↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「無名の先祖を、歴史に名を残す男にする。――俺は、本能寺の結末を変える。」  作者: 最強の素人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/22

第21話 予言の的中

安土へ戻る前日。


俺と新七さんは、秀吉の陣へ挨拶に向かった。


「久世殿。此度はご苦労であった。」


「ありがたき幸せにございます。」


「そなたの働きは、上様に詳しく伝えておく。五十人をよくまとめてくれた。」


「恐れ入ります。」


秀吉は俺に目を向けた。


「玲央。そなたには驚かされたわ。」


「ありがとうございます。」


「褒めたつもりではないぞ。」


秀吉が笑った。


俺もつられて笑いそうになったが、ふと思いついたことがあった。


「あの、羽柴様。」


「何じゃ。」


「一つお願いしてもいいですか?」


「申してみよ。」


俺は新七さんを見た。


そして、秀吉に向き直った。


「天下人になっても、新七さんのことをよろしくお願いします。」


秀吉の笑顔が消えた。


「……何じゃと?」


「羽柴様が天下人になっても、新七さんをよろしくお願いします。」


「玲央!」


新七さんが慌てて俺を制した。


「何を申しておる! 羽柴様、申し訳ございませぬ!」


秀吉は片手を上げた。


「待て、久世殿。」


秀吉は俺を見つめた。


「玲央。そなた、わしが天下を取ると申すのか。」


「はい。」


「上様がおられるというのに、か。」


俺は言葉に詰まった。


しまった。


この時代では、信長が天下を統一しようとしている。


その家臣である秀吉に、天下人になると言ってしまったんだ。


秀吉はしばらく黙っていた。


「鳥取城が十月に落ちると申したのも、そなたじゃったな。」


「はい。」


「そして、そのとおりになった。」


秀吉は新七さんを見た。


「久世殿。そなた、この若者が何者か知っておるのか。」


新七さんは頭を下げた。


「わしの大切な親類にございます。」


秀吉は再び俺を見た。


「玲央。その話は、ほかの者にもしておるのか。」


「いいえ。」


「ならば、今後も口にするな。」


秀吉の声が低くなった。


「上様のお耳に入れば、そなたも久世殿も、ただでは済まぬやもしれぬ。」


「……はい。」


秀吉は少し考えたあと、新七さんに向き直った。


「久世殿。」


「はっ。」


「玲央の言葉が当たるかどうかは知らぬ。じゃが、そなたの働きは確かに見届けた。」


「ありがたき幸せにございます。」


「この先、何があろうと、働きに応じて遇する。それは約束しよう。」


俺は思わず顔を上げた。


「本当ですか?」


秀吉は俺を見た。


「ただし、玲央。」


「はい。」


「次にわしの未来を語るときは、場所を選べ。」


そう言って、秀吉は俺たちに背を向けた。


陣を出ると、新七さんが大きく息を吐いた。


「玲央。そなた、わしの寿命を縮める気か。」


「すみません……。」


「まったく。天下人などと、よくもあの場で申せたものじゃ。」


「でも、新七さんのこと、よろしくしてくれるって約束してくれましたよ。」


新七さんは呆れた顔で俺を見た。


「そなたという奴は……。」


俺は笑った。


秀吉はまだ知らない。


あと数年で、自分が天下を治めることになるなんて。


そして俺は、その未来の天下人から、新七さんをよろしくすると約束を取り付けた。


これが本当に役立つ日が来るのかは、まだ分からない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。