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ブレイク!  作者: ぞえ
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第三十五章 揺らぐ気持ち

 

 取り合えず修行と言う訳で、ヨシュアとエミナは森へ入っていった。俺は用事がある為、後か行く事になった。

 用事とは・・・。


「それで、何とかなりませんかね?」


 高級そうなソファーに座り、その反対側には少しだけ困ったそうな男女がいた。


「そうですか・・・しかし、私達にとっても・・・」


 四十代ぐらいの男性が言った。名前はディア・カーツンさんだ。


「そうね、あの娘が言うなら・・・けど、既に決まった事だし・・・」


 同じ四十代ぐらいの女性が言った。名前はマユ・カーツンさんだ。

 二人は既に決まった事と言っている。


「・・・ブラットさんから話は聞きました。解りました。その話を私達も飲みましょう」

「ありがとうございます」


 俺は安堵したように息を吐く。


「あなたは、エミナの事が好きなのね?」

「えっ!」


 一瞬の言葉に思考が停止する。


「正直、解らないんです。確かに好きです、愛しています。けど・・・何かが違うというか・・・この一年で心が変わったんですかね?」


 マユさんは言った。


「あなたがそう思うならそうじゃないの?けど、一つだけ言える事は、欲しものがあるなら、自分の手で掴み取りなさい」

「ああ、それが本当に望むものならばな」


 最後にそれだけ聞くと、俺はカーツン家を後にした。


 欲しいものがあるなら、自分で掴み取りなさい。か・・・。


 ため息を吐くと俺も修行場に急いだ。




 三人でローテンションして戦い合いお互いの動きの改善を見直した。

 ヨシュアが言った。


「それにしても、修行が必要な相手なのか?」

「うん・・・ラスクのブラット家は、代々伝わる伝説の剣があるらしい」

「伝説の剣?」

 

 俺の問いにエミナは言った。


「うん、なんか『エクスカリバー』って、言うらしいよ」

「「・・・・・・」」


 エクスカリバーって、伝説級の伝説の武器じゃん。


「おい、エミナ」

「ん?」

「やばいぞ・・・」

「ユウ君?」


 頭の上に?マークを出しているのを見ると、どうやらエミナはエクスカリバーの能力を知らないようだ。


「エクスカリバーの能力は『光』。光系統全ての魔法が使えるんだ。更に言うと、自身の魔力の最大まで上げ、エクスカリバー無しでは使えない究極魔法があったりするんだ」

「それでも、ユウ君なら何とかなるんでしょ?」

「うっ」


 エミナは期待の眼差しで言った。


「まあ、全力は尽くす。エミナをあんな変な男に連れて行かれてたまるか」


 エクスカリバーか・・・。

 聖剣。なら、光に対して闇・・・も、いいかもしれんな。

 それに、聖剣なんかと戦った事ないしな・・・未知数の敵か・・・。


「まあ、とにかく俺達の出来る事をしよう」


 二人は頷くと、それぞれの修行に戻った。




 二日目は俺は用事があったので、修行を抜けさせてもらった。


「悪いな。今日からちょっと、フェーデルって言う村に行くよ。少しばかり、特訓しに行って来る」


 すると、エミナは一瞬黙ってから言った。


「ユウ君。そう言えば、昨日の夜に使者が来て言ったの。決闘は一週間後だって」

「解った。一週間後。また、戻って来るよ」


 二人に挨拶すると、俺は走り去った。

 オリビアから遠く離れたフェーデルという森の中の小さな村だった。


「よっ、久々だな」

「改めまして、ありがとうございました」

「まあまあ。そう改まるな。それより、何か用があって来たんだろ?」

「そうですね」


 俺は椅子に座った。その反対側にいる五十代ぐらいの男。エド・フリオは俺の師匠だ。

 全身が青色の装備で整え、壁には刀が置いてある。

 師匠はあの刀と自身の魔法で幾つもの対戦を生き抜いて来た男である。今は、俺と同じのフリーの傭兵だ。

 俺はここ数日で起こった出来事を師匠に話した。


「ふ~ん、なるほど。で、俺の所に来たと」

「はい・・・俺自身も彼女の事をどう思っているのか解らなくて・・・確かに好きです。愛しているんです。けど、恋愛じゃない、何かが・・・心の隅で渦巻いているんです」


 師匠は少しだけ黙って言った。


「お前、全然変わってねぇなぁ」

「え?」

「俺がお前を世話してた時と。全然。全く。成長してねーな」

「俺の何処が成長してないんですか」

「確かに、前回より一回りでかくなってると思うぞ。見ただけで解った。けど」


 師匠は俺の胸に一指し指を当てた。


「ここは、全然だ。ガキと一緒だよ」

「・・・・・・・・」


 言い返す言葉もない。


「だから、その根性を叩き直す修行を。今から行う」

「今からですか?」

「ああ、地獄の特訓だ」


 師匠に連れられたのは村の外れにある神殿だった。

 もう、誰も使っておらず、中には奥へと続く大きな門が一つあった。


「師匠・・・これは、特訓とかのレベルじゃないですよ・・・」


 目の前にあるのは通称『煉獄の門』。昔、修行者が幾度となく挑戦した地獄へ続く門だ。

 これに潜って戻って来た者は歴史上に三人しかいない。

 その一人は師匠なのである。


「んじゃ、ばいばーい」

 

 門の奥に突き飛ばされ、門を閉められる。


「ちょっ!決闘の日は一週間後何ですけど!!」

「それじゃぁ、一週間後までに帰って来たら?」

「そんな、無責任な!」

「ちっちっちっちっ!本気でやれば、何とかなるって」

「えーーーーー!!」

「死ぬ気になってみろ」


 ガタンッ!

 門が閉じる。


「・・・・・・・・」

 

 廊下に火が灯り、奥へと続く道が見える。

 そうして、地獄の特訓が幕を開けた。


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