第五十五章 ゾンビ
「伝説のちくわって(笑)」
「おいおい、その(笑)は何だよ」
ヨシュアにメモを渡すと、いきなり笑われた。
「ていうか、何でちくわ何だよ・・・」
「まぁ、何でもいいんじゃない?」
「いや、そういう問題じゃないだろ」
すると、アリサが顔を出してきた。
「あれ、ユウさん。それって、ミグライドちくわのことですか?」
「ミグライド?」
「はい、私が少しだけお世話になったミル村の有名な特産品のことです」
「・・・よし!早速行こう!」
俺は立ち上がって外に飛び出す。
「まって、私も同行していいですか?」
「ま、まぁいいけど。どうして?」
「・・・えっと・・・あの、それは・・・」
アリサはモジモジしながら言った。
「やっ、やっぱり現地を知り得ている人がいいと思って・・・」
「それもそうだな。んじゃ、行きますか」
俺とアリサはそのミル村へと旅だった。
道中 汽車の中 夜
「ユウさん」
「ん?」
「エミナさんは、今日一緒じゃないんですか?」
「ああ、あいつは少し家に帰るだそうだ。何でも、ここ数日で色々あったしな」
「そ、そうなんですか。じゃぁ、今日はふ、二人だけなんですね」
「まぁ、見りゃそうだろう」
そんな会話をしながら汽車の揺れに身を任せる。
と、次の瞬間大きな衝撃が汽車全体を襲う。汽車はバランスを崩し、脱線した。
「いててて・・・何が、どうなったんだ?おい、アリサ大丈夫か?」
「うう・・・何とか・・・けど、何で、こんな事に?」
アリサは大丈夫のようだ。
横転はしてないせいか、他の乗客も大きな怪我ないようだ。
「ああ・・あう・・・・うあ・・・」
「?アリサ、アリサ、変な声出さなかった?」
「?」
何だ、今の声は?
夜の暗闇からそんなうめき声に似た声が聞こえる。
「あう・・・・・あ・・・・・・」
何かいる。こう、ドス黒くて、嫌な感じ・・・。
「『索敵』」
静かに目を閉じて、周囲の魔力を探るが、これと言って大きな魔力を感じない。
「一体・・・」
その時だった。後ろの方から悲鳴が聞こえた。
「な、何だ!」
俺達が後ろに行くと、そこには腐敗した無残な体を動かす人がこちらにゆっくりと近づいて来たのだ。
「ゾ、ゾンビ!」
誰かが言った。
「み、皆さん落ち着てください。と、とにかく前へ!」
係員が指示を出して乗客を前へ誘導する。
「あなた方も!」
「いえ、私達はこう見えても傭兵です。ここで、時間稼ぎぐらいなら出来ます」
「・・・解りました。お願いします」
「んじゃ、少し粘りますか・・・」
「うん」
見た感じでは数千体はいるだろう。
赤い眼の数はそうしている間にも次々と増えていく。
「『緋炎・炎龍』!」
「『ボルト・アロー』!」
炎の龍と雷の矢がゾンビを襲う。
体は燃え、貫かれていく。
「ユウさん。こいつら、単体の攻撃も弱いし、動きも鈍いです」
「ああ、だがこう簡単に倒されると・・・」
「?」
「いや、今は戦闘に集中しよう。『炎雷』」
数分後。
そのほとんどを倒し、目の前にゾンビの第二陣が迫っていた。
が、俺とアリサの戦闘力があれば直ぐに片付くレベルだった。
「この展開・・・解せないな」
「?」
「やっぱり、何かが・・・」
そして、パチン。そんな音が闇の中に広がる。
「があ・・・・あがあ・・・・・あ・あ・・・あ・あああ・・・・・」
ゾンビの様子が急に可笑しくなってきた。
少しだけ体格が大きくなったのだ。
そして、一斉にこちらに向かって走り出して来たのだ。
「げっ!」
「ひっ!」
俺は一瞬遅れて攻撃魔法を出す。
「『緋炎・炎龍』」
炎の龍が奴らを食らう。
が、その中の数体はまだ動けるのであった。
「なるほど、中途半端は無駄ってことだな・・・」
屈強なゾンビはその生命力までパワーアップしていた。
あっ、死んでるけどね。
しかし、これだけタフになられると時間が掛かるな・・・。
「ユウさん、ここは私に任せてください」
アリサが前に飛び出る。
「お、おい!」
アリサは両手を天高く広げる。その上には月があった。
「我が古より伝わる月光よ。その真の姿を現し、神聖なる月の光よ『月光砲』」
次の瞬間アリサの周辺に巨大な魔法陣が縦に五つほど展開し、同時に月の光によく似た光が放たれた。
ゾンビは光によってその体を粉々にされ、消えていった。
「・・・・・・・」
やるなぁ。
見ると、目の前にた全てのゾンビは全滅していた。
後日、このゾンビ事件について憲兵団の調査団が派遣されたが、結果何もなかった。と発表された。




