第六十章 闘技場
「ミファエルが・・・死んだか」
王座に座っているユグドラシルがそう呟いた。
「バカめが・・・しかし、ユウ。よくやってくれている・・・なるほど。あの修行の成果は無駄ではなかったようだな・・・」
ユグドラシルはもう一度誰にも聞こえないようにそう言った。
闘技場
そこは、己の力と力をぶつけ合う場所。
豚の真珠
調べれば簡単に出て来た。正確には『ブタ』と呼ばれる地区にある闘技場のことであった。
一年に一度行われる闘技場を使っての大会での優勝賞品が真珠だった。
俺はそれに狙いをつけてこの大会に参加した。
大会は大陸中の武術の達人や剣豪。魔法使いなどが腕試しに参加していた。が、俺にとっては余裕だろうかと思っていたが、そうでもないようだった。
「はぁぁぁぁぁ!『緋炎・炎龍』!」
「らぁぁぁぁぁ!『ボルト・アックス』!」
炎の龍と雷の斧が激しくぶつかり合う。
眩しい閃光の中、俺は正面から突撃した。
「なっ!」
光の中から姿を現した俺に怯み、後ろに一歩下がる。
「『超・正拳突き!』」
俺の拳に対して、相手も技を繰り出してきたが、パワーで勝っていた俺はそのまま相手を弾き返した。
「がっ!」
相手はそのまま倒れ、勝敗が決まったことを知らせる鐘が鳴った。同時に歓声が鳴り響く。
俺は流れるように控室に戻った。
「ほぇ・・・・つ、強い・・・・」
流石に大陸中の武人達が集まる大会。凄腕ばかりだ。ここまで二試合やったが、どれもそう簡単には勝たしてくれなかった。
「皆、何だか強いねぇ」
「ああ、何かすげーわ」
エミナに傷の手当てをしてもらいながら息を漏らす。
一応、予選を通り抜けた本選出場者にはシスターが一人、試合後の回復役を担ってもらっているが、俺は拒否していた。
それは・・・ね。エミナがいるし。
俺達は次の対戦相手を見るために次の試合を見ていた。
「ん?あれは・・・」
「あれは、確か主催側のご令嬢だって。確か、有名なラリア家らしいよ」
観客席に上の部分に特設で一人の金髪の女性が座っていた。周囲には何人もの護衛をつけている。
「何だか、信憑性に欠ける話方だな・・・」
「う~ん、だって私だって知ったの最近だし」
「そ、そうか・・・ならいいんだ」
すると、エミナが頬を膨らませた。
「ど、どうしたんだよ・・・」
「別にっ!」
はぁ・・・女って面倒だな・・・。
その後、勝敗が決まり、次の対戦相手はレグ・レイーナと言う剣士だと解った。
まぁ、解ったところで・・・って感じだけどな。
「試合!開始!」
審判の声と共にレグはこちらに走り出して来た。
「『風神剣』!」
風を纏った剣を上下左右に攻撃を仕掛けて来た。
「『緋炎・炎龍』!」
炎の龍は一直線にレグを襲う。が、
「我が風の刃は如何なる物も受け流す」
風によって炎の龍は軌道が微妙に変えられ、後ろへ受け流された。
「げっ!」
「私に物理魔法はそう簡単に通用しませんよ?」
一撃、二撃目を避け、後ろに後退する。
あの『風神剣』。おそらく剣自体に風属性を追加する魔法。剣そのものに力を集結させることで、必要な時だけ力を取り出す魔法。
・・・・・・面倒だな。
「『風神・千連覇』!どうだ!全方向から千の刃が君に襲い掛かるぞ!」
剣を横に薙ぎ払う。同時に四方八方から風の刃が飛んできた。
俺は腰を低くし、大きく空気を吸う。
「『獅子咆哮』!」
とんでもなくドデカい音が響き渡る。
全員が耳を塞ぐ。
その咆哮によって風の刃は掻き消された。
「なっ・・・こ、こんなことが・・・ありえるのか・・・?」
「生憎、今のは魔法なんでね・・・『THE・END』」
俺が親指を下に向ける。同時に巨大な影が出現した。
上から巨大な建物が降って来た。
「あ、ああああああああああああああ!!」
建物の先端がぶつかる直前、建物は光の粒子となって爆散していった。
見ると、レグは地面に倒れて失神していた。
こうして俺は準決勝へとコマを進めた。




