第二十八章 廃村にて
ちょっと、ピンチです。
俺はオリビアに約一カ月ぶりに帰って来た。懐かしい光景と共に、これとも別れなければならないと改めて実感した。
「それで、どうしてここにいるんだ?」
「えっとですね・・・何と言うか、退学したと言いますか・・・」
「お前が退学したら俺と校長の約束はどうなるんだよ・・・」
アリサは俺の目の前でにっこりと微笑んだ。
どうやらお隣に引っ越して来たようだ。隣の借家は俺とあまり変わらん程度だったらしく、金は問題ないと聞いた。
「まあ、私なりのけじめですかね。皆には悪い事しちゃったし、ユウさんにも迷惑かけてしまいました。だから、せめてユウさんのお手伝いが出来たら良かったなと思って・・・」
あ~、はい。
「・・・へえ、そんな娘といつの間に仲良くなったんだぁ」
エミナが腕組をしながら俺を見ている。
「い、いやぁ、どうなんでしょうねぇ」
思わず縮こまる。
「ふうん」
いや、俺は何も悪くないんだよ。全然、悪い事はしてないんだよ・・・。
「ユ、ユウさんは全然悪くないんですよ!私が勝手にした事だし!」
アリサは頑張って俺を庇ってくれているが、エミナにはそれが逆効果と言うか。
「ほお」
「・・・・・・」
「さ、さあ!次の依頼に行きましょう!」
この戦いはアリサによって一旦幕を閉じた。
お金がないんだよね~。
おそらくこの言葉は二回目になるだろう。
何故?
理由は簡単。この前の報酬は潰した学校の弁償に全て注がれたからである。
「はぁ・・・」
復讐はするつもりだが、生活する金がないと目的が敗れてしまう。
資金!資金!資金!
最近は宿屋暮らしで体が痛いし、教師の依頼だったから旨い物も食べれていない。
「ちょっといい感じの物が食べたいな・・・」
俺は少しばかり旨い飯が食いたい為、取り合えず依頼をする事にした。
「おお、ユウ。来たな」
『紅の星』のギルドマスターの婆さんが一枚の紙を俺に渡した。
「何これ?」
「お前宛ての依頼書じゃ」
「ふ~ん、俺専用か・・・」
「別にやらなくてもいいぞ」
「まあ、いいさ。丁度、報酬金もいいし。それじゃ、行って来るわ」
詳細は村まで来ると話をすると書いてある。
「まあ、いっか」
「はいはい!それ、私も行く!」
エミナが横から出て来た。
「悪いが、これは俺一人だけなんだ」
「えー」
俺はエミナに手を振ると、そのままギルドを後にした。
村はサザーランと言われる廃村であった。
「こんな場所に呼び出して何だよ・・・」
俺は若干霧が掛った村を歩く。
すると五人の男が現れた。
「・・・・・・」
「我らは帝国の命令によって、君を殺しに来た『リキッド』」
「お前の命をもらいに来た」
まず先頭の三人が斬り掛って来た。後ろの二人を見ると魔法の詠唱を始めている。
「『爆炎と連鎖』」
三人が爆発で後ろに後退するが、更に後ろの二人までは届かなかった。同時に紫のガスが周囲を包んだ。
「っ、毒・・・」
体の気力が徐々にだが失われて行く。
意識が薄れて行く。
「くそ・・・・」
「大丈夫、体の自由を封じる毒だ」
「君はじっくり殺させてもらうよ~」
男達は俺を取り囲んだ。それぞれが用意したのはナイフだった。
一撃で殺す気はないらしい。
「この世界に君はいらないんだよ」
「抹殺・・・」
「まったく、何でこんな弱い奴を俺達が殺さないといけないんだよ・・・」
「・・・・・・・」
くそっ、どうする?体が動かないのなら魔力を一点に集中する事すら出来ない。
「はっは!!」
「がっ!」
太ももを刺された。
血が流れ始める。真っ赤な血だ。
ヤバイ・・・・。
こんな感覚は久々だった。
戦場に戻った時のように。心臓の鼓動が大きくなる。目が見開く。聴覚も敏感になり、男達の一言一言が遅く聞こえる。
「死ね」
男の一人がナイフを振り下ろした。
「まったく、こんなの前回の真逆だね」
エミナが立っていた。
銀色の長い髪の毛を靡かせ、左手には愛用の弓を持っている。
「エミナ?」
「あっ、大丈夫?」
「あ、ああ。何とかな」
「任せて、ここは私が何とかする」
エミナは構えた。
「・・・女か」
「おいおい、こんな奴さっさと犯してやろうぜ」
「まったく、せめて励みでもさせてもらうよ」
「ひひひ・・・」
「エロす」
エミナは一瞬表情を凍らせたが、再度構える。
「誰があんた達とやるもんですか」
男達は一斉に飛びかかって来た。
私、エミナ・エスカートはユウ君に負けて、軍を辞めた。彼に言われた言葉が心の奥でジンジンする。
憧れにも似たものと、恋に近いものだと思った。
けど、ずっと戦闘訓練を受けていた者としては、何が憧れで、何が恋なのかさっぱりであった。
しかし、私は彼の為に戦う。
これ以上、嬉しい事はない。
「はああああああああああああああっ!」
真っ先に斬り掛って来た男の顔面を蹴り、後ろに着地する。
「この女!」
短気そうな男が向かって来た。
男の武器は片手剣で、構えながら走って来る。
「このっ!」
私はバックステップで攻撃をかわし、矢を放つが、男はそれを全て剣で弾いた。
解っていた。相手はユウ君と戦っていたのだ。弱くないはずがない。
だからと言って、私だって!
「『奉納』!」
弓の攻撃力が上がる。
私がもう一度攻撃しようとして弦を引いた。瞬間、背中に衝撃波が伝わる。
「くっ」
男達は私の解らないうちに周囲を囲んでいたようだ。
こちらに攻撃を仕掛けた魔道士は次の魔法の詠唱を始めている。
そうこうしているうちに、残りの三人が周囲から襲って来た。
「あっ!」
お腹に蹴りを食らい、のけ反る。追い打ちをするように炎の弾が体中を襲った。
私は立つ力さえ奪われ、その場に倒れる。
「ちっ、手間取らせやがって」
「やっと大人しくなりやがった」
「そうだな、折角だから、この男の前で犯してやるか」
「いいね、それ」
「へへへへへへへ・・・・」
男達は私を囲む。
「い、いやっ!」
強引に服を破られ、私の胸が露わになった。
「やめてっ!」
「そう言われて、やめる奴がいるのか?」
私は知らず知らずのうちに涙を流し、抵抗するがその力さえ失ってしまっている。
くそっ、力が・・・。
「いやっほう、綺麗なおっぱいだな」
「当たりだね」
「これは、犯した後も城に持って帰るか」
「あははははははっ!!」
私は・・・私は・・・。
「へへ、俺達に手を出したのが運の尽きだったな」
男がそう言って、私の胸を掴んだ。もう片方の手はスカートの下に行く。
ダメ!絶対に、こちつらには・・・・いや・・・やめて!
「いやああああああああああああああああっ!!」
私の声は、誰もいない廃村へと響いていった。
・・・エミナがああああ。。。




