序章 始まり
がんばって書きましたww
パンをスライスして、その間に野菜と肉を挟む。肉は家畜の豚肉と野菜は向かいのじいさんからもらったのを使った。
俺はそのままかぶりついた。肉の旨みとあっさりとした野菜のシャキシャキ感が口いっぱいに広がった。それを五口ほどで食べ終わってしまうと皿を洗っていつもの服装に着替える。
朝食を終え着替えると剣の練習をし、魔法の鍛錬をする。ある程度動くと水を浴びて昼食を取った。
ここココ村はフィリス帝国の領土内に入る小規模の村であった。俺はそのココ村の青年の一人である。
ユウ・アサマとは母さんが名付けてくれた。魔法は傭兵である父さんに教えてもらい、剣はその傭兵部隊の特攻隊長に教えてもらった。
父さんと母さんはその後行方不明であり、一人残された俺は傭兵として戦場に趣いた。俺はその後敵全軍の大半を道連れにして死んだはずだった。が、運良く生きていた俺はこのココ村の人々に助けてもらった。それから一年が経った。
俺はここで精一杯普通に生きると決めた。それが、十七の時だった。
「ユウさん、今日は何を狩りに行くんですか?」
狩りの準備をしていると村娘のサシャが話かけて来た。
サシャは俺の一つ下の十六歳で、綺麗な黒い髪の毛をしていた。
「ああ、最近畑を荒らしている輩はいるらしくてな。だから、今日はその畑荒らしのスライムの集団だ」
「スライムですか。それじゃ、スラ酒もいいかもしれませんね」
スラ酒とはスライムから取れる心臓部分を酒漬けしたもので、割と旨い。地元の人間にとっては高価な物と言ってもいい。
「久々にいいな」
「そうですね。今夜はちょっとしたお祭りになりそうです」
サシャは俺ににっこりと微笑んだ。
「っ・・・」
その笑顔に思わず言葉をためらってしまう。
「い、行ってくる!」
「うん、いってらっしゃい」
サシャに手を振ると、振り返しくれた。俺は森の中に入っていった。
村より割と離れた地点で俺はスライムの集団と戦闘を繰り広げていた。正直、大変だ。スライムの数は全部で百匹以上。
「まとめて食らえ『炎雷』!」
俺の周囲に無数の雷が降り注ぐ。赤い雷は次々と周囲の岩や木を粉砕し、スライムも一瞬で蒸発させた。
だが、これでも七割以上いる。
「・・・めんどうだな。そう言えば、昔にあった魔法で・・・」
そうこうしているうちに全てのスライムが集まって、一つの巨大なスライムになった。キングスライム?
「キシャアアアアアアアアアアアア!!」
キングスライムはそうこうしているうちに巨大な体の一部で殴ってきた。
俺は怯むことなくその攻撃をジャンプで避け、その腕?の上を走ってキングスライムの頭上に躍り出る。
「火炎魔法『緋炎・炎龍』」
両手で狙いを定め、炎の龍を出現させる。巨大な炎の龍はそのまま下にいるドデカイスライムを飲み込んだ。燃え盛る炎の中でスライムは徐々に水分を失い、全て蒸発してしまった。
スライムがいた場所は丸焦げになっていて、真ん中に直径十センチ程度の青色のぷにょぷにょした物体があった。
「出た出た。割と多く手に入ったな」
その後村に帰って、その日はスラ酒で盛大に飲みまくった。
その日は太陽がよく見えない曇りだった。曇りは心が荒む。何と言うかあまり好きではない。いつ雨降ってもおかしくないし、じめじめするし。まあ、別にそこまで大ッ嫌いな訳ではない。
「さて、今日は少し遠出になりそうだな」
「?」
水汲みをしているとサシャが首を傾げた。
「ここから少し遠くのベルカという村まで行かないとダメなんだ。昨日、向こうでも大きなスライムを見たという村人がいて、その退治に行かないとダメなんだ。ホントは村の憲兵団の仕事なんだが、全員やられちゃったみたいで」
「そ、そうですか。解りました。昨日は皆凄かったですもんね。それでは、これを」
そう言ってサシャはいつも首に掛けている銀の鍵を渡して来た。
「ん?」
「これは、私の大切にして来たお守りです。どうか、無事に帰って来て下さい」
「・・・もちろんだ」
俺は茶色のコートを羽織り、フードを深く被ると馬に跨り村から出て行った。
その時一瞬だけ見たサシャの顔は少しだけ寂しそうな表情をしていた。
「・・・これは・・・」
俺は予定時刻通りにベルカに到着した。が、村は凄まじい事になっていた。
家は壊れて、あちらこちらで火が燃え上がり、村人の死体がそこら中に転がっていた。頭が無い者、腕が無い者、村人達が老若男女死んでいた。
一人一人に声をかけて行くが、誰一人として生存者はいなかった。
と、巨大な影が空を覆った。それは高速で進み、俺の来た道を通り過ぎていった。
「飛龍・・・」
このような状態にさせたのはどうやらあの飛龍のおかげらしい。それにしてもただの飛龍ではなさそうだ。全身に鎧のような装備をしている。更に背中には誰かを乗せて飛んでいた。
「一体、何処に行くんだ?・・・・」
まさか、ココ村を!
直ぐさま馬に跨り駆け出した。が、飛龍にはまったく追いつけない。むしろどんどんと遠ざかって行く。
「くそっ!」
飛龍が見えなくなって一時間後に俺はココ村に戻って来た。
俺が到着した時は全てが終わっていた。
全ての家は見る影もなく、死体があちこちに転がっていた。その中で、一人だけ息をしている村人がい
た。
「サシャ!」
「あ・・・ごめんなさい・・・・」
サシャは腹を深く刺されているようで他にも色んな箇所に刺し傷が見える。体中から血を流し、泣いていた。
「一体誰が・・・誰がこんな事を・・・」
「フィ・・リス帝国・・うっ・・・軍事的作戦・・・」
「どういう・・・」
「ユウさん・・・帝国に反対する村は・・全て殲滅・・ということです・・・」
サシャの涙は止まっていた。まるで何かを決意したかのように。
「この一年、とても楽しかったです・・」
サシャの体はますます冷たくなって行き、声力もだんだん弱くなっていた。
「やめろ・・・」
「元気に生きるユウさんが好きで、毎日が楽しかったです」
「やめろって!」
「けど、私の事は忘れてね・・・いてくれてありがとう」
「サシャっ!」
サシャは言った。
「あなたに出会えて、幸せでした・・・」
そう言ってサシャの微弱な心臓は止まった。体が活動を止め、サシャという少女は死んだ。
「何だよ、それ・・・俺は何も・・・」
涙を拭い、村人全員の埋葬を終えた。
胸の鍵を手に取り、
「行ってくるよ」
俺はフィリスへと歩き始めた。
敵が誰であろうと関係ない。例え一人でも関係ない。ただ一度奴らに痛い目いあってもらうだけだ。
風歴七百八十三年 四月四日
その日、フィリス帝国の殲滅作戦が始まった。
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