第五十二章 秘密
「まったく、手間をかけさせて。何の為にあの男に私達が助力したと思っているのですか?結果的に彼を覚醒させたではりませんか?」
地上界から遥か上空。そこには、特殊な結界で守護された城があった。そこに、翼を生やした天使達が喋っていた。
「まぁまぁ、いいではありませんか。作戦は間もなく実行されます。それに、刃向う者が誰もいないと、我々の部隊の士気は上がりません」
天使長アリエルに口を挟んだのは副官のリシュエルだった。
「しかし、ユグドラシル様は何をお考えになっているのでしょうか?」
「慎みなさい、リシュエル。それは、ユグドラシル様へ対する反逆の意ですよ?」
「はっ、失礼しました。以後、気を付けます」
「解ればいいのです」
「失礼します」
リシュエルはそう言って部屋から出て行った。
それを見たリシュエルの天使達が近付く。
「リシュエル様、何かあったんですか?」
「いや、何でもない。あいつさえいなければ・・・」
「?」
「どうか、なされたのですか?」
「・・・さぁ、任務に戻るんだ。作戦決行まで時間がないぞ」
リシュエルは出て来たドアに向かって一度だけ睨むと、地上界へ降りていった。
エミナからある程度の話を聞いた俺は放心状態だった。
「そんなことが・・・」
先程から同じことを繰り返している気がする。
数時間後、気持ちの整理をして俺はギルドに向かった。
そして、数日したある日、俺はエミナに言った。
「俺さ・・・」
「?」
「新しい剣、欲しいな」
何で?と、最初は言われた。まず、この力についての解明が先でしょ?
と、言われた。かと言って、一人で考えていても解決するような問題じゃない。それよりも、ぶっ壊れた剣をさっさと俺は欲しかった。
若干、天使の力なんぞどうでもいいという自分がいたのかもしれない。しかし、この先この力と真っ直ぐに向き合っていく必要は必ずあった。
ドワーフ達の村、ガルデナは火山の近くにある村である。鍛冶屋で有名なこの村には、様々な剣士が赴いているのだ。
その片隅に小さな小屋があった。
俺はそのドアを押す。
「失礼しまーす。あの、ガジルさんいらっしゃいますか?」
中に入ると長い白髭を生やした一人のドワーフの爺さんがいた。
「何だ?貴様らは?」
「えっと、剣の注文をしたいんですが・・・」
「・・・ガキが」
「・・・・・・エミナ、俺達は喧嘩を売られてるんだろうか?ねぇ、買ってもいいかな?」
「ユ、ユウ君落ち着いて・・・」
ドワーフの爺に飛びかかろうとする俺をエミナは必至で抑える。
「・・・・・」
「な、何だ?」
「お前、名はなんという?」
「・・・ユウ・アサマだ」
「・・・アサマ。お前の親父の名は?」
「デューク。デューク・アサマだが?それがどうかしたっていうのか?」
爺は少しだけ考えた後に、
「なるほど、あいつの息子か(笑)」
「おい!(笑)ってなんだよ!馬鹿にしてんのかぁ!」
「待て待て、そう怒るな。折角剣を作ってやろうかと思ったんだが・・・」
「・・・・・・」
「さて、半天使の力を使えるお前にはそんじょそこらの剣では力が十分に発揮されん」
「待て!今、聞き捨てならんことを聞いたぞ」
「何だ?」
俺は疑問を問いかけた。
「何で、俺が天使の力が使えることを知ってるんだ?」
「・・・は?親父から何も聞いていないのか?」
「一切」
「・・・・・」
俺とエミナは顔を見合わせ、ぽかんとする。
ドワーフの爺も何を喋ったらいいのか焦っていた。が、そんなオロオロした空気をぶち壊す人物が現れた。
「ふはははははははははっ!やはりここにいたか!」
「・・・師匠?」
ドアを壊して中に入って来たのは師匠だった。




