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ブレイク!  作者: ぞえ
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第三十六章 答え


 一日目


 壁の松明を一つ取って、俺は奥を進んだ。何処かの建物の中らしく、少し変わった模様などが描かれている。


「これは・・・」


 一度、古文書で読んだ事がある。魔物の、何処かの部族のものだったような気がする。

 俺はそのまま直進した。

 すると、建物内部から出れたようで、出口が見えた。そこは・・・。


「師匠、本当にここは何処なんですか?」


 太陽は黒雲で掻き消され、台地は腐っており、木々は黒く染まっている。引っ切り無しに遠くの火山が噴火し、魔物の声がそこら中から聞こえる。


「・・・まさか、ここは・・・暗黒大陸?」


 一度だけ、聞いた事がある。

 今は亡き魔王が住んでいた大陸。

 地図には載っておらず、そこでは様々な種類の魔物が生きていて、独自の生活を作っていると。

 魔物だけなので、人間がこの地にいれば、エサにされるだけだ。

 魔王は今はいないはずなので、魔物独自の社会が成り立っていると考えている。

 

「なるほど・・・師匠。あんたの言いたい事がやっと解ったよ・・・」


 俺は真っ黒な荒野を歩み始めた。


「ギヒッ!こんな所に人間がいるぞ!」


 早速魔物と遭遇した。


「ゴブリンか・・・」

 

 俺より少しだけ小さいゴブリンが五匹程、剣を持って近付いて来た。

 魔法で一発か・・・。

 俺は手を前にして言った。


「『緋炎・炎龍』」


 シーン・・・・。

 あれ?


「何だ、こいつ!殺っちまえ!」

「ひひひひひっ!!」


 コブリン達は四方から襲って来た。

 俺は咄嗟に剣を引き抜き、コブリンの剣を破壊する。


「よし!これなら行ける!」


 俺は続いて来たゴブリンの剣を弾く。

 

「こいつ、中々やるぞ!」

「一旦、親分に報告するぞ!」

 

 ゴブリン達は背中を向けて走り出した。


「親分って・・・逃げた方がいいな・・・」

 

 それよりも、何で魔法が使えないのか理解出来ない、もしかして・・・師匠?

 二十分程走ると、館が見えた。


「館?」


 この世界にしては珍しく、立派で綺麗な館だった。


「お邪魔しまーす」


 俺はオドオドしながら館に入る。


「誰か?いませんか?」


 シーン・・・。


「誰もいないのか?」

「はい・・・何のご用でしょうか?」


 少しすると一人の女性が奥から出て来た。

 茶色の長い髪の毛を垂らし、普通にスタイルもいい。美人と言ってもいい程だ。


「その、一晩泊めてもらいませんでしょうか?」


 女性は少し黙ってからニッコリ笑って『はい』と答えた。


 その日は速くに寝ようと思って、ベットに入った。


「・・・師匠は一体何を考えているんだよ」


 俺は呟きながら深い眠りの中に入った。

 

 時間は午前一時を過ぎた所だ。

 この家の主人の女性が部屋に入って来た。ベットの前に立って、隠していた物を取り出した。


 ブスッ!


 女性が持っていたのはナイフだった。鋭く尖ったナイフを何度も何度もベットを刺す。

 十回以上刺すと、布団を引き剥がした。


「なっ!」


 女性は驚愕した。

 何故なら、そこには誰もいなかったからである。


「そうだと思ったぜ。第一、こんな所にこんな館。可笑しいだろう?」


 天井に張り付いていた俺は、そのまま下に降りて女性の腹部を斬る。

 

「がっ!」


 女性が倒れると、体を変えて狐になった。


「女狐か・・・」


 同時に館のあちこちが朽ち始め、廃墟となった。

 まさか、狐がこんな幻覚魔法を使うなんてな・・・。


 二日目


 この暗黒大陸では太陽の存在というのはないに等しい。

 それは、あの黒雲が太陽の光を届かしてないからだ。なので、この大陸は一日中暗いのだ。


 その高原は俺は走っていた。

 後ろにはウルフが三頭追っかけている。

 ジリジリと追いつめるような戦いである。これは、狩りをする魔物の戦い方である。


「ちっ!」


 ウルフは俺よりも速いが、俺の体力を減らしつつ、確実に捕えようとしていた。


「くそっ!」


 気がつけば、後ろには巨大な岩があった。岩を背に、俺は正面をウルフに追いつめられていた。


「ガルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!」

 

 ウルフは牙を剥き出しにして近づいて来る。

 次の瞬間ウルフ達は一斉に飛びかかって来た。俺も覚悟を決めて飛び出る。

 正面の一匹目の攻撃を身を低くして避け、剣を上に突き立てた。

 剣はウルフの腹を貫いた。

 直ぐに左右のウルフが襲い掛かって来たが、二匹とも斬り殺す。


「はあ・・・はあ・・・はあ・・・剣だけじゃ、やっぱ限界があるよな」


 魔法が使えないこの状況では、戦いにも限度があった。


「人間、やるではないか。しかし、貴様の運命もここまでだ」


 俺の目の前には巨大な狼がいた。


「ベオウルフ・・・」


 昔、師匠に貸してもらった古書に載っていた。

 伝説の三大魔狼の一匹である。

 

「覚悟をしろ。人間、ここに来た人間は餌になる以外の方法はないのだ」


 と、襲い掛かって来た。

 咄嗟に攻撃を避け、逃げる。

 こんなの相手じゃっ!


「大人しく食われろ!」


 ベオウルフは逃げる俺を追いかけて来る。

 その鋭い爪を剣を盾にしてガードするが、思いっ切り吹き飛ばされる。地面を抉り、大木に衝突した。


「・・・・・・・・・」


 悲鳴すら上げられない。

 体中に激痛が走り、指一本も動かす事が出来ない。魔法があれば、咄嗟に防御魔法ぐらいなら使えただろう。

 しかし、どうしても使えなかった。

 魔法が使えない事がこんなにも自分を極地に追い込む事が出来ないなんて、思いもしなかった。


「どうした?悲鳴を上げる力も残ってないのか?」


 目の前にはベオウルフが立っている。回りには他のウルフが周囲を囲んでいた。

 絶体絶命とはこの事だ。

 

 あれ?似てるなぁ・・・あの時と。

 俺が思い出したのは、あの骸骨共と戦った日の事だった。

 あれも絶体絶命と言えるだろう。

 あ~、俺の人生こんなもんか・・・エミナの事は中途半端になって、修行に出たら魔法は使えず、こんな所で魔物の餌になるのか・・・。

 最後まで中途半端な人生だったな。


 そして、色んな出来事が俺の頭の中に流れ始めた。

 これが、走馬灯というやつなのだろう。

 しかし、走馬灯はとある場所で止まった。


「エミ・・ナ・・・・」


 エミナの笑顔だった。

 動かない指が少しだけ動いた。


 彼女の事を中途半端にしてしまった以上、はっきりとしておくべきだった。

 俺は、ずっと彼女の事が何故好きなのか疑問に思っていた。けど、どうでも良かった。

 何してんだよ・・・。

 エミナが笑えばそれでいいじゃないのか?

 エミナは俺にとって大切な人であり、エミナは俺にとって愛する人なのだ。

 そこに疑問が生じる筈がなかった。

 

 好き。


 それだけ十分だった。

 彼女に会いたい。その願いこそが、俺を突き動かした。


 ベオウルフの前足が振り下ろされた。


「全てを零度へ、凍てつく世界の門が開けし時、真実の世界を現す。真・氷結魔法」


 俺は声を振り絞って言った。


「『絶対零度』」


 全てが氷へと変わる。

 俺を中心とした半径三キロの世界が全て氷へと変化した。

 目の前にいるベオウルフは全身が氷ついていた。

 

 エミナ・・・・・・・。


 最終日


 悪いが四日間分は省略させてもらう。

 特にやった事がないからだ。

 さて、最終日。この一週間俺は毎日が修羅場だった。安全などありはしなかった。が、その中で俺は今一度気づかされた。

 

自分の大切な人が誰なのか。

 


次はヒロイン争奪戦です!

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