番外12大魔王セフィラ
テラとマナは月の王国の最奥、チャンドラの王宮内を歩いていた。
石造りの廊下を真っ直ぐ奥へと進んでいく。行先は告げられていない。
「あの、私達は何処に向かっているんですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
マナがおずおずと尋ねるも、チャンドラは答えない。そのまま先へと進んでいく。不安が増してくる。
「あの———」
「着いたぞ」
チャンドラの声に、二人は改めて前を見る。すると・・・。
何時の間にか、二人の目前には見上げる程巨大な大扉があった。
デカい。とにかくデカい。それに、テラは他に気になる事があった。
「扉の向こう・・・何かとてつもなく強大な何かがいる?」
そう、扉の向こうから強大な気配が感じられるのだ。それも、アザトホートと同格の何かが。
少なくとも、人間の気配では無い。肌を刺す様な、ぴりぴりとした強い魔の気配だ。
二羽の兎獣人が大扉を開ける。果たして、中に居たのは・・・。
頭に角を生やしたロリ少女だった。
「・・・えっ?」
「・・・・・・はっ?」
・・・んんっ???
テラとマナは思わず二度見する。其処には、頭に角を生やしたロリ少女が居たのだ。
もう一度言おう。其処には、頭に角を生やしたロリ少女が居た。それも、黒い長髪に黒いくりっとした瞳の可愛らしいロリータだ。しかも、可愛らしい黒いドレスに身を包んでいる。
そんな少女が、豪奢な椅子にふんぞり返って座っている。かなりの違和感がある。
思わず、テラとマナはきょとんっとする。
「おいっ、主ら何を考えておる?」
少女が目を鋭く細める。それだけで、室内を重苦しい殺気が満たした。兎獣人が二羽とも口から泡を吹いて倒れ伏した。余りの殺気に壁に亀裂が奔る。その重圧に室内が軋みを上げる。
これが、少女の放つ殺気だと?テラは軽く慄いた。
チャンドラが額を押さえて溜息を吐いた。瞬間、チャンドラの姿が消える。
「せいっ」
「ぐはっ!!!」
気付くと、チャンドラは少女の傍に居て少女は目を回して倒れていた。マナは目を白黒させる。
テラは冷や汗をかいた。
「速い・・・今の僕でなければ見えなかった」
「えっ?えっ???」
マナは未だ良く理解出来ない様だ。若干混乱している。説明を求める様に、テラを見る。
テラは苦笑し、状況を説明した。
「チャンドラはあの少女に手刀を食らわせたんだよ。・・・・・・かなり速い手刀だった」
「えっ!!?」
マナは驚いてチャンドラと少女を凝視した。チャンドラは溜息を吐き、片手で少女を持ち上げた。
「こいつが初代魔王にして大魔王、セフィラだ」
「「・・・・・・・・・・・・・・・」」
しばらくの静寂。たっぷり五秒掛け、そして———
次の瞬間、驚愕の絶叫が王宮内を響き渡った。さもありなん。




