第五十四章 紫電
『紫電』その名の通り、紫の雷のことである。俺も聞いたことはあるが、雷をどうやって手に入れるのか?
若干興味があった。
「ふぅ・・・ここであってんのか?」
「う、うん。多分そうだと思うんだけど・・・」
俺とエミナは紫電を取りに、空の街スカイにやっていた。
スカイは大陸で二番目に高いと呼ばれているファナーグラーという山を登っていた。
「はぁ・・・はぁ・・・流石に疲れた」
「そ、そうだね・・・私も体力には自信あったんだけど」
スカイに着いたのは登り始めて二日目の夜だった。取り合えずその日は宿を取り、休むことにした。
「すみません、紫電はうちでは扱っていないんです」
「あ、そうですか。ありがとうございました」
肩を落としながら店を出る。
エミナと合流して互いの話をすると、どの店も同じことを言われた。
「何で紫電が売ってないんだよ・・・」
「まぁまぁ、やっぱり高級な雷なんじゃないの?」
「雷に高級とかあんの?」
「さぁ・・・・」
「うむ」
そうしているうちにも時間は過ぎていく。
「はぁ・・・ホント、マジで無いんですけど・・・」
全ての店は確認しただろう。そのおかげか俺は一人広場で項垂れていた。
すると、エミナが笑いながら走って来た。
「ユウ君~」
「ん?」
エミナの後ろには髭を生やしたおっさんが立っていた。
「俺の名はガイザック。飛空艇乗りだ。あんたら、紫電が欲しいんだろう?」
「まぁ」
「そうか。悪いが、今期は調子が悪くてなぁ。それに、紫電は轟雷鳥イカヅチの雷でかなり希少価値が高いんだ。しかも、三年に一回取れるかどうかなんだ。更に、イカヅチはその凶暴な性格から並の男では太刀打ちできんからなぁ」
「その点は心配なく。こう見えても腕には自信があるんです」
ガイザックは不適に笑うと、
「なるほど、おもしろい。イカヅチの会える確率は百分の一の確率だ。善は急げだ。早速行こう」
ガイザックに連れられて、ガイザックの船に乗り込む。船は直ぐに出発し、黒雲に突っ込む。
黒雲の中では引っ切り無しに雷が鳴り、さっきから耳が痛い。
「さぁ、二人とも。雷の採取の仕方を教える。雷は基本的にタイミングが大事だ。この、雷筒」
そう言って一本の筒を取り出した。
「雷筒?」
「ああ、これには雷を誘導する仕掛けがあるんだ。そして、近くで雷が起こると、こうして!」
突如近くで起こった雷に向けて雷筒を開けた。すると、雷は引き寄せられるように筒の中に収まる。
「と、つまりこういうことだ」
「・・・・凄い」
「ああ、雷ってこうやって取ってるんだ・・・」
初体験を済ませると、俺達は本命を目指した。
「イカヅチは主に雲の中心にいる。そこまで行くから、その後は任せたぞ」
「オーケー。どんなのか拝見するか」
「ユウ君、無理はダメだからね」
「解ってる、解ってる」
飛空艇はそのまま進路を黒雲の中心へと向けていった。
「そろそろだ。準備しろ!」
俺は雷筒を手に持ち、体を乗り出す。
「・・・あれだ」
雲を突き抜けた。
すると、そこには丸く、雲が無い空間が広がっていた。
その中心に紫の光を放つ鳥がいた。
目を瞑っていたので、どうやら寝ているようだ。
「奴の雷自体を取ることは決して不可能ではない。しかし、退避がかなり難しんだ。それで、何度も落ちた船は珍しくない」
「そうか・・・まっ、なるようになるさ。やってくれ!」
「・・・本当に大丈夫なんだろうな?」
「ここまで来て逃げるなんて出来ないぜ?」
「お願いします、ガイザックさん」
次の瞬間飛空艇に搭載されている大砲が鳴る。
同時に弾はイカヅチが展開している雷のシールドによって爆発する。それにより眠りから覚ました。
イカヅチはこちらを睨む。
「来るぞ!準備しろ!」
イカヅチは真っ直ぐこちらに紫の雷を放つ。
「おらっ!!!!」
同時に雷筒の先端部分を開く。
イカヅチの雷は勢いよく筒の中に入る。
「よし!全速力で逃げろ!」
ガイザックの指示に飛空艇は雲の中へと逃げる。
が、イカヅチはその後ろからこちらに向かって追撃を仕掛けて来る。
「『緋炎・炎龍』!」
炎の龍がイカヅチを覆う。が、すぐさま雷によって四散する。
が、十分な目くらましになっただろう。
「やるなぁ!」
飛空艇は黒雲を突き抜け、青空へ風景を変える。
その後、俺達はガイザックにお礼をいい、紫電の半分を貰った。
「まぁ、何もともあれ。紫電、ゲット!」
「うん、よかったね♪」




