第十五章 生憎、人間様さ
俺は時たま最強と言われる。確かに他人から見れば最強なのかもしれない。しかし、それは人間の中でも、だ。
人間の中でも強い方。
という見方になれば、俺の強いレベルはそれ程でもないように見える。が、俺はある意味強いのだ。
「何処までも邪魔をする!」
黒騎士はターゲットを動ける俺に定めてきた。うん、これでエミナ達に危害を加えなくて済む。
俺は正面から振り下ろされた剣をバックステップで避けた。
「・・・・・」
俺は周囲を見渡した。
街は破壊され、あちらこちらで悲鳴と叫び声が聞こえる。
「・・・ったく、何なんだよ、お前らは!」
剣を抜き取り黒騎士を斬る。黒騎士はガードしたが後ろにぶっ飛ばされた。
俺は倒れているエミナに近づいた。
「悪いな・・・」
「もう、遅いよ。ユウ君」
「ヒ、ヒーローは遅れてくるもんだよ」
エミナの髪を撫でると俺は黒騎士に向き直った。
「よくもめちゃくちゃにしてくれたな」
「ふん、それが我らの任務だ」
「あっそ、あのネスっていう男も相当だな。とにかく、今はお前をぶっ飛ばさないとな」
「来い!」
俺は剣を下から振る。黒騎士は俺の動きに合わせてガードして来た。が、俺はすかさず二擊目、三擊目と攻撃を仕掛ける。
黒騎士は必死になって俺の動きに合わせて来た。
一分経っても黒騎士は立っていた。
「すげーな。俺の攻撃を一分も耐えるなんて」
「くっ、貴様本当に人間なのか?」
「生憎、人間様さ」
俺は大きく上にジャンプして空中から襲撃する。地面がクレーターのように凹みつつ、俺は黒騎士に斬りかかる。
「ぬぐう!!」
「まだ!まだ!」
黒騎士の剣を避け、肘で胸に攻撃する。仰け反った所で腹を斬った。
「浅い!」
黒騎士の攻撃を直ぐさまバックステップで避けた。
・・・中々やるなぁ。だが、そろそろ終わらせもらうぞ。
「この俺が!人間如きに!」
「負けるんだよ、お前は。その人間にな!」
俺は拳で黒騎士の腹を殴って空中に飛ばす。そのまま体制を整えて剣を構える。
「氷結・斬撃魔法『氷魔・斬鉄剣』」
俺の剣に冷気が集まり巨大な氷の剣へと形状変化する。そのまま空中に浮いている黒騎士に向かって思いっきり叩きつけた。
黒騎士はまだ息があるようで俺は追撃を仕掛けた。
「俺が!!!」
「真・天体魔法『七星天』!」
あらかじめ空に描いていた七つの魔法陣から七つの光りが降り注ぐ。
「なっ、何だ!!この魔力は!!人間に!!」
黒騎士はその光りの中へと消えて行った。
跡には何も残っておらず。ただ、地面に剣が刺さっていた。
「それで、これからどうしてくれるんだ?」
「・・・・・・」
俺が話しかけた方向にはネスがいた。周囲には強力な魔物達を従えていた。
「夜叉、相手をしてやれ」
「御意」
俺の目の前にあの夜叉が現れた。
「ちなみに、夜叉は黒騎士の五倍は強いぞ」
「ああ、そうかい」
誰もが感じ取った本気。
それはリタやエミナ。フィアやヨシュアでも感じられる。初めてユウという傭兵の本気を感じ取った。
「あああああああああああああっ!」
夜叉は吠えながら斬りかかって来た。
が、俺は片手剣一本で受け止めた。
「なっ、我が刀をたった一本で!」
「ああ、たった一本でね」
俺はその刀をMAXの力で弾いた。
夜叉は後ろに大きくよろめいた。それを狙って夜叉の首を斬った。
ゴトッと、兜を被った頭が地面に落ちた。
「・・・なるほど。面白い。今回はこの程度にしておこう」
「待て!」
ネスは負けセリフを言って反対方向に歩いて行った。
俺は追撃をすべくネスを追いかける。が、目の前に魔物達が現れて進行を防ぐ。
「キキッ!ネス様に近づけさせない!」
「はあっ!」
襲ってくる敵を片っ端から掃除する。
「っ、まさかここまで強いだなんてな。やはり一度退却した方がいいな」
「待てって言っているだろう!」
俺はネスの知らぬ間に近づきその顔面を殴り飛ばした。
「がはっ!」
ネスは口元の血を拭い俺の目の前に立った。
「くくっ、やはりそうでなくては面白くない。来い!サシャ!」
「っ!」
何処かに隠れていたのか、サシャがナイフを持ってやって来た。
「それで、君に彼女を殺す事が出来るのかい?」




