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ブレイク!  作者: ぞえ
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第五十六章 ミファエル


「ミファエル、勝手なマネは困りますよ」


 天使長アリエルはメガネのかけた天使、ミファエルに言った。

 ミファエルは、


「しかし、私の研究を発揮できるいい機会だと思いませんか?」

「と、言うと?」

「私の襲った乗客の中に、あの傭兵がいました。あいつさえ、こちら側に引きずりこめば、最大の壁は封じたことになります」

「・・・解りました。この事はあなたに一任します」

「ありがとうございます」


 そう言ってミファエルは出て行く。


「ミファエルと言い、リシュエルと言い、まったく・・・」


 そう言いながらアリエルは城の一番の奥の部屋に入る。


「・・・以上が、今回の報告です」

「なるほど、エミリアの息子か・・・四大天使のうちの一人の血を分けた人間が一体どれほどの力を持っているのか・・・いささか興味はあるが、私は私の計画を進めなければならない。そちらの方は任したぞ」


 玉座に座っているのはユグドラシルであった。

 

「解りました。そちらの件は既にミファエルが動いています。それでは・・・」


 そう言ってアリエルは部屋から出て行った。


「ミファエルか・・・確か死霊術専門だったかな・・・さて、小手調べ手と行こうか」




 後で聞いた話だが、憲兵団の調査は酷かったと聞いた。

 誰かに事情聴取をする訳でもなく、ただ現地に行って車両を調べただけであった。

 まぁ、ゾンビは全て消し飛ばしてしまったので、仕方ないかもしれない。それにしても、もう少しあってもおかしくないだろう。

 そんなことを置いといて、俺とアリサは改めて汽車に乗っていた。

 今回は何事もなく駅に着き、そこから歩いて村まで歩いて行った。


「ったく、馬車でも使えばよかった・・・」

「そ、そうですよねぇ。まさか、こんなにも距離があるとは・・・」

 

 駅を中心とする街フーリオから村まではかなりの距離があった。おかげで、こうして二日目もかけて辿り着くはめになったのだ。


「・・・・ん?」


 村は夕方にしてはいささか活気がなく、誰も見なかった。どの家も誰もいなかった。


「誰か!誰かいませんか!」


 少し妙に思い、全ての家を回ったが、誰もいなかった。


「ユウさん・・・」

「ああ、解ってる。この村、誰もいないんだ・・・一体、どうして・・・」


 少しばかり魔力の痕跡があるが、一体何をやったのか解らなかった。


「ユウさん、あれ・・・」

 

 アリサが村の奥の森へ指を指しながら言った。


「怪しいな・・・」


 見ると、森の中に巨大な城が建っていた。


「前は何も無かったんだけど・・・」

「調べる価値はあるな・・・」


 俺とアリサは森へ踏み込み、城へと辿り着いた。


「・・・すみません、誰かいませんか?」


 城の門を何度か叩くが、誰も出て来なかった。

 仕方なく、白の中へと一歩踏み出す。

 中は豪華に飾られ、何処かの貴族の城なのだろうか? 

 

「あのぅ」

 

 誰も出て来ない。が、ホールの目の前の扉がギィィィと開く。

 そこから出て来たのは、


「ああ・・・うあ・・・あう・・・う・う・・・・」


 ゾンビの大群であった。

 この前の列車の事件とおそらく関連があるのだろう。


「アリサ、一時撤退だ」

「うん」

 

 俺とアリサが城から逃げようとした時、扉がバタン!と閉まる。


「折角やって来た客人だ。ゆっくりするがいい」


 そう言って奥の階段からメガネをかけた女が出て来た。


「・・・誰だ!」

「私か?私は、ミファエル。天界、四大天使の一人」

「その天使さんが、一体どういう悪趣味をしてるんだ?」

「これは、私の研究成果」

「ネスの方がまだいい研究だったな」

「ネス・・・か。奴に研究資料を与えたのはこの私だ」

「・・・ってことは、お前が全ての元凶になるんだな」

「そいうことになるな」

「そうか・・・」


 俺は右手から炎の弾を放つ。が、ミファエルは体をズラして回避する。


「つまらん攻撃をするな」

「うるさい。それで?何がしたいんだ?」

「結果を言うならば、お前の体を解剖したいな・・・」

「なるほど。だが、俺を解剖しても何もおもしろいことはないぞ?」

「ふっ、半分天使なんて、そそられるじゃないか?」

 

 次の瞬間大量のゾンビ達は一斉に走って来た。


「ちっ!」

「ユウさん!ここは任せて下さい!『レッド・リカルテ』」


 アリサが紅い球体をホールの中心に放ち、球体は真っ赤なレーザーを周囲に放ちまくった。


「任せた!」


 大きくジャンプしてミファエルの元へ行く。


「『破邪・一点』!」


 階段に立っているミファエルに向かって、俺の右拳が炸裂した。


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