第二章 移動手段
俺とフィアはブレリアまで二日かけて出向いた。
「それで、これからどうするの?」
「まず、相手を知らないとな。フィアは何か知ってるのか?」
フィアは少し黙りこくってから、
「海の大怪物。クラーケン。その姿はタコのようなイカのような姿で、主に沖合中心に出物。その巨体は巨人族すらも凌駕すると言われていて、陸にいる私達は到底近づく事すら出来ないの。仮に飛び道具を使ったとしても弓なんかじゃダメージには程遠い」
「・・・話には聞いていたが、実際にはすげーんだな」
「当たり前よ!魚人族にも依頼が来たけど、水中戦でもクラーケンはかなり実力を持っている。あの触手一本を振るうだけで岸まで戻されちゃうんだから」
「なるほどね。陸からの攻撃はダメ、水の中からは水を使って攻撃か・・・」
俺が考え事をしているとフィアは不思議そうな顔で見た。
「ん?」
「思ったんだけど、ユウって何でそんなにも余裕なの?」
「余裕?」
俺はいつも余裕だがな。
「その、何と言うか何でも出来そうな。周りは自分が頑張れば何とかなりそうって、感じで・・・」
「別に余裕だが、油断してたら俺だって死ぬぞ。ただ、街中で見かけるようなマヌケそうな顔程実は強かったりするんだよ」
「?」
フィアはまた不思議そうな顔をした。
「人は見かけじゃ判断しない方がいい。って事さ」
その後、漁師の人にクラーケンの話を聞き、ある程度情報を集めた。
クラーケンの大きさ自体は不明だがかなり大きく、現れる前に海面に白い泡が出るらしい。それと危ないのはその触手一本一本の力。一本で大木が直ぐに粉砕してしまうらしい。
「それと、船を出してもらえませんか?」
「ダメダメ。そう言って船を貸した俺の知り合いも船と人は帰ってこなかったと言っていた」
「そこを何とか」
「ダメダメ、他を当たりな」
明日討伐に行く予定だが、漁師達は誰も船を出してくれなかった。しかも今回は二人の為、準備に漁師も一緒に同行してもらう事になっている。それもあるかもしれなかった。
「さて、どうするか・・・」
「う~ん、どうにかならないのかなぁ」
フィアと相談し合うが、結局いい案は出なかった。
取り合えずその日は宿泊屋に泊まり、次の日になった。
「どうするの?船ないよ?ていうか、倒す方法思いついたの?」
「まあ、倒す方法は何とか思いついたんだが、移動方法がな」
「えっ!倒す方法思いつたの!」
「あのな、だとしたら移動手段とか考えていないのだろう」
俺がため息混じりに息を吐くとフィアは、はっ、と気付いたような顔をした。
「・・・取り合えず、もう少しだけ探すか・・・・」
その後、ほんの少しだけ船を貸してくれるところを探した。
次の日。結局昨日も見つからなかった。が、俺は寝ている間にとんでもない移動手段を発見した。
早速フィアを連れて海岸に行った。
「はい、これで行きます」
「えっ!ホントに言ってるの!絶対にヤダ!」
まあ、そうだよな。
俺とフィアの目の前にあるのはちっちゃいボートだった。
こんなのでクラーケンを倒しに行くなどバカにも程がある。
「まあまあ、本当の目的はここじゃないから」
「ん?ど言う事?」
「俺に任せろって言ってんだよ」
「えええ・・・」
フィアの背中を押し、ボートで港を出た。
「そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「う~ん、それじゃ、フィアは海での戦闘って海の魔物だけなのか?」
「海での戦闘?そりゃ、クラーケンには敵わないけど、その下に準じる海の魔物ならそれなりに・・・」
「海の魔物か。まあ、奴らもその類に入るのかな?」
「さっきから、何を言って・・・・え?」
俺達の視界に入ったのは黒い布に白いドクロが描かれている旗を掲げた船だった。
「海賊?」
「ピンポーン」
フィアはきっと着いて来た事を後悔したに違いない。
俺は赤い花火を打ち上げると、海賊船はこちらまで来た。
「ユウさん!ご無沙汰です!」
「おお、アイザック。元気にしてたか?」
「はい!ユウさんに呼ばれて直ぐに来ました!」
俺達は引っ張り上げてもらい、海賊船に入った。
甲板の上には船員が全員集まり、前会った時よりも面構えが良くなっていた。
「あの、知り合いですか?」
「おっ、よく行った嬢ちゃん!俺達は海の盗賊『バッカニア海賊団』!」
「そ、そうですか。それで、ユウ。この人達とどういう関係?」
「ああ、三年前かな。俺がボートで海を渡っているとこいつらがいきなり襲ってきてよ。それで、ほんの少し捻っただけだ」
「そんなぁ、あん時は俺以外ボコボコでしたじゃん」
「え?そうだっけ?」
「またまた」
「「「はははははははははははははははは」」」
「解らない!男って解らない!」
逃げ行くフィアを押さえつける。
「まあ、こいつらが沖合まで連れて行ってくれるって」
「う、うう・・・」
フィアは渋々頷き、海賊達に沖合まで連れて行ってもらう事になった。




