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ブレイク!  作者: ぞえ
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第二十六章 恨み役

「・・・ふふ、まだ死んじゃダメ・・・けど、もう直ぐだから・・・」


 魔法学校の地下室。フードを被った少女が三人の男女を拘束して魔力を抽出していた。彼らは生きているのがやっとであった。

 

「もう少しで・・・・」


 と、次の瞬間魔力の抽出が強制的に終了された。


「ちょっ、何が!まだ、全部吸い出してないのに、誰か・・・!」

「はーい、そこまで」


 少女はこちらを見た。

 フードの奥の瞳は真っ直ぐにこちらを見ていた。


「この!」


 少女はこちらに向かって火の弾を放って来た。それを盾で弾く。


「な、何で私だって気づいたの!」

「うむ、まあ簡単だった。最初から目をつけていなかったけど、合宿の時の目。俺を見た目。あれはホントに暗殺者の目だった。長年傭兵やってると大体解るさ。中にはそう言うの消してやる奴とかいるけど、君はまだ子供だったようだね」

「う、うるさい!あなたに言われたくないわよ!」


 ですよねぇ。

 

「けど、私が見せたのは男だった筈なのに・・・」

「ああ、あれね。あれは男をつけてた俺を、君が後ろからつけてたんだろ?魔力と気配を消してね」


 そう言う事だ。


「私は・・・今からあなたを殺す」

「・・・なるほど。意思は変わらんか・・・なら・・・」

 

 俺は息を整えた。

 今までとても言いたかった言葉。マジで。


「それでは、今から課外授業を始める」


 うん、言いたかった。


「アリサ・フランジュ」


 今回の犯人。アリサ・フランジュはその目を見開いた。


「ふっ、ふざけないで!!」


 アリサはフードを脱いでこちらに走って来た。


「我、紅蓮の剣の使い手とならん!『フレイム・ブレイド』」


 アリサは両手を上に上げて下に真っ逆さまに振り下ろした。その両手には炎の剣が形成されていた。

 

「八十点かな・・・まあまあだな」

 

 アリサの剣を左手で受け止めた。


「なっ!」

「造形魔法はもっと自分の頭の中の物をしっかりと具現化させるんだ。精神を強く持て。このようにな!『紅蓮剣』」


 右手に出現した炎の剣でアリサの剣を折った。


「精神が弱ければ弱い程、魔法の精度も落ちる」

「くっ!」


 アリサは次々と魔法を放って来るが俺は全て弾く。


「・・・こ、ここまでだったなんて・・・こうなったら!」


 アリサは後ろに後退して、接続している装置から青色のクリスタルを取り出した。

 ・・・あれは・・・。


「こうなったら、これを使うしか・・・父の仇だ!」


 アリサはクリスタルを胸に持って行った。すると青色の発光と共に体が変わり始める。背中からは悪魔の翼が生え、獣そのものだった。


「これが、私の力!」


 大量の魔力を意図的に溜めて服用する事による急激な変化。その変化の形状から悪魔化と呼ばれている。

 悪魔化すれば大きな力を手に入れる。その代わりに代償は大きく、元の姿に戻れない事である。


「くっ」

 

 アリサが繰り出す連続パンチは俺でもガードしきれない程の威力であり、俺を天井に殴り上げた。


「はああああっ!!」


 両手に溜めた魔力の塊を放つ。


「『五天・星天の盾』」

 

 指で示した五つの場所に五角形の星型の盾を作り上げる。


「くううううううううううううううっ!!」


 それでも破壊力は物凄く、天井を突き破り学校の一階に出て来てしまった。


「やばっ!」


 中はやばいよな。

 時間は午後七時。周囲は暗くなり始め、生徒達は全員帰っている頃だろう。

 まあ、校舎が壊れていたとしても、なんやかんやで校長が何とかしてくれるかもしれん。それと、彼女が言った父の仇とは一体何の事だかさっぱり解らん。

 けど、彼女は以前会った。


「忘れたと言うのか!」


 俺は攻撃を器用に避ける。


「二年前の大戦の時!私はあなたが父を殺す瞬間を見た!」


 二年前・・・殺す・・・!

 知っている。

 俺は彼女を知っている。

 二年前だ。

 俺は傭兵の為、占領していたバルディス王国の街の警備もしていた。その時、数人の仲間と抵抗があると思われる魔道士の家に行った。

 もちろんフィリス側からの指示である。

 扉を開けるなり仲間の一人が火だるまになった。

 出て来た男は前線で数百人は殺した男だった。別に兵士だからこの事は覚悟出来ていたのだろう。

 躊躇なく殺した。

 後ろを振り返れば少女がいた。


「お前が父を!!」

「解ってるのか!お前の父は兵士だった!死ぬ事も承知だっただろう!」

「そんな事ぐらい知ってる!けど!・・・・・・・・」


 その先は言葉にならなかった。

 彼女もまた、エミナと同じく戦争被害者なのだ。故郷を奪われ、家族を失い、そんな時に掛けられた甘い言葉。


「でも!帝国が仇打ちをしたいと言うなら!力を貸すと!」


 アリサの力は少しずつ弱まった。


「・・・私だって・・・本当は・・・・・・・」


 アリサの目には涙が溢れていた。


「・・・こんな事・・・したくない・・・」


 俺はアリサを抱き寄せた。


「だったら!・・・・もっと、自分がしなくちゃいけない事があるだろう?こんな姿になってまで、する必要ねーよ」

「けど、もう元には戻れない。最後に、先生の話を聞いて心だけは元に戻れた。ありがとう、先生・・・」

 

 最後か・・・。

 アリサの体は少しずつ石になっていった。

 悪魔化した人間の最後である。

 アリサは泣きながらも微笑んだ。

 数秒もすればアリサは全身が石となって死ぬ。


「・・・・・・」


 昔の俺ならそれだけの事。ただ、それだけの事なのだ。



さて、彼女はどうなってしまうのでしょうか・・・

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