第三十四章 始まりの傍観者
新章突入って感じで
「よっ」
「うい」
ヨシュアに軽く会釈をして、彼が座っている椅子の横に座る。
あれから一カ月が経とうとしていた。
皆の前に俺が現れた時は幽霊とか言われたけど、今はいつもの日常に戻って来た。アリサに泣いて抱きつかれた時のエミナの形相は凄かった。
まあ、これも愛されている証拠なのかな?
「ユウ君。これ、飲み物」
「おっ、ありがとう」
エミナも来たみたいで、飲み物を俺の目の前に置いてくれた。
「ユウさん!」
次はアリサがやって来た。俺の両脇は空いてないと気付くと、目の前に座った。
「あれ?皆もう来てたの?」
フィアとリタが最後に登場して来て、近くにあった椅子に座る。
さてと、始めますか。
俺に何が起こったのか。
それを、皆に説明しないといけない。それで、今日は皆に集まってもらったのだ。ていうか、アリサにしつこく聞かれて、だったら皆一緒に説明すると言った。
どうやら、俺の話について興味があったみたいで何よりだ。
「まっ、説明するとだな・・・」
俺は剣を持って突撃した。
フラフラになりながらも剣を振り回していたが、とうとう剣を弾かれて、遠い後方の地面へと刺さる。
「ちくしょうが・・・」
骸骨兵の剣が無造作に振り下ろされた。が、
「こんな所で何寝てんだ?」
「あ・・・」
俺は驚愕した。
俺の目の前には、数年前にいなくなった筈の人物がいた。
「し、師匠・・・」
そう言って、俺は気絶してしまった。
その後は何処かの街の医療所で一年お世話になり、今に至る訳だ。
「つーわけだ」
「なるへそ。じゃあ、その師匠に助けられたんだな」
「へえ、ユウ君の師匠には一回会ってみたいな」
「エミナ、やめとけ。あれは・・・鬼だ」
「ユウが鬼って、どんだけ強いのよ」
「それにしても、ユウさんに師匠なんて驚きですね」
「まっ、そうね」
皆が頷くと、俺のこの話は終了した。
「さてと。そろそろ仕事にでも行こうかな」
大きく背伸びをしてからボードを見た。
すると、ギルドの入り口から一人の男が出て来た。
「おやおや、エミナじゃないか」
そう言ってエミナの隣に座る。回りの者はそそくさと逃げる。
「まだ諦めてなかったのね。ラスク」
「諦める?誰が、何を?言っておくが、これはこの世界の為なんだぞ?」
「その話は断りました」
俺はヨシュアに聞いた。
「誰だ?あいつ」
「ああ、ユウは始めてか。あいつはラスク・ブラット。この一年で、名を挙げて来た貴族だよ。あいつの父親が、帝国との戦争で結構な戦力になってな」
「んで、何でエミナにくっついてんだよ」
「ああ・・・エミナの事も言ってなかったな」
「何だよ」
?
「あいつ、元々貴族何だよ。それで、身寄りのないエミナを受け持ったのが、そのエミナの家族の知り合いがエミナを拾った訳よ」
「んで」
「その知り合いがオリビアに半年前に引っ越して来てな。それで、あのブラット家の男が目をつけた訳よ」
「なるほど」
「しかも都合が悪い事に、あのエミナの両親も婚約を許可していてな・・・」
「えっ!エミナあの男と結婚すんの?」
「エミナがそんな事すると思うか?」
「ないと思うが・・・」
・・・というか、エミナと俺は何もないしな。キスはしたし、愛してるとも言った。が、別に結婚している訳じゃないし。はっきりとした恋人という関係?なのか?
「ちょっ、やめて!」
エミナの腕を強引にラスクが引っ張った。
俺は反射的にラスクの腕を掴む。
「おい、やめとけよ」
「ん?何だ、貴様?」
「エミナが嫌がってるじゃねーか」
「解らん奴だな。それに、これは彼女と俺の問題だ」
「・・・だから?」
「それで、君はエミナの一体何なんだ?」
「そ、それは・・・」
俺ははっきりと言えなかった。
「仲間だ」
ヨシュアが言った。
「エミナは俺達の大切な仲間だ」
「・・・なるほど。エミナ、それが君の答えなのか?」
「ええ、さっきから何度も言っているけど?」
ラスクはしばし考えた後、
「よし、ならばゲームでもしようか」
「ああん?」
「ゲームだよ。一週間後、この街の闘技場で三対三のバトルだ」
ヨシュアは言った。
「いいぜ、一番解りやすい」
ラスクは一度笑うとギルドから出ていった。
すると、エミナはヨシュアに言った。
「ヨシュア!何て事するの!!」
「だって、お前だってこれの方が簡単だろ?」
「・・・そうだけど・・・」
エミナは俺を見た。
俺はそれに答えるように、
「メンバーは俺とエミナとヨシュア。この三人でいいんだな?」
エミナは少しだけ寂しそうな表情をしたが、直ぐに戻して言った。
「解った」
「んじゃ、俺は少しばかり修行に行きますか」
「ああ、んじゃ俺も・・・」
「バカ野郎。お前は他にもやる事があるだろ?」
エミナの視線に気づく。
俺も少々視線をズラす。気まずいとか、そう言うのじゃなくて、本能がそうした方がいいと命令しているからである。
「取り合えず、俺らに任せておけ」
俺はエミナの頭を撫でた。
「・・・うん」
潰れる程小さな声でそう言った。
さてさて




