第六十九章 大天使アリエル
「ふぅ・・・」
「まったく、人間はこの程度で根を上げて・・・」
「と、言いつつも足を擦るのはどういうことですか?」
「・・・・・・・」
アリエルの背中は羽の千切れた跡がある。
「ん?」
アリエルの背中を見る。
「きゃっ!ちょっと、いきなり何をするんです!」
「暴れんなよ。ちょっと、傷口塞ぐだけじゃねぇか」
「うっ・・・そのくらい」
そう言うと、傷口は消えていく。
「おお、どうやったんだ?」
「元々、私達は羽をしまうことも出来るのです。だから、これはただ羽を引っ込めただけです」
「ほぉ・・・けど、また出した時どうするんだ?」
「それまでには、何とか」
「自己の回復術は持ち合わせていない訳だな」
「回復など、弱者のすることです」
「弱者って・・・んじゃ、こういう時はどうするんだ?」
「こういう時?」
俺の視線は彼女の足にいっていた。
彼女の足は一筋の切り傷がある。
「こんな足でここまで歩けたな」
「こ、これは・・・」
「やせ我慢すんな」
俺はアリエルの足を掴む。
「セ、セクハラですよ!」
「はいはい、セクハラです」
俺は回復魔法を唱える。
アリエルの足の傷は薄らと消えていく。
「何故助けるのです?」
「何故?別に。ただ、あんたが負けた時に、その傷を言い訳にしてほしくないだけさ」
「相変わらず捻くれてますね」
その言い方は随分と俺のことを知っているような言い方だった。
「自分で言うのも何だが、たった一時間程度しか会ってないのに相手のことをそんなにもよく見ているんだな」
「・・・・?」
「今、俺のこと捻くれ者って。そういうの、もっと馴染み深い奴が言うんじゃないの?」
サシャとか。
エミナとは、まだ会って半年ぐらいだな。それでも、俺のことを捻くれ者とは言わなかった。
確か、一度だけ言われたな。
『ユウさんの!捻くれ者!』
「あれ、何が原因だっけ?」
不意に、サシャがそんなことを言うシーンが流れる。
「あれは、あなたがリットさんと喧嘩して、私が謝りに行くように言っても行かなかったから・・・」
確かに、そんな記憶はある。スラ酒で酔っぱらって、喧嘩になって、その後サシャがやって来て『謝って』って、言われても無視したから、捻くれ者・・・って言われたんだっけ。
懐かしいな・・・。
「って!何で!何で、あんたがそのこと知ってるんだ!」
「ちょっ、近いです」
俺はアリエルに食いついた。
「ちょっ!落ち着いて!」
「これが落ち着いていられるか!」
更に近づいた。
「何でだ!どうしてそのことを知っているんだ!」
ゴンッ!
「痛・・・・・・」
頭を叩かれた。
「いいから、落ち着きなさい」
「はい・・・」
俺が戻ると、
「全て、話しましょう。私の正体を・・・」
そう言ってアリエルは目を瞑る。
体は微かに発光し始めた。同時に、綺麗な金髪が黒髪に変わっていく。
その姿を見て俺は驚愕した。
「な、何で・・・・そんなはず・・・・・」
「黙ってて、すみませんでした」
立ち上がって、数歩後ずさりする。
「違う・・・・違う・・・死んだんだ。あいつは・・・・俺の腕の中で二回も死んだんだ」
アリエルは俺から目を逸らす。
「これが、私の正体です」
俺は目を見開き、体を震わせた。
間違える筈がない。
「サシャなのか?」
そこには、死んだはずのサシャがいた。
まぁ、そういうことだったんですね
(/・ω・)/




