第二十五章 終了と同時に
フィリス帝国 会議場
「どう言う事だ!ネスもナイト・メアも何をやっている!たかが傭兵一人如き!」
フィリス帝国の王、ガリア王は言った。
その隣の参謀、ムイと言う男は言った。
「しかし、調査によると二年前。我らを勝利に導いた傭兵に似ていると言う事です」
周囲の議員がザワつき始める。
「どうやら、過去ではなくなったようです」
「ぬぐ・・・だが、まだだ。死霊計画はネスによって実現可能になった。後は時が来れば・・・」
「それに、まだ手はあります。暗殺者の中から彼に恨みがあると言う者がいまして、尋常ではありませんでしたので、採用しました」
「だから何だ?」
「彼女は技も動きも一流。必ずや成功させてみせましょう・・・」
「ふんっ、どうだか・・・」
ガリア王は王座に座ると、会議は継続した。
夜は皆で食事をして、就寝時間までワイワイとはしゃいでいた。
明日は一日中岩の中にいるので、速くは寝ているだろう。
まあ、起きてても別に俺は注意しないけどな。
「失礼しま~す」
「ん?」
俺のテントの中にアリサがやって来た。
「どした?」
「えっと、先生って一応雇われているんですよね?」
「まあな」
アリサは少し黙った後、
「雇われる前は何をしてたんですか?」
「・・・傭兵だが?」
一瞬アリサの目が鋭くなった。
「ええっ!傭兵何ですか!何か、凄いですね」
「そんなに驚く事ないだろ」
何だか、わざとらしいな・・・。
「まあ、私が聞いた事は忘れて下さい。今日は、ありがとうございました」
アリサは一礼すると、テントから出て行った。
「・・・・はあ」
俺は溜息をすると、外で風に当たった。
丁度、マリと話しているアリサが見えた。
その頬笑みは確かなものだと、俺は思った。
次の日は激戦であったが、そこまで被害はなかった。それだけ生徒が全力を出している証拠なのだろう。
それにしても、アリサ・フランジュ・・・。
彼女は・・・何処かで・・・。
頭の何処かで引っかかる。
喉に骨が引っかかったような、出てきそうで出てこない。そんな女の子だ。
「ふう。何か、まためんどくさそうな事になりそうだな・・・」
俺は岩の上であぐらをかきながらそんな事を呟いた。
「動くな」
と、喉にナイフを突き立てられる。
「っ」
油断していたせいか、呆気なく背後を取られてしまった。
「貴様、ユウ・アサマだな?」
声は低く、どうやら男のようだ。
「だから?」
威嚇すると、男は一瞬にして距離を開けた。
「・・・やはり、情報通りだな」
「同業者か・・・」
目の前にいる男はナイフを片手に前進を黒い戦闘服で身を包み、顔は目しか見えなかった。
「誰だ?」
「名を名乗るほどの者ではない。ただ、帝国はお前を排除すると決定した。イレギェラ―要素は全て抹殺する。それが決断だ」
「・・・そうか。俺も全面的にどうにかしようと思っていたところだしな」
俺は男にそう言った。
「なるほど、そう言う事か・・・」
「ん?」
「まあ、お前とはいずれ会う事になるだろう」
「いずれ・・って」
「ふっ」
男はそう言って消えた。
「・・・・・・」
何だってんだよ・・・けど、そろそろいいかもしれない。俺も、この日常に逃げていただけなのかもしれん。
現実を見ないと・・・。
俺は今一度、自分の覚悟を決めた。
合宿の最終日
生徒達は昼まで岩の中に潜り、昼から自由時間になっていた。
自由時間は疲れ切っている生徒もいるのか、テントで寝ている生徒が目立った。
「ホント、初日以外は何もなくて良かったですね」
「そうですね。あのゴーレムについても調査しないと・・・」
ミア先生は安堵したように息をする。
「そう言えば、先生に聞きたい事があるんですが」
「は、はあ」
「えっと、アリサ・フランジュの事について聞きたいんですが」
「別にいいですけど・・・彼女はユウ先生が来る半年前にこちらに転校して来たんです」
「半年前ですか・・・」
「はい、マリちゃんと仲良く出来ているし、何事もないので、優秀な生徒だと思いますよ」
「・・・ありがとうございました」
なるほど・・・。
「あの、彼女が何かしましたか?」
「いえ、少しばかり気になって」
「気になって?・・・い、いけませんよ!生徒と教師の垣根を越えては!」
「こ、越えませんよ!」
ミア先生は『ホントですか~?』と、言ってその場を後にした。
「ふう」
それにしても、かなり厄介な事になったな。
俺の予想が当たっていれば・・・あくまで、生徒だからな・・・。
こうして、ギ―ス魔法学校強化合宿は幕を閉じた。
一日休みがあり、学校が開けた。
俺の契約も直ぐそこである。その前に速く生徒が行方不明なのを解決しないといけない。正直すっかり忘れていたのを思い出す。
更に数日が経った。
「・・・一体どうなってんだよ・・・」
ここ数日、犯人の動きがまったくない。しかも魔力の欠片も感じない。
そんなこんなで最終日を迎えてしまった。
「いや~、今日で皆さんとお別れです。卒業まで一緒にいられないのは残念ですが、頑張って下さい」
生徒達は割と俺の事を気にいってくれているようで、残念だとか言われた。
「ミア先生も他の先生方、ありがとうござました」
周りから拍手が来る。
先生達は『よくやった』とか『お世話になりました』と言われた。
「それで、君達二人を呼んだ訳が解るね?」
「はあ」
「まあね・・・」
校長の目がギラリと光る。
「ユウ君、残念だったねぇ」
「まあ、そうだな。エミナは先に帰ってくれ。俺は色々と用事を済ませて来る」
「ふ~ん、まあその用事とやらには深入りはしないでおくよ。それじゃっ!」
エミナは元気よく校長室から出て行く。
「それで?」
「今から課外授業を始めようと思います」
「なるほど」
「それと、一つお願いがあるんですが・・・」
「ん?」
「もし、生徒が更生出来たら退学などにせず、そのまま許してあげませんか?」
「・・・ふむ・・・解った。いいだろう」
校長は俺の意見を飲んでくれた。
そうして、俺の課外授業が始まった。




