第二十章 追加の裏依頼
「まったく、何やってんだか」
「別にいいだろう?良いスタートだ。あれで俺の実力を知った生徒は俺について来る。信頼は一番始めが重要なんだよ」
俺とエミナは中庭で話していた。
今は授業中なので廊下などには誰も歩いていない。
と、お腹が鳴った。
「おっ、そろそろ昼か。飯食いに行くか」
「ふふふふふ、そんな事だろうと思って、こんな物を持ってきましたーーー」
エミナは後ろから鞄を持って来た。
「ん?何それ?」
「エミナちゃん特性ランチ!」
鞄から肉と野菜がパンで挟まれたサンドイッチが現れた。紙に包まれていて、俺はそれをそっと取った。
「食べちゃっていいの?」
「いいよ♪」
俺はそのままかぶりついた。
肉の旨みと野菜のあっさり感、それを引き出しているソースが何とも言えなかった。が、
「う、旨い・・・が、何か、似てる」
「似てる?」
「俺が傭兵に戻る前の俺が作ってたやつ、すっげー似てる味。というか懐かしい」
「・・・ふふ、じゃあ私とユウ君は似てるね」
エミナは無邪気に笑ってみせた。俺は一瞬ドキッとした。不意に顔を逸らす。
「何?どうしたの?」
「う、うるさい」
俺は残りを全て食べた。
「ほら、生徒が飯食ってる間に次の授業の準備をするぞ」
「おお」
俺とエミナは授業の準備をし、そうしてその日は終了した。
次の日
朝来るなり、校長に呼ばれた。
コンコン、ドアをノックする。
「はい、どうぞ」
「失礼します」
「失礼しまーす」
校長はメガネを掛け、長い白髭を顎から生やしていた老人であった。まあ、魔法学校となると普通こんな人だろう。
逆にビシッと決めた二十代の男だと何かを疑ってしまうだろう。
「君達を呼んだのはある事を追加依頼しようと思ってね」
「追加依頼ですか?」
「ほら、依頼書にも書いてあったと思うんだが、追加依頼があるかもって」
「あー、そうでしたっけ。まあ、別にいいですけど」
校長は咳払いをしてから言った。
「君達には知らせていなかったが、今ギース魔法学校では怪奇事件が発生している。内容は不特定多数の三人の生徒が現在行方不明になっているのだよ」
「行方不明?」
「ああ、事件が起こったのは一ヶ月前だ。既に憲兵団が何度か調査を行っているが、何も掴めておらず、迷宮入りしようとしている。生徒の両親からも何度か連絡が来ていてね。しかし、傭兵を雇ったとなればこちらの立場も危うい。この件は内密に調査してくれないか?」
「う~ん、どうするユウ君?」
「・・・別にいんじゃねーの?追加報酬はその代わりに」
「ああ、たくさん出そう」
「決定ね」
「決定だ。それじゃあ、こちら側で色々とやらせて頂きます」
「ありがとう、君達しかもういないんだ」
俺達は校長に一礼し、元に戻った。
「それで、どうする?手がかりも何もないよ?」
「・・・まあ、任せな。取り合えず次の授業の準備だ」
次の授業はあらゆる物理魔法に対する防御魔法を教えた。
「えっと、全ての物理魔法に対して等しく防御出来る魔法があります。えー、誰か知ってる人いる?」
すると、一人の女子生徒が手を上げた。俺はその子を当てた。
昨日俺に不良生徒の事を教えてくれた女子生徒だった。
「初級防御魔法第七の魔法です」
「その通り。教科書には簡単に出来そうに見えるけど、そう簡単に出来るもんじゃない。コツを掴めば大丈夫なんだけど、俺が一回手本を見せよう。誰か、俺に物理魔法して」
「俺がやってやるよ!」
すると、昨日の赤髪の不良生徒が立ち上がって火炎魔法を打ってきた。昨日より格段に威力が増しており、これが彼の本気だと思う。
昨日は俺が挑発させたしな・・・。
「防御魔法『ガトラ』」
さて、ここで一つの疑問が皆さんの頭に中に出てくると思う。
そう、
何故、漢字ではなくカタカナなのか?
それは、俺が使っている魔法は全てオリジナルの魔法である。俺と似た魔法はあると思うが、基本的に俺が作った魔法だ。
その為、教科書などには一切載っていない。
そう考えてくれ。
そして、この場は常識的な魔法を使わせないといけないので、教科書に載っている魔法を使わないといけない訳だ。
すると、俺を囲むように球体のシールドが展開され、火の弾はシールドに当たって消滅した。
「まっ、こんな感じだ」
そんなこんなで授業は終了した。
「それで、どうしようか?」
「何が?」
「いや、追加依頼の事だよ」
「う~ん。まあ、生徒に話でも聞いたら?」
「・・・になるのかな?」
「あれ?先生」
すると、あの女子生徒が俺達に話し掛けてきた。
黒髪のセミロングで、大人しそうな女の子だった。見ると結構可愛い。
「君は・・・」
「ああ、マリ・ウィルソンです」
「そ、そうか。じゃあ、マリ。最近の学校内で事件について教えてもらえないか?」
すると、マリは表情を曇らせた。どうやら言いたくはないようだ。
「それでしたら、ここじゃまずいんで」
校舎の影になる所まで連れられた。
「それで、事件の事なんですが・・・」
「ああ」
「最初は私の友達でした。一ヶ月も前かな?放課後に先に帰るって言って、そのまま消えちゃったんです。それで次はあの不良生徒の一人で、夜中に学校に入るって言って帰って来なかったんです。最後は生徒じゃなくて先生で、あんまり評判はよくない先生だした。教室で最後まで残ってと言って、次の日の朝には来なかったんです」
「・・・そうか、ありがとう」
「いえ、私は先生の力になりたいですし」
「いや~、魔法学生はやばいんじゃないの~?」
エミナが肘で突っついて来た。
「う、うるさい!別に俺はモテた覚えなんかねーよ」
「え?知らないんですか?ユウ先生って、女子の中でも結構有名何ですよ?ルックスも結構いいし、魔法も強いって評判凄いですよ」
「・・・・・」
「・・・・・」
さっきまで俺をいじってきたエミナは何故か黙って、こちらを睨み続けてきた。
痛いよ、エミナさん。その視線が痛いよ。
「さっ、そろそろ行こうか。情報どうも、マリ」
「あの、何かあったんですか?」
「い、いや。ただ、そんな話を聞いてね」
「そ、そうですか。それでは私は授業がありますので」
マリは一礼して戻っていった。
「どう思う?」
「あの子の話?」
「ああ」
エミナはしばし考えた後、
「別に今は疑うような事はないし、今は様子見じゃない?」
「だな」
今日の授業が終わり、借りている宿屋に戻る。
部屋は一人部屋で隣はエミナが借りている。
「やっほー、どう?」
「ああ、今から使い魔だすとこ」
「え、使い魔!どんなの?」
「偵察用だからな。あんまり目立たない感じの」
俺は目を瞑った。
「うりゃ」
使い魔の黒猫を三匹呼び出す。
「いいか?今日から学校内の様子を見るんだ。俺達が見れない場所や夜。特に放課後は俺もウロウロしているが、何処かに落とし穴があるかもしれん。頼んだぞ」
三匹の黒猫はコクりと頷くと窓から去っていった。
うむ、頑張りたまえ。
事件です。。。




