第十一章 お手並み拝見
『紅の星』の第一会議室で数人の男女が集まっていた。
「自体は我々が思っている以上に深刻じゃな」
「ええ、まさかあのネス博士が出てくるとは、このオリビアもかなり危ない状況です。早急に憲兵団と連携を組んで対処しないといけません。直ぐにでも」
『戦乙女』『紅の星』憲兵団、そして各ギルドのギルドマスター達が集まっていた。
そもそも、ネス博士は遺跡に出たユウ達が戦った白衣の男である。彼は大戦中に大量殺戮兵器を生み出し、各陣営から恐れられていた。
それが敵対したとなれば恐れられるのは当たり前だ。
「了解です、我々も全力で協力しましょう」
憲兵団は大丈夫らしい。
すると、『戦乙女』のギルドマスター。エミリア・レスターが言った。
「我々のメンバー。リタが見た場所は旧アーガス遺跡の最新部。ネス博士がそこから攻めて来るのなら、とにかく東側の住民を避難させて守りを固めましょう」
「では、早速」
各陣営の今後の予定が決定した。
二日後
「敵襲!旧アーガス遺跡近辺にて魔物の大群が出現!敵指揮官は!ネス博士です!」
斥候は焦りながら会議場に走って来た。
『紅の星』ギルドマスター。ジェス・ナイツは言った。
「開戦じゃ」
ネスは強力な魔物を引き連れて東側から攻めて来た。
その中にいるサイクロプスの力は凄まじく東門をあっという間に破壊してしまい、戦闘は白兵戦へと持って行かれた。
そして、フィアは市街地を数人の兵士と一緒に走っていた。前からは数匹のガーゴイルが迫って来ていた。
「せいっ!」
数匹のガーゴイルは血を流しその場に倒れ伏せた。
「フィア・・・どうしよう?敵の数は増えてる」
「大丈夫、もう少ししたら援軍が来るはずだから」
援軍とは各方面に散っている憲兵団の事で、全戦力が集結すればかなりの戦力になるからである。
すると前方から牛男が走って来た。両手には大きな斧を持っており、フィアは若干不安になって来た。
焦り、動揺、恐怖。それらが今フィアを襲っていたのだ。それはフィアだけではなく、戦争など初めてのギルドメンバーにも響いていった。
と、牛男は接触する十メートルで転んで、そのまま死んでしまった。
「あれ?」
「大丈夫?」
見ると空から一人の少女が降りて着た。銀の髪を靡かせ、目の前に綺麗に着地した。
「あ、あなたは?」
「う~ん、調子のいい傭兵の友達かな?」
エミナであった。
彼女が何故ここにいるかと言うと、彼女の部隊。『ナイト・メア』一週間前に解散してしまったからである。その為、ユウに会いに行く為にここに来たのだ。
「ユウって言う傭兵知ってる?」
「は、はい・・・」
「まあ、その知り合いだと思ってていいから」
「し、知り合い何ですか!」
「取り合えず、東の門付近がやばそう。『戦乙女』が壁となっているけど、何処までもつか・・・」
「そうですね、そっちに行きましょう」
そうして、エミナとフィアは東門に走って行った。
東門は激戦であった。
矢が魔法が飛び交う中、魔物と人間が激しくぶつかり合っていた。
「兵を引かせろ!」
「え、援護を!」
「ちっ・・・」
その魔物の中を一人の男が歩いていた。
「ここは、僕の城にしよう。ラボは地下にして・・・そうだ。あのユウ君死んだかな?死んでないなら、この新種のテストにでもなってもらおうかな・・・」
ネスは静かにそう言った。
「まあ、初めはこいつでお手並み拝見かな?」
するとネスは何やら念じた。
「はい、及びでしょうか?」
「ああ、少し人間側が粘っているようなんだ。行って少し捻ってきてくれるかな?」
「かしこまりました」
ネスの横にいたのは黒の鎧で身を包んだ黒騎士だった。
黒騎士は剣を片手に門の方へ歩いて行った。
魔物を数体倒した所でフィアが見たのは魔物中、一歩一歩が重い騎士だった。
それはネスが命令した黒騎士の事であった。
「俺に任せろ!」
と、言ってフィアのギルド仲間のブレイが斬りかかった。
「ダメ、ブレイ!そいつは!」
ブレイが斬りかかる瞬間黒騎士はブレイの剣を弾き、その体を切り裂いた。
「ブレイ!」
ブレイはフィアと並ぶかなり剣豪の一人である。彼がそう簡単にやられる筈がないのだが、簡単にやられてしまったのだ。
ならば私が倒せる筈がない・・・。
と、フィアは感じた。
「負けない!『奉納』射貫け!」
エミナが放った矢は黒騎士に真っ直ぐ飛ぶが、弾かれてしまった。
「なら!これなら!『千本桜』!」
千本の矢が黒騎士を、周囲の魔物を襲った。が、黒騎士の事である。この程度で倒せる事は出来ない。
「一旦逃げて、体制を立て直しましょう」
「う、うん」
エミナとフィアは一時的に陣営に戻って体制を立て直す事にした。
『戦乙女』エミリア・レスターと『紅の星』ジャス・ナイツ。そして、憲兵団長。ラッセル・フリー。の三名が集まっていた。先程、フィアから黒騎士の出現を聞いた所であった。
「黒騎士の参戦となると、現戦力では勝利は不可能だ。せめて、我が部隊が全て集まる明日の朝まで踏ん張れば・・・」
「あと、フラン王国からも援軍が来てもらえるそうよ。時間は明日の朝」
「なるほど、明日の朝まで持ち堪える戦力があればいいのだが。こちらの切り札もいつ起きるか解らん」
「切り札?」
「クラーケンを一人で倒したソロの傭兵だ」
「あの!」
「ふふ、ホント凄い子」
「今、重傷で自宅で眠っている。彼が起きてくれれば・・・」
黒騎士の力は凄まじく、前線部隊はほぼ壊滅状態であった。
しかし、その中に立っている少女が一人いた。
「ほう、俺の攻撃をここまで耐えるのは久々だ」
「あんた何かにタダでやられてどうするのよ」
リタであった。
「なら、君には死んでもらわないといけないな」
「やってみなさい。あんたに出来るものなら!」




