第五十章 彼女対彼氏
お互いボロボロで、満足に体を動かすことも出来ない。立っていることが精一杯で、どちらも後には引けない。
俺はエミナに問いただした。
「何で、俺を攻撃するんだ?」
「・・・・・・・」
「何か、理由があるんなら、聞かせてくれ。頼む・・・」
俺の声はエミナは言った。
「全部、全部あなたの為・・・ユウ・・君を、助ける為・・・」
そう、震えた声で言った。
「・・・訳解らんぞ」
「私は、ユウ君がこっちの世界に来る半年前に来ていたの」
「半年前・・・」
半年間、エミナはこっちで一人で頑張っていたのか・・・。
「そして、ネスと取引をしたの・・・」
エミナは言った。
「私がこちら側につく代わりに、ユウ君を元の世界に帰す」
少し予想していた答えだ。
「だから、私はもう引けないの」
エミナは静かに弓矢を構える。
「お前は・・・どうするんだ?」
「っ!私は・・・私は・・・・・・」
「俺は、お前のいない世界にいても、楽しくないよ」
続けて言った。
「けど!ユウ君は帰った方がいいよ・・・元の世界に・・・・」
「俺はエミナが好きだ!だから、エミナがいない世界なんて想像できない!」
「ユウ君が何を考えていても、私にも譲れないものがあるの」
「信念・・・か」
エミナは既に覚悟を決めているのか、その瞳に迷いはなかった。
彼女と戦うのはこれが最後かもしれない。
「解った、来い。エミナ」
「行くよ、ユウ君」
先に動いたのは俺だった。
エミナの弓は近距離戦に持ち込めば役に立たない。そう思ったからだ。
距離を詰めれば問題ない。
「甘いよ!『赤壁』」
エミナが矢を地面に放つと、突如目の前炎の壁が出現した。
「熱っ!」
反射的に後退してしまった。
と、炎の壁を貫いて、向こう側から矢が飛んできた。咄嗟に回避行動に出たが、肩に刺さり、血が滲む。
「ぐっ・・・ただえささっきのダメージがあるっていうのによ・・・」
もし、仮に、エミナの言っていることが本当なら、彼女は俺を殺さない。
それを狙って俺がいっき叩くしかない。俺もエミナは殺さない。殺さない程度に・・・俺に出来るのか?
彼女を殺さずに無力化することが・・・。
「我が断罪の矢よ・・・」
矢は神々しく光りながらエミナの手によって引かれる。
「『ジャッチメント』」
放たれた一閃は眩しい光を纏いながら俺に直進してきた。
俺はもてる最大限の力を振り絞って魔法を放った。
「『破邪・一点』!」
このような体に対して付属する魔法。付属魔法は体力を著しく消耗する。ので、この選択は間違っていた。
闇を打払う魔法は互いに反発しあい、爆発的な破壊力を生んだ。その場にいる俺はその場から吹き飛び、壁に衝突する。
「・・・・・・・」
数秒、壁から離れ、床に体を落ちる。
声を出すことも出来ない。
視界がぼやけ、何も動かすことが出来なかった。黙ってこの状況を飲み込む自分が情けなかった。
俺は・・・何の為に・・・。
無力、その二文字が頭を過る。
「さぁ、ネス。速く終わらせましょう。この世界を・・・それが、終わったら・・・」
「あ、ああ。案ずるな。計画はこのまま実行だ。何の問題もない・・・」
「再装填完了しました。いつでも撃てます」
研究員の一人が報告する。
「ぐ・・・流石に傷が響くな。まぁ、いい。これで、これでやっと・・・目標、フィディアス!」
「照準合わせました!発射まで十・・・」
ああ、やはり俺は無力だ。
何も出来ずに全てを失う。喪失感を感じていた。
「九・・・八・・・」
体を動かそうとするが、俺の言うことなど何も聞いてくれなかった。
「七・・・六・・・」
魔法なら何とかなると思ったが、魔法を使う体力がなかった。
「五・・・四・・・」
一体何度同じ光景を見ればいいのだろうか?
「三・・・二・・・」
サシャは俺の為に死んだ。
フィアは自分の見た俺を信じてくれた。
ヨシュアは俺がいない間にも必死になって戦った。
リタは口こそ悪いが、懸命に守るものを守った。
アリサは自分の過ちに気づき、己を立て直した。
シュリアは一国の姫でありながら、常に前線で戦った。
そして、エミナはどんな時でも、どんな状況下でも俺を優先し、助けてくれた。
誰もが思うことがあり、誰もが必死になって、もがいて、足掻く世界。
そこには、一体何が待ち受けているのか?
えーっとですね
なんか、自分で途中書いてて終わりそうにありませんでいした
まぁ、次は・・・次の次ぐらいには異世界編終わりそうなんで
ホント、すいませんでした
もう少しだけ待っていてください!




