第六章 いや、暗殺じゃねーよ
「それで?あんたら?」
と、俺が四人を睨んだ。
予想通りその中にはあの街中で声を掛けて来たお姉さんがいた。
「やっぱり、あなただったのね。すっかり騙されたわ。私は『ナイト・メア』所属、エミナ・エスカート」
黒い戦闘服に身を包み、長い銀の髪を靡かせている。
「俺はシルバ・レビア。まっ、今から死ぬ相手に自己紹介してもな」
シルバと名乗った男は金髪の男だった。髪の毛は逆だって天に向いており、如何にも強うそうな屈強な暗殺者みたいだ。
そして、青髪のメガネの男が言った。
「まったく、こんな弱そうな奴だとはね。僕はラド・ヴィージ」
「まあ、私は速く帰りたいんだけどね。私はレイ・フィリ」
その隣にいるのが黒の髪の毛のショートヘアの女の子だった。全員見た目では判断出来ないほど実力の持ち主である事は間違いないだろう。
「それで、あんたらは俺を殺しに来たんだろう?」
「ああ、最初からそのつもりだぜ!」
と、俺が横にいきなりシルバが拳を打つ体制を取った状態で現れた。
はやっ!
「おらぁっ!!」
「ちっ!『尖兵の盾』!」
左手に鋼で出来た盾が出現したが、シルバの拳の威力はかなりのもので盾は破壊され、俺はそこから二百メートル程後ろに飛ばされた。
「痛・・・。なかなかやるなぁ」
咄嗟に出した防御魔法も時間がなかったから大したものは作れなかった。いくら過給魔法とは言え、それを素手で潰すのはどうかと思うぞ。
ていうか、そこんとこ暗殺者としてどうなのよ?
・・・待て。
暗殺でも首をゴキッと、殺す方法があるからな。あいつもそいう類なのか?ただ、暗殺が出来ない以上正面から全力でやろって事だろう。
他にも腕に付けている籠手があの破壊力を生み出しているのだろう。
あの三人もそう言った特殊な武具を付けているのかもしれないな。
俺は立ち上がり砂埃を払いのける。
そこから離れた所に奴らがいた。ここまでで既に四件程家をぶっ壊している。一旦ここから離れた方がいいかもしれないな・・・。
「弱いな!」
シルバとその仲間達は俺に追い討ちをすべく走って来た。
「二発目!!」
シルバが思いっきり振りかぶった瞬間、
「悪いな。さっきは油断したが、これは違うぞ!風魔法『風速・二〇〇』!」
俺の体は一瞬にして都市の入口まで飛んだ。まさに一瞬の出来事だった。
「なっ、何だありゃ!」
「スピードか・・・。僕に任せろ!」
次はいきなりラドが現れた。
なるほど、こいつはスピードか。すると、足につけている少しゴツめのブーツが主武器。さっきシルバとは違い、一撃には大した攻撃力を持っていないが、そのラッシュは凄まじい。
蹴りを一撃受けたと思えば体中に打撃を食らわしていた。
「ちっ!」
「何だ?僕はまだ力の半分も出していないぞ」
俺は一度バックステップで後ろに行くが、上から何か落ちて来た。
「あーあ、速く終わらないかなぁ」
レイか!
レイの両手には二本のナイフが握り締められていた。
「はあっ!」
ヒュンヒュンと二つのナイフから繰り出す攻撃はまったくの無駄のない、獲物を確実に刈り取る動きであった。
俺も直ぐさま剣を抜き、応戦する。
レイは刃物の技か・・・。
そう言えば、エミナは何処に?
「ふふ、私はここ。ちょっと、遅かったかな?」
俺のいる場所は俺の借り家から十キロ程離れた東の門を出た荒野である。俺の索敵が正確ならエミナは俺の家からまったく動いていなかったのだ。
俺にはその事が何を意味するのか直ぐに理解出来た。
「『粉砕の盾』!」
両手を地面につける。すると目の前に青透明で縦長長方形の盾が出現した。それと同時に矢が盾にぶつかったのは同時と言ってもいいぐらいだ。
矢は盾を微妙に貫き、俺の額の前で止まった。
「・・・・・」
もう少し威力が高いなら俺を殺せていたかもしれない。
するとエミナはヒョイヒョイと、家の上を走って門の上に立った。
力、速さ、技、距離。
良いチームだと思う。
お互いの欠点を補い合い、決して相手に反撃する余裕すら与えず、殺しにかかる。
なんてやつらだ・・・。
「おいおい、やっぱり一人でもいけるって」
「けど、僕の蹴りをものともしなかった」
「うん、剣も強い」
「まさか私の矢を止めるなんてねぇ」
四人にはまったくの動揺というか、焦りがない。これが、プロなのかもしれない。
勝ち目がない・・・。
とでも思うか?
少なくとも俺は今思っていない。まだ、隠している魔法は幾つかある。それこそ奥の手と言ってもいい。しかし、今までは力だけで何とかして来た。が、こう四人で組んで来られるとこちらも力だけではどうにもならない。
戦術というものが必要になって来るのかもしれない。
しかし!
俺の今の状況的にこいつらと長期戦をするつもりはない。ていうか、速く終わらせてうんこ行きたい。
だとすると、勝負を一瞬で終わらせなければならいと言う事だ。
「どうする?」
「僕の計算だと、このまま行けば勝率は七十三.三パーセント」
「どうでもいいから、さ」
「けど、やっぱり」
次の瞬間、四人の姿が消えた。
「「「「同時に」」」」
肩を矢で射抜かれ、正面から正拳突きをされる。ほとんど同じタイミングに顔面を蹴られ、倒れた瞬間に心臓に一撃ナイフを受ける。
さて、どうなるんでしょうね?




