ、傭兵。今度こそ灰にしてやる」
「傭兵か・・・」
傭兵。
この職についてから何年が経っただろうか。
おかげで色々大変な目にあった。けど、俺はどんなことからも逃げはしない。これだって、自分で決めて、自分が行ったことだ。
もう、後悔しない。
だから、俺は戦う!
「リシュエル。一つ言っておく。俺はもう何かから逃げたりしない。もちろん、お前とも、皆とも。だから、本気で行かせてもらうぞ」
「何を言うと思ったら・・・いいだろう。来いよ。僕も久々に楽しめそうだ!」
直後、俺とリシュエルは同時に地面を蹴った。
最終決戦ぽい感じです。




