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最弱の不死者<イモータル>  作者: ネツアッハ=ソフ
不死身の男
3/52

自己紹介

どうも、i2です。今回は主人公の過去について少しだけ触れます。では、どうぞ。

 盗賊を殲滅した後、彼はへらへらとした笑顔を向け、二人の騎士に挨拶をした。


 「こんにちはっ、少し聞きたい事があるんだけど、良いかな?」


 「っ!?」


 二人の騎士は警戒と若干の恐怖の籠った顔で身構える。まあ、それも当然だろう。


 ナイフで刺されて死んだ筈の人間が平然と起き上り、こうして目の前に立っているのだから。


 否。そうでなくとも大量の死体の中、血塗れの姿でへらへらと笑いながら話し掛けて来る人間を警戒するなと言う方が無理だろう。


 「あー、取り敢えず僕は敵じゃないから、警戒を解いてくれるかな?」


 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!?」


 警戒を解く為、彼は敵じゃないとアピールするが、どうも言葉が分らない。


 当然だ。此処は異世界。文化が違えば言語も違うのだから。


 「あー、成程。これは困った、やれやれ、実に面倒だ」


 彼は白髪の頭をがしがしと掻くのだった。




 「つまりだ、僕は敵じゃない」


 一時間後、何とかこの世界の言語を習得して騎士達の警戒を解くことに成功した。


 遥か永い時を生きている彼は総ての言語に通じている。例え、異世界の言語であろうともそれを解読するなど容易い事だ。


 「貴方が敵じゃないことは分かりました。でも、なら何故貴方はこんな森の中に一人で居たのですか?」


 女騎士がさも不思議そうに尋ねて来る。


 彼は顎に手を当てて考え込む素振りをし、やがてそれに答えた。


 「分らない」


 「「はっ?」」


 「だから分らないんだよ。何故、僕が此処に居るのかが。分かるのは此処が僕の居た世界とは違う世界だという事だけだ」


 彼は自分が不死身である事以外の事情を全て話した。


 この世界に来る前の事から今に至るまでの全てをだ。


 話を聞き終えた女騎士がぽつりと呟いた。


 「異世界人、ですか・・・」


 「・・・・・・・・・」


 異世界人。その言葉を聞いた男の騎士が黙り込む。


 その雰囲気に彼は何かを察した。


 「もしかして、この世界では異世界人が珍しくないのかい?」


 「ええ、そうですね。この世界には偶に異世界から人が来る事があります」


 その後、暫く二人に異世界人について聞いた。


 異世界人にはどうやら二種類居て、一つは召喚された者。もう一つは流れ着く者らしい。


 大多数は召喚された場合で、ごく偶に流れ着く場合があるらしい。


 話の流れから、彼は自身を後者と位置付けた。


 何故なら、召喚された場合必ず召喚主が近くに居る筈だからである。


 そして、ここからが問題点。


 異世界人はその多くが自由奔放か、心の何処かに狂いを抱えている者ばかりである。


 何故なら、異世界を渡れる人間はその多くが能力持ちだからである。


 多くは強大な能力を持て余し、狂ってしまう。それに耐えられるのは、強靭な心を持っているか相当な変わり者ぐらいだろう。


 嘗て召喚されたとある男は、その強大な力で一瞬にして一国を滅ぼしたと言う。


 現在、その男は魔王を名乗り、辺境の島で暮らしているとか。


 「貴方も異世界人である以上、何かしらの能力を持っている筈。貴方の能力は何?」


 女騎士はそう言って彼に真剣な目を向ける。


 彼が危険な男なら、自身の手で始末する必要があるからだ。


 そんな彼女の覚悟を他所に、彼は困った顔で言った。


 「そんな大した能力は持っていないよ?只、再生力が優れているだけで・・・」


 そう言って、彼は地面に落ちているナイフを拾い、自身の手首を切った。


 「っ!?」


 二人は突然の彼の行動に驚愕する。だが、次の瞬間にはその傷は綺麗さっぱり消えていた。


 その事に騎士二人は更に驚愕する。


 「この通り、僕はなかなか死ねないだけで別に危険な能力とかは何も持っていない。だからそんなに警戒をしないでくれないかな?」


 「・・・・・・・・・」


 どうやら気付いていたらしい。


 女騎士はふうっと息を吐く。


 「ごめんなさい。では最後に貴方のなまえは?」


 女騎士はそういえば先程から彼の名前を聞いていなかった事に気付き、名前を尋ねた。


 しかし、返ってきたのは予想もしない言葉だった。


 「名前?無いよ?」


 「えっ?」


 余りに予想外の言葉に女騎士は放心する。


 今まで静聴していた男の騎士も、思わず問う。


 「それはどう言う事だ?」


 「そのままの意味だよ。僕は物心が付いた頃には既に一人ぼっちだったからね。覚えている限り、人は僕の事を化け物と呼んでいたし、君達も好きに呼んで良いよ」


 「っ!?そんな・・・」


 女騎士にとって、それはとても信じられない事だったらしい。かなりのショックを受けた様だ。


 男の騎士も絶句している。


 沈黙が流れること数分。


 「テラ」


 「うん?」


 「貴方の名前はこれからはテラです。化け物ではありません!!」


 女騎士が半ば叫ぶ様に言った。テラと呼ばれた彼は少し驚いた顔をすると、やがてにっこりと満面の笑みを浮かべた。


 「うん、これからは僕はテラだ。じゃあ、君達の名前は?」


 「私の名前はマナ。マナ=クルツ=アストゥルです」


 「俺の名前はアルフレッド=クルツ=アストゥル。マナの兄だ」


 互いの自己紹介を終えて三人は笑い合った。


 三人が打ち解けた瞬間だった。


 「そう言えば、一つ言い忘れていた事がありました」


 「うん?」


 急に真剣な顔をしたマナにテラは首を傾げる。


 「先程は私達を助けて頂きありがとうございます」


 そう言ってマナは深々と頭を下げた。


 その光景にテラはきょとんっとする。だが、それも仕方が無いだろう。


 彼は人から恐れられる事はあっても、感謝される事など無かったからだ。


 だからだろう。


 「あ、ありがとう?」


 思わず疑問形になったのは。

マナとアルフレッド、二人の騎士と打ち解けたテラ。次は森の外になります。

次回もお楽しみに。

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