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最弱の不死者<イモータル>  作者: ネツアッハ=ソフ
最強の仲間
33/52

ゴーレム遣いと最強生物

 一時間としばらくして、ようやく泣き止んだエリス。人前で泣いた事が恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして俯いている。中々可愛らしい。


 逆に、マナは頬をふくらませて不機嫌そうだ。テラは思わず苦笑する。


 その姿に、ライルも苦笑を()らしつつ、テラに尋ねる。


 「ところで、どうやってエリスの病を治すんだ?」


 「うん、まあ簡単な話だよ。少しだけ、僕の生命(いのち)を分け与えてこの娘の生命力を活性化させる」


 そう言った瞬間、エリスが驚愕の声を上げる。


 「そんな!?自分の生命を分け与えるなんて、それでは貴方の命が!!」


 言いたい事は分かる。要は、他者の命を救う為に、自分の命を削ると言っている様な物だ。それは安易に呑める話では無いだろう。


 しかし、テラに限っては話は違ってくる。何故なら―――


 「まあ、問題は無いよ。僕は死なないしね」


 「死な、ない・・・?」


 エリスがきょとんっとする。ライルも良く分からなかったのか、怪訝な顔をしている。


 そう、死なないのだ。文字通り無限の生命を持つテラの生命力を少し削った程度で、死ねる筈が無いのである。


 それを説明すると、二人とも呆然とした顔をした。鳩に豆鉄砲を食らわせたら、丁度こんな顔をするのだろうか?


 「二人とも、面白い顔をしてないでそろそろ戻って来い」


 「「はっ!?」」


 「息ぴったりだな、お前等。中々面白いぞ」


 そう言い、テラは溜息を吐く。面白いと言いながら、その顔は呆れ返っている。


 場の雰囲気(ふんいき)を切り替える為、ライルはごほんっと咳払いする。


 「と、取り敢えずだ、お前は不老不死で、エリスの病を治してくれるんだな?」


 「ああ、そのとおりだ」


 「では―――」


 ドゴンッッ!!


 瞬間、凄まじい轟音と共に大地が揺れ動く。かなり大きな揺れだった。


 「なっ、何!?」


 エリスが困惑した様な、何処か怯えた様な声を上げる。そして、テラの身体にしがみ付く。


 エリスの、柔らかい胸の感触がテラの身体に伝わる。同時にマナの鋭い視線が突き刺さる。


 テラは思わず苦笑を漏らす。


 この瞬間にも、轟音と揺れは断続的に続いている。只の地震では無いだろう。それは明らかだ。


 「ライル、アトラ、外の様子を見てきてくれないか?こうも揺れたら治療に集中出来ん」


 「あ、ああ・・・、分かった」


 「呵々、了解した」


 そう言って、二人は外に出て行く。部屋の中にはテラ、マナ、エリスの三人が残る。


 「じゃあ、そろそろ始めようか」


 「は、はいっ・・・」


 エリスは若干緊張しているのか、表情が少し硬い。テラはエリスの緊張を(ほぐ)す為、頭を撫でる。


 「あっ・・・」


 エリスが頬を朱に染め、何処かぽーっとした視線をテラに向ける。対するマナは、何処か面白く無さそうな顔をしている。


 「むーーーーーっ」


 「はあっ・・・、始めるぞ」


 思わず、テラは溜息を吐いた。もう、何か頭が痛い気分だ。


 憂鬱(ゆううつ)な気分になりつつも、テラはエリスの胸の真ん中に手を当てる。


 瞬間、エリスの身体に温かい何かが流れ込んでくる。それは云わば、生命力という物だ。


 エリスの身体に染み渡る様に、隅々まで広く行き渡る様に、生命力が流れ込んでいく。


 同時に、テラはエリスの体内に意識を向ける。エリスの身体を蝕んでいる病、それを見付けたテラは早急にそれを"破壊"する。


 次第にエリスの顔色が良くなってきた。治療行為を終え、テラはエリスの身体から手を離した。


 「終わったぞ、調子はどうだ?」


 「身体が軽い・・・、嘘みたいに調子が良いです・・・」


 呆然とした声で、エリスが呟く。自分の病が治ったのが信じられないのだろう。


 「大丈夫、嘘じゃないさ。エリスの病は治ったよ」


 そう、テラが声を掛けた瞬間、堪え切れずにエリスは泣き出した。泣けども泣けども、涙は止め処なく溢れてくる。


 テラは若干苦笑しながら、エリスの頭を優しく撫で続けるのだった。


 ・・・・・・・・・


 一方、ライルとアトラは―――


 外に出た二人の前には、巨大なゴーレムとその肩に乗った老紳士の姿があった。老紳士は不敵な笑みを浮かべ、二人に告げた。


 「此処にテラという男がいるだろう?そいつを即刻引き渡して貰おうか」


 老紳士は遥か高みから見下した、既に勝ちを確信した顔で言った。その余りの傲慢(ごうまん)さにライルの身体からは闘気(とうき)が、アトラからは魔力(まりょく)が溢れ出る。


 ライルが不快気な声音で問う。


 「誰だよ、お前」


 「私の名はカルデラ、最果てのゴーレム遣いカルデラだよ」


 カルデラと名乗った男が指を鳴らすと、カルデラの背後の大地が(うごめ)き、かなりの数の巨大ゴーレムが出現した。目測だけで、数十体以上は居るだろう。


 その一体一体の大きさも、数十メートルはあるだろうか。


 「さて、これでテラを差し出す気になったかな?」


 「木偶(でく)の坊だろ、こんなの―――」


 「・・・何?」


 ライルの言葉に、カルデラの顔が不快そうに歪む。ライルは取り合わずに更に言う。


 「この程度の木偶の坊、何万体居ようと大した事は無い」


 「ふんっ!所詮は只の強がりだ、行け!!」


 カルデラの合図と共に、ゴーレム達が一斉に動こうとする。その瞬間―――


 ドカアアアアアアアアアンッッッ!!!


 轟音と共に、数十体以上の巨大ゴーレムは一斉に粉々に砕け、吹っ飛んだ。ライルを見ると、拳を突き出した姿で立っていた。


 「なっ・・・あっ・・・!?」


 自分を乗せていたゴーレムを砕かれ、バランスを崩したカルデラは地面に落下する。数十メートルくらいの高さから落ちたカルデラだが、ゴーレムを作成する応用で地面を操り、何とか無傷で地面に着地した。


 しかし、その瞬間カルデラの首元にアトラの魔法杖が突き付けられる。


 「呵々、チェックメイトだ」


 「ぐっ・・・」


 カルデラが悔しそうに(うめ)く。その視線が、ライルに向く。


 「思い出したぞ。(かつ)て、最強生物とまで言われた男が居た。お前の事だな?ライル」


 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 ライルは答えない。その後、駆け付けた衛兵達にカルデラは捕縛された。

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