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ブレイク!  作者: ぞえ
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第六十六章 枯れ木の花



「ったく、どいつもこいつも使えねーな」

 

 広間の中心で、リシュエルは不機嫌そうに言った。

 それは、一人の傭兵によって幾人もの幹部クラスの天使が倒されているからだ。なのに自分には出撃命令が出ないからである。


「落ち着きなさい。リシュエル。今度は、私が行きます。そして、私が帰って来なければ、その時はあなたの好きになさい」


 アリエルの答えにリシュエルは少しだけ驚いた。


「天使長、自らが行くんですか?」

「ええ、そうなります。副官のあなたを差し置く状態になりますが、仕方がありません。私が直々に彼を倒しましょう」

「それじゃ、あんたが帰って来なければ、俺、好きにします。失礼します」


 そう言ってリシュエルは広間を出て行った。

 部下の天使が言った。


「嬉しそうですね」

「当たり前だ。あの、アリエルが消えれば、俺は栄華を手に入れる」


 その言葉はアリエルには聞こえていた。

 アリエルは一人自室に戻ると、深いため息をした。


「ふぅ・・・。まったく、リシュエルは・・・」

 

 アリエルは長く一括りにしていた金髪を解いた。ブワッ、と綺麗な髪が舞う。

 彼女の部屋には一枚の写真が置いてあった。


「・・・私は間違っていませんよね?エミリア」


 そこには、エミリアとアリエル。そして、一人の小さな赤子が映っていた。


「あんなにも逞しくなって。これでは・・・」


 アリエルは小さく言った。




「なぁ」

「ん?」

「さっきからさ・・・。何か、魔物と会わなくね?」

 

 俺とヨシュアはあれから二時間は歩いたが、魔物とは全く遭遇しなかった。


「・・・ここの魔物だって飯食わないと死ぬしな・・・。あの魂だけになった聖騎士ぐらいだろ。こんな所にいるのは・・・」


 スウ・・・と、ゴーストが出現した。


「こういう奴ばっかりだろ!」


 そこから先は、ゴーストばかりだった。




「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・五十七体」

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・五十九体」

「ぐはっ!ユウに負けたぁ!」

「はい、帰ったらウルトラスペシャルケーキ奢りな」

「あ、あれ・・・めちゃ高いんだぞ」

「乙」

 

 そして、一つの門の前に立っていた。


「それで、これがラストなのか?」

「ああ、どうやらそのようだ。この部屋から先は存在しない。よって、この門の先に枯れ木の花。つまり、その蜜の『命の雫』が存在する」


 と、一枚の羽が落ちていた。


「・・・何の、羽だ?コカトリスか?」

 

 怪鳥の名前を出してみたが、どうもピンと来ない。怪鳥だからもっと大きなはずなんだが・・・。


「まぁ、取り合えず行こう。どうやら開いているようだ」

 

 俺は門を押した。

 そこには一人の女が立っていた。

 

「私は破壊の天使。ガトラ。ここで、あなた達を倒します」


 そう言って、天使ガトラはモーニングスターを取り出した。

 

「おわっ!」

 

 その一撃は床を抉り、粉砕した。これを一撃でも食らえば肉片となってしまうだろう。


「ほらほらほらほらほらほら!」

 

 次々と繰り出される攻撃を紙一重が回避する。


「避けてるだけじゃ私は倒せないぞ!」

「それは、どうかな?」


 ガトラの後ろからヨシュアが斬りつけた。が、モーニングスターを引っ張り、ヨシュアの剣を弾く。


「がっ!」

「ヨシュア!」


「お前もだ!」


 直ぐに俺に向かって攻撃をして来た。剣でガードしたが、ヨシュア同様弾き飛ばされた。


「っ・・・強いぞ」

「ああ・・・。仕方ない。ヨシュア、少しだけ時間稼ぎをしてくれ」

「おっ、言ってた切り札か?」

「その通り」

 

 ヨシュアは立ち上がってガトラに向かって走り出した。

 それを見ると、そっと目を瞑って意識を集中した。

 自分の奥の中にいる力を呼び寄せる。

 何度も戦った天使。その経験がこの力をもう一度呼び覚ました。


「母さん、使わせてもらうね」


 ヨシュアに言った。


「いいぞ!」

「待ってました!」


 ヨシュアが後退する。


「何をすんのか知らないけど、一撃粉砕攻撃の前じゃ!」


 ガトラが攻撃して来た。

 俺は技を発動させた。


「『天使化』」


 背中に光の翼が展開する。


「て、天使だと!」


 華麗なステップで攻撃を避ける。


「くそっ!天使の息子にその力が宿っているなんて・・・」

「この天使モードは長時間は向いてないんだ。悪いが、さっさとケリをつけさせてもらう」

 

 天使状態でないと使えない魔法がある。


「『サークル・レイ』!」


 光の輪がガトラを囲む。


「なっ、何だこの技は!」


 次の瞬間、輪の下から神々しい光が溢れだした。


「だが、天使に光系の魔法・・・ぐっ!がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 通常、天使には光系の攻撃は通用しない。が、それは人間から天使に対する攻撃である。人間から天使に対する光攻撃は食らわないが、今現在俺は天使である。

 奴と同じ状態なので、通じないはずの光魔法が食らわせることが出来るのだ。


「別に、光じゃなくてもよかったんだけどな」


 五秒もすると、ガトラは光の先に消えていった。


「おっ、これじゃねーの?」

 

 ヨシュアが金色に光る花を見つけた。


「これが・・・・・・」


 俺はその花の蜜をそっと小瓶に入れた。

 

「全部はよそう」

「うむ、これで目標達成つーことで」




「はい、これが『命の雫』です」


 そう言って、枯れ木の番人らしき人物の女性に渡した。


「本当に、いいのか?」

「・・・別にいいさ。俺らは俺らの分があるし」


 女性が金色に光る小瓶を見ながら呟いた。


「ありがとう・・・」


 と。


『命の雫』を手に入れた。


天使になっちゃいました。

そして、アリエルは・・・・。

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