裏
マナが泣いているのが分かる―――
ライルとアトラが戦っているのが分かる―――
そして、同時に魔王の想いが理解出来る―――
魔王の心の中、テラは魔王アザトホート―――仙道次郎の心に触れ、その想いを知った。理解した。
ふと、テラは考えた。僕は一体、どうすれば良かったのだろう・・・。もう、何も分からない。
マナと会いたい。マナと共に居たい。その気持ちは確かにある。
しかし、同時に理解してしまったのだ。彼の、魔王の想いの丈を。その覚悟の強さを。
ディストピアで生まれ育った少女。彼女を守ると誓った。二度と泣かせないと誓った。
彼女が好きだから。愛しているから。彼女に恋をした。故に、悪に堕ちても構わないと誓った。
その想いの強さを。純粋さを。熱さを。テラは知ってしまった。
故に、分からなくなった。一体何が正しかったのか?一体どうすれば良かったのか?
テラには分からなかった。
「・・・で、何時までそうやって塞ぎ込んでいるつもりだ?テラ―――」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・不意に、テラの前に仮面を付けた自身の鏡像が現れる。てらだ。
「マナが泣いているぞ。帰ろう、マナの許に」
「なあ、てら。僕はどうすれば良かったんだろうな・・・」
「・・・・・・・・・」
仮面のてらは答えない。当然だ。彼に、その問いに対する答えは持ち合わせてはいない。
テラはぺたんっと座り込み、膝を抱え、更に俯く。
「なあ、てら。お前、本当は僕のペルソナでは無いんだろう?」
「・・・・・・・・・・・・確かに、僕はテラの仮面では無い」
「・・・・・・・・・・・・」
てらは否定する事なく肯定した。仮面で分かり難いが、薄っすらと笑っている気がする。
自嘲の笑みだ。
「僕はテラの権能によって創造された第二人格。テラの心を守る為に生み出された者」
「―――――――――・・・・・・っ」
テラの顔がくしゃりと歪む。もはや、テラは限界だった。テラの心の中で、何かが決壊する。
「じゃあっ、じゃあっ、僕は何をすれば良かったんだ!!一体何が正しかったんだよ!!」
「そんなの僕には分からない。分かる筈が無いじゃないか―――」
「っ!!?」
淡々とした、てらの言葉。今度こそ、テラの表情は絶望に染まった。
しかし、そんなテラに彼は優しげに言った。諭す様に言った。
「テラは一体、どうしたいんだ?」
「・・・・・・え?」
「テラはテラの思う様にすれば良い。お前はお前なんだから・・・」
そう言って、てらはテラの中に消えていく。テラはテラの思う様に―――
ゆっくりと、テラは租借する様に自身のやりたい事を想う。
「僕は僕の思う様に―――僕は」
そう、テラのやりたい事は・・・。テラは覚悟の籠った瞳で前を見据えた。




