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ブレイク!  作者: ぞえ
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第一章 ギルド



 また、村が潰されている。これで五つ目だ。


「近いな・・・」

 

帝国の殲滅部隊は幾つかに別れて行動している。この次の村に奴らがいるのだろう。


「・・・・・」

 

仕方ねえ。今から行けばまだ間に合うか・・・。

 俺は馬を走らせた。森の中を颯爽と走る。煙が見えた。

 同時に人々の叫び声とそれに反対した声が聞こえて来た。


「待て!」

 

村人を殺しそうになった時に俺が飛び出して来た。


「何だ?てめえ?」

 

目の前にいるのは帝国の兵士だった。その地面に倒れているのは数人の村人だった。


「やめろ!」

 

 腰の剣を引き抜き兵士の剣を弾く。


「貴様!何者だ!」

「誰だ!」

「ただで済むと思うなよ!」

 

 周囲にいる十数人の帝国兵はこちらに対峙して来た。

 魔法・・・使うまでもないな・・・。


「やあっ!」

 

 第一に斬りかかって来た兵士の剣を余裕を持って避け、空いた左手で思いっきり兵士の腹を殴る。


「なっ!」

 

 兵士はそのまま家にぶつかった。


「一斉に行け!!」 

 

 帝国兵は四方向から一気に攻めて来た。

 同時に掛かれば勝てると思ったのだろうが、今の俺にこの程度の人数では少し物足りない。

 

 

 

 倒れている村人達を起こし、荒れた地形を戻す手伝いをした。


「あ、ありがとうございます」

 

 村娘が礼を行って来た。


「ところで、こんな事はやはり何処でも起こっているのか?」

「は、はい。フィリス帝国は近隣の反対する村里を焼き払い、攻撃でまだ生きていいれば全て奴隷にされました」

「・・・・なるほど、事情は解った」

 

 俺が立ち去ろうとすると、村娘は言った。


「あの、名前だけでも聞けませんか?」

「ユウ・アサマだ。傭兵をやっている」

 

 それだけ言い残すとまた駆け出して行った。

 

 

 オリビアは各国の旅人が集まったり、世界中の品物が流通する大規模貿易都市である。それはフィリス帝国も例外ではなく、情報を集めるならここからだと言う事だ。

 オリビアに入ると活気に満ち溢れていた。

 人々は物を売り、それを買う。食事をする場や宿泊や。更に向こうには普通の住宅街が見える。

 なるほど、流石大陸中の人間が集まる都市。人間族だけじゃなく、猫族や竜人族。エルフや地上ではあまり見えないドワーフまでがいた。

 ある意味すげーな。取り合えず、金を稼がないとな。ここに結構滞在しないといけなさそうだし・・・ギルドにでも行ってみるか・・・。

 ギルドとは。

 各地の人々から来る依頼を掲載し、それを傭兵達が受理して受けるのだ。そのギルドでは会員登録な事が出来る。

 ギルドに登録すればギルド側からの支援などを受けれて、割と良い条件が付いてくるのだ。

 まあ、俺には関係ないけどな。しかし、大抵の人間でも一人で依頼を受けるソロの傭兵はかなり少ないと見ていいだろう。

 ギルドにはギルドの人間達がその依頼をこなす事が増えてきているからである。

 俺は街の中心にある巨大なギルド『紅の星』に入った。中は俺が入った事によって、恐ろしく静かになった。

 歌っていた歌人歌を止め、騒いでいる輩は騒ぎを止めていた。それほどギルド外の人間が来るのは物珍しいのだろうか?

 フードを更に深く被り、ボードを見る。その中に『鉱山の悪魔退治』を取った。報酬は三千万アル。割といい報酬だ。


「これ、お願いします」

「は、はい。依頼の受理ですね。こちらに名前をお願いします」

 

 カウンターのお姉さんに依頼書を渡し、受理を行う。終えると何事もなかったようにそのギルドを出ようとした。

 すると、


「おいおい!Aランクが何処の誰だか解らん奴がやってるぜ!」

 

 挑発するような声。俺は不意に足を止めてしまったが、直ぐにその足を動かした。すると、さっきの言葉を言った男が俺の前に立ち塞がった。

 俺より身長が高いので見上げる感じになってしまった。


「お前の事だよ」

 

 男はそんな事を俺に言った。

 確かに、こいつの考えている事は解る。

 俺がボードを見た時この依頼書だけが飛び抜けて報酬が高かった。つまりこの高額依頼だけがかなり困難だという証拠だ。

 その依頼をこんな弱そうで誰かも解らない奴に取られれば、自分達のプライドが許しはしないだろう。


「すいません、退いてもらえますか?」

 

 と言うと、


「このガキ!」

 

 男は背中の斧を取り出した。


「俺の初撃を避けるか受けたら行かせてやろう」

 

 何て残念な性格なんだ。虚しいにも程があるぞ。ていうか、こんな事しか考えられないのか?


「おらっ!」

 

 俺の無視して男は斧を振り下ろした。

 当然そんな攻撃俺に通じず、普通にしゃがんで回避した。


「ちっ、まだだだ!!」

 

 男は初撃と言ったのに二擊目を繰り出してきた。

 おいおい、話が違うじゃねーか。


「おっと、悪い!」

 

 三擊目。四擊目。次々と斧を振り回して来た。が、それよりその周囲が驚いているのはそれを避け続けている俺だった。

 体を上手く使い、普通考えなさそうな避け方をする。


「おもしれえ!お前も来いよ!」

 

 当たらないと決めてカウンターでも狙ってくるのだろうか?確かに攻撃が当たらないのならそういう選択もありえるが、そんな事では俺に勝つのは一万年後になりそうだ。


「なら、本気でいいんだな?」

 

 かすかにコートが浮く。こいつも戦士の端くれなら俺の持っている魔力を感じる事ぐらい出来るだろう。今、俺が持っている魔力を奴に見せつけている。

 

 


  魔




「っ!」

 

 男は一瞬尻餅をついた。他の奴らには何も見えないので、何が起こったか理解は出来ないだろう。

 しかし、突然、


「やめんか!」

 

 その声で俺の見せていた魔力は消える。

 声の方向を見ると階段にヨボヨボばあさんが杖を着いて立っていた。

 なるほど、このばあさんがここのギルドマスターか。その歳なのにとてつもない気迫を感じる。


「貴様、名は何と言う?」

「ユウ・アサマだ」

「なるほど。ユウ、先程は我らの仲間が失礼した。ギルドマスターとして謝ろう」

「あ、ああ。別に構わんが」

「それよりも、貴様からはとてつもない魔力を感じる。そこでだ。その依頼よりも、もう三年もクリア出来ていない依頼を受けてはくれんか?」

「三年?」

「そう、三年。それがこれだ」

 

 ギルドマスターが差し出したのは報酬金六千万の討伐依頼だった。『大海の触手』というものだった。


「ここから北にブレリアという港街がある。ブレリアは漁業で盛んな街だったが、三年前。アリアド沖にクラーケンが出るようになった。クラーケンは目の前にある船を次々に飲み込んでいった」

「なるほど。それが、三年も無理だったと」

「海人族にも出ているんだが、クラーケンは水の中でもかなり強いらしく、なかなか・・・」

「・・・解った。報酬もそっちの方がいいしな。やらせてもうらよ」

 

 と、行こうとした瞬間、


「ちょっと待ちなさい!あんた本気で言ってるの!」 

 

 そんな声が俺を呼び止めた。

 俺は不思議そうに振り返ると金髪ロングヘアがこちらを見ていた。見ると結構可愛い。胸も大きく、理想的なスタイルだった。


「誰?」

 

 俺がそう言うと金髪が言った。


「私はフィア・ブレイワード」

「・・・あ・・・そ・・・それじゃ」

「ちょっと!クラーケンって言うのはね!超巨大な怪物なのよ?あなたなんかが勝てるはずないじゃない!」

 

 イラ。

 まさか、女の子にまでバカにされるとはな。


「別にいいじゃねーか。あんたには関係ないし」

 

 俺は振り返る事もせずにギルドを出た。間もなくして俺の肩に強い衝撃が走った。見るとフィアが肩を思いっきり掴んでいた。


「な、何だよ?」

「・・・私も付いて行く」

「はあ?」

「だから、そんなに自信満々に言うんだったら私が見てあげる」

「は、はあ」

 

 俺とフィアは肩を並べて歩き始めた。


「それで、名前は?」

「俺は、ユウ・アサマだ」

「そう、それじゃよろしく。ユウ」

 

 呼び捨てかよ・・・。

 こうして、俺とフィアはこの依頼を一緒にする事になった。




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