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次の日になって、今僕たちは謁見の間にいる。
村長とルエットさんとライムさんが王様とエリザ様の前に跪いたり、立ったままだったりして話をしている。
「ルエット、其方はわたくしを裏切りました。この報い、しっかりと受けていただかなければ!」
「まあまて。」
「陛下、何を待つというのです?!このルエットがかの者を連れて参らなければ!そしてライムも、王宮の兵を使用人や奴隷を使って殺害したのですよ?!」
それは、そうだよね。
実際に人が死んでしまっているのはもうどうすることもできない。
「陛下もあらぬ疑いを貴族のものたちにかけられ、かの者を引き入れたのはあなただと、王宮の兵も大したことはないと!」
「エリザ、やめないか。それを言っているのは祭りに参加しなかった貴族たちのみ。エリザが応対した貴族たちは優秀な護衛がいると感心していたではないか。貴族たちの噂は放っておけば良い。」
そうなんだ。
でも嫌なこと言われると気になるよ。
エリザ様が立ったり座ったりと忙しい。
スカイル様はエリザ様のと親子なんだなと、なんとなく思った。
「王妃殿下、お怒りは充分にわかります。ただこのまま処刑をしても、恨みだけが残ってしまいます。本件を主導したのは、かの貴族の男です。兵を殺めたのも、使用人を道具のように扱い攻めさせたのも。かの者がこのエクシルの手によって処刑され、怨恨はこれで断ち切れたものとしていただきたい。そしてこの者らに新たな人生を歩ませていただきたく存じます。そして、このキエフにこの者ら2名の処遇を任せていただけませんか?」
ルエットさんはずっと平伏していて、ライムさんは謁見の間をずっと見渡すようにくるくる回っている。
エリザ様は黙って村長の話に耳を傾けてる。
村長が続けた。
「私も、そして彼女も、光の空の属性。スカイル殿下の修行にはお役に立てるかとも存じます。」
「・・・キエフ、二度目はありませんことよ。」
「はは、ありがたきしあわせ。さあ、2人とも、こちらへ。陛下と殿下に挨拶を。」
「申し訳ございません。このご慈悲に必ずや報いてまいります。」
「そんちょー、終わったー?」
ライムが村長の腕につかまり、ちゅーはー?とせがんでる。
「はあ、調子が狂いますわ。陛下、少し部屋で休ませていただきたく存じます。エクシル、今すぐにでも、わたくしと一緒に来るように。ヨシュア、行きますよ。」
「はっ!行くぞエクシル。」
ヨシュアさんが嬉しそうだ、あれ、セシリアとリタさんもあとに続いてる。
「エクシル、エリザを頼む。」
王様もなんか疲れた顔してるな。
「パレントさん、村長、行ってくるね。」
「ああ、行っておいで。これも人生経験のひとつさ。」
「エリザ様を癒してあげておくれ。」
人生経験?癒す?なんのこと?
謁見の間の扉の外でみんなが僕を待ってた。
「さあ、こちらです。」
エリザ様が僕の手を引いた。
すると背中にセシリアが引っ付いて、反対の手をリタさんと繋いだ。
「はは、早速大変だなエクシル。昨日殿下と話したのだが。契約違反で命を奪うと言うのは流石に重いと言うことになってな。ああ着いたか、丁度いい、中で続きを話そう。」
ドアを開けると、部屋の真ん中に大きなベッドだけ、という部屋だった。
「さっきの続きだが、そのような契約はやめにすることにしたのだ。今殿下と私との間に契約は何もない。なんせ同じ男に好意を抱いていて、私が少しでも殿下に嫉妬なんざしようものならすぐに死んでしまう。命がいくつあっても足りなくなってしまうからね。」
僕からリュックとホークアイを取り上げるようにして、ヨシュアさんが部屋の端に置いた。
そしてドアを閉めて鍵をかけた。
「この王国では多夫多妻が認められています。それはわたくしも同じ。というわけでエクシル、まだ其方にとっては早いですが、婚姻の契約を交わします。ええ、これは王妃の命令です。」
・・・え?
「もう気持ちが抑えきれません。色の緑、わたくしエリザは、エクシルと婚姻の契約を結び、もしわたくしがエクシルによからぬことを働けば、エクシルに弄ばれどんな辱めを受けることも厭わないことを、ここに誓います。」
僕を両腕でガッチリ巻きつけて抱き上げ、エリザ様に唇を奪われる。
「んーんま、あと8年も待てませんね。いっそこのまま。」
「ダメですよ。」
「エリザ様。」
「私たちの、エクシルですよ。さあ次は私だ。覚悟はいいな?!勝手だが、昨日のあの戦い、私の前に立ちあの女の絶技を止めた時から、この胸の高鳴りが止まらん。エクシル、どうかこの高鳴りを鎮めてはくれないか?」
今度は本当に取って食われそうな勢いのあるヨシュアさんだ。
エリザ様と同じように誓いの言葉を言って、力強く抱きしめられて、力一杯唇を吸われた。
息が、吸われる。
「んー、ぷは、はあはあ、でも、婚姻のて、8年、待つんでしょ?」
足を浮かせたままの僕にヨシュアさんが答えた。
「ああ、結婚はな。婚前交渉は別にいつでもいいだろう。今の契約はエクシルにナニをされても文句はないと言う自戒みたいなものだ。今のエクシルではまだここが未発達だろうからな。だが、4年も経てば食べごろだ。」
た、食べ頃?!
「子どももおそらくは作れるだろう。このまま順調に成長すればな。」
子ども?!僕がまだ子どもだよ!
「そんな顔をするな。私はセシリアと違ってもう大人だ。エリザ様も、リタもだ。いつでも子は作れるし、育てられる環境も整っている。リタももしできたら王宮に来るんだぞ。あとはエクシル、お前次第ということだ。」
「もう子ができた時の部屋も用意しています。また昨日のように、甘えに来ても良いのですよ。いつでも、なんなら今からでも。」
なんだか目の前がぐるぐる。
「いっぱい、エクシルのこと好きな人増えちゃった。嬉しいけど、独り占めしたいって思っちゃう。」
みんながセシリアの言葉を聞いて深く頷いてる。
「そうね、しかも目の前であんなことされちゃあね。えい!」
僕の口、耳、頬にキスをしたり、舌を這わせたりされた。
「リタさん、僕の顔、汚いよ?!昨日野営して拭いてない!」
「美味しいからいいの。野営したのはあたしもセシリアちゃん一緒よ。それに言ったでしょ、終わったらエクシルを存分に楽しむって。」
「リタさんいいなー。私ももう我慢できないー。」
セシリアが僕のシャツをはだけさせて匂いをスンスン嗅いでる。
「ここが美味しいかった。あーん。」
「せ、せし。」
「逃げちゃだーめ。」
セシリアがチロチロ舐めてるそこは、敏感なところ。
耳を甘噛みしてはむはむしてるリタさんに動きを止められた。
「はー、しょっぱい。エクシルの味。」
「どれどれ。私は反対側を、おお、そうだな。ちょっと酸っぱいか?どうしたエクシル、苦しそうだぞ?ズボンがキツイのか?」
そこは、絶対にダメなところ!
「ああん。ヨシュアさんやり過ぎ。エクシル逃げちゃった。」
でも僕の逃げた先が悪かった。
「捕まえましたわ。ん。さあこちらですよ。」
キスされてベッドに倒された。
ベットの真ん中に寝かせられて、どこにそんな力がと思うくらい両腕をガッチリ掴まれて、リタさんやセシリア、ヨシュアさんが触れたところ全部、キスしたり舐めたりして、へそまできた。
ずるいのがエリザ様ということ、ジタバタして怪我でもさせたら一大事。
「わたくしの胸、気持ちいい?ふふ、自分の子どもたちよりも歳下の子に欲情するなんて、本当、変態ですわ。でもそうさせたのはエクシル、其方なのですからね。やはりもう、疼いて仕方がありません。せめて指だけでも。」
「いはふひはあふぇらふぇふぁひ。(今指はあげられない。)」
セシリアとリタさんが指を一本ずつ口に入れて舌で転がしてる。
「では私は顔をいただくとしようか。」
キスの雨が顔に降る。
ふと力が抜ける。
僕は今みんなを守ったからこうしていられる。
僕があの時あの男の人を殺さなきゃ、あの老婆を殺さなきゃ、どうなっていただろう。
気がつくとみんな手?舌?を止めて僕の顔を見てた。
「どうした?」「難しい顔してたわよ。」「大丈夫?エクシルぅ。」
ゆっくりと上半身を起こして、馬乗りになってるエリザ様に聞いてみる。
「僕は、エリザ様の力になれたのかな?」
温かい体、腕が僕を包み込む。
やっぱり、母さんを思い出す。
上を見上げようとして体を少し離して、エリザ様の顔を見ると、優しい顔がそこにあった。
手を伸ばしてエリザ様の顔に触れると、彼女の方から顔を近づけて、手を柔らかく両手で握った。
「エクシル、ありがとう。わたくしたちは其方に救われました。昨日の痛みも苦悩も、わたくしたちに分けてください。其方はもうひとりではないのですから。」
そう言って額にキスして、エリザ様の優しい微笑みに安心して、僕も笑顔になった。
エリザ様にまた押し倒される。
僕の右手を握って彼女の左胸に押し立てられた。
「感じますか?これが其方の救った命の鼓動です。少しはやく脈打っているかもしてません。そしてこれがわたくしの胸、腹、腿、触り心地はいかがかしら、わたくしの全てを感じて、守ったものを。そしてここが、ん。」
「「エリザ様!」」「殿下!」
「ふふ、こんなに焦らされたのは、初めてぇ、ですから、もう!」
エリザ様は苦悶の表情を浮かべたかと思うと、全身の力が抜けたのか僕に覆い被さってきた。
少し息づかいが荒い。
「殿下、失礼します。」
エリザ様がヨシュアさんに抱えられ、ベッドの少し離れたところに寝かされた。
「次は。」「あたしの。」「番だ。」
一斉飛びかかってくる。
「これは、久々で、あ、いい!」
「あたしの、が、指、ん、あ、だめ・・・んー、んー!」
「私と一緒のこと、して、エクシルぅ。ここ、うぅん、そう、ペロペロ。ともっと、もっとぉ!」
みんなしばらく僕をもてあそんだ後、エリザ様と同じ顔をして疲れ果てたようにベッドに倒れ込んだ。
「はあ、だめだ。この程度でへばるとは。」
「エクシルぅ、ついにやっちゃったね。」
「好きな人とこうしていられるのは幸せね。あたし、胸いっぱい。」
婚約とは、安易に契約として結ぶものではない。
多分、今僕は人生で一番難しい顔をしてるんだと思う。
パレントさんと村長の顔が浮かぶ。
このことを言ってたのかな、はあ。
女子たちは何やら次のことを話しているようだ。
わたくしがいない間は手を出してはならない、とか、そんなの無理、もうやっちゃったから自由な時に自由にやらせろ、とか王宮からあまり出ることのない2人と自由な2人との激論が繰り広げられていた。
これから何があって何をするのか、もう全部わかってはいるしはぐらかすつもりはないけども、やっぱりこの会話は聞いちゃだめなやつだと思う。
「エクシルがまだ滞在すると言うなら滞在する期間、毎日愛を育みましょう。ここの皆で。それでひとまずはよろしいですか?」
これ王様やスカイル様が聞いたら倒れちゃうんじゃないかな。
「殿下は陛下からの寵愛もあるのですから、その分私どもに時間を与えてしかるべきかと。」
「わたくしの護衛を疎かにすると?」
「いえ、忙しい殿下に代わりまして、殿下の愛を含めて私がエクシルに授けるという重要な役目につくということです。」
「はあ、契約を解除した途端これですもの。しかし体はこのひとつのみ、忙しいのは事実ですから仕方ありません。」
仕方ない、と言ってる割に心底恨めしそうに僕を見てる、言葉と顔が全然違くて怖い。
あとヨシュアさん、結構目上の人に意見する人なんだな。
「譲れないものがあると、女は強いわよねー、セシリアちゃん。」
「そうよねー、リタさん。」
僕がヨシュアさんをあんな風にさせてるのか・・・。
ドアを叩く音がして、みんな身だしなみを整え始めた。
「王妃殿下、スカイルです。少しよろしいでしょうか。」
廊下の足跡が全然聞こえなかった。
「え、ええ。構いません。」
「では失礼します!」
「・・・また貴様らも一緒か。」
「なによ、エリザ様にお呼ばれしたんだからいいのよ。」
あ、ノーラさんも一緒だ。
小さく手を振ってる、僕も手を振ろう。
「スカイル、早くなさい。」
「おほん、失礼しました。街の状況について報告いたします。王宮の被害に比べ被害は少なく、破壊されたのは貧民街の奥、奴隷の収容所であることがわかりました。街の民もこちらに対する不信感は無く、あれだけの攻撃にも関わらず被害を少なくとどめた我々に、より厚い信頼を寄せている模様です。王宮内にて落命した兵の弔いはこの3日間の王宮開放と併せ執り行うことといたしました。陛下の意向で死亡した無属性たちも葬儀を執りに行うとのことです。」
「わかりました。ありがとう。下がっていいわ。」
「はっ!」
スカイル様が部屋から出て行った。
ん?なんでこっち見るの?
「ああどうしましょう。葬儀ということはわたくしも参列を。いいことを思いつきましたわ。エクシル、其方も参列しなさい。喪服を着てわたくしと一緒に。これも王妃命令です。」
僕が、行かない、とか言ってエリザ様を困らせるとまたさっきみたく指で慰めなくちゃいけなくなるから従うしかない。
でも、無属性もちゃんと弔ってくれるなら参列しなくちゃ。
「うん。ちゃんと見送りたい。」
「どうしよう、私この服しかない。」
「あたしも、これじゃ派手よね。」
「あら、其方らはいいのよ、別に。」
「「いいえ、出ます。」」
「殿下の護衛は役得だな。殿下は王族の席につかねばならないから、私と一緒に故人を偲ぶとしようではないか。」
これ、葬儀の話をしてるんだよね?
僕が昨日死んだ使用人のひとりなら、寂しいな。
誰も祈ってくれる人なんかいないんだろう。
「ああ、エクシル、ごめんなさい。そうですわね。ちゃんとしないといけませんわ。だからそのような顔をしないでください。」
「うん。」
「ヨシュア、使用人を呼んで全員の喪服を揃えてちょうだい。」
「は、ただいま。すまないエクシル。そんなつもりではなかったのだ。気を悪くしないでおくれ。」
ヨシュアさんが使用人を呼びに外に出て行った。
エリザ様の膝の上に乗せられ、両隣をセシリアとリタさんがくっついて離れない。
エリザ様は僕の頭を優しく撫でる。
しばらくしてドアが開くと、大勢の使用人が多くの黒い服を持って入ってきた。
エリザ様は僕を膝から下ろして立ち上がり、隣に座ったヨシュアさんが今度は膝の上に乗せる。
「ふむ、これを。早速着るわ。」
使用人がこちらを見て、着替えに躊躇している。
ごめん、僕今動けないんだ。
「構わないですわ。まだ子どもです。早く着付けてちょうだい。」
手早く着付けていく使用人に感心してみていて、着付けが終わると、ジャケット、シャツ、スカート、全部黒でつば広の帽子も黒と、もうまるでさっきの人とは別人だった。
セシリアは使用人に選んでもらって黒いフリフリのついたドレスみたいなのを着て、リタさんも体にピッタリした黒のワンピースを着てる。
「私は騎士の格好で祈りを捧げるから、着付けは必要ないのさ。」
「こういう時なんて言ったらいいかわかんないや。でも、綺麗で可愛いよ。これで送り出してくれるなら嬉しいよ。きっと。」
「エクシル。」
「なに?」
「其方も着替えるのですよ。」
そうだった。
「これよ。これを身につけなさい。」
またスカイル様の服かな?どうやって着るの?
手伝ってもらったけど難しすぎて、明日もやってもらわないとだめだ。
髪も整えてもらって、何故か使用人の何人かが拍手をしたり口に手を当てたりしてる。
なんだろ。
みんなの方を向き直ると、ん?全員動かないぞ?
「やっぱり王子様。」
「死者の魂も天に帰れないんじゃないの?」
「エクシルに目がいってしまって祈りが死者に届きませんね。死者もこれでは聞いてはいないでしょうし。」
「誰に祈りを捧げるのかわからなくなりそうだな。」
そんなに?
「これじゃだめだって。」
「「「「だめじゃない。」」」」
「んー?なんの行列かと思えばエクシル、か?」
ロビンとマリー様とメリーが部屋に入ってくるなり僕の姿を見て固まった。
「あ、おま、明日それで行くのか?」
「うん、ロビンの服は?」
「あ、ああ、さっき合わせた。お前の隣には並びたくねーな。」
「だめ?」
「いや全然、全っ然ダメじゃない。だから言ってるだろ?お前の顔はパレントさんと同じかそれ以上なんだ。最近顔も引き締まってきたし大人っぽくなってきたから、多分超えてるぜ。なあ、マリー、メリー。」
固まって動かないぞ。
「マリー。ちょっと、一度マリーの部屋に戻るわ。おい、マリー!返事しろ、大丈夫か?メリー、は大丈夫そうだな。一緒に担いでくれ。そう、そっち持って。」
マリー様が担ぎ出された。
もう脱ごう。
使用人に手伝ってもらってやっと脱ぎ終わって、さっき着てた服に戻った。
今着てた服を手渡されて、ひとりじゃ着替えられないから手伝って欲しいと伝えたら、使用人同士で誰が着替えさせるかの争いになりかけてしまった。
エリザ様のメイドがやることになって落ち着いたけど。
使用人が部屋から出て行って、また5人だけになる。
「魔術書でも読みましょ。」
そう言って、また誰の魔術書を読むかで4人の激しい論争が始まった。
せっかく3種類あるのだから全部読み比べたいけどな。
と思っていたらそうなっておさまった。
僕の読みたい魔術書の持ち主が僕の上に乗るっていう謎の決まりができたけど。
「久々に読みましたが、新たな発見もあるものですね。」
「先に進むに連れて言葉も難解になるが、なるほどこう読むのか。」
みんなで読むと新しい発見があって良い。
途中、エリザ様が王様に呼ばれて部屋を出て行ったけど、その時なかなか部屋から出なくてヨシュアさん大変そうだった。
本を読んでる時はみんな穏やかだから、僕の好きな時間だ。
また、気が付いたら寝ていて、苦しいと思ったらセシリアが唇に吸い付いて寝てる。
そして手は、うつ伏せのリタさんとエリザ様の胸の下。
動けないし、また僕は目を瞑った。
怒られ待ち?




