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最弱の不死者<イモータル>  作者: ネツアッハ=ソフ
心の闇
21/52

攻略、迷いの城

 「精神世界?」


 森の中をドラコの声が響いた。現在、テラ、マナ、ドラコの三人は森の魔女、ネロの棲むとされる迷いの城に向かっている。


 その道中で先程起きた出来事を説明していた。


 「そう、僕は先程までネロの創った精神世界に閉じ込められていたんだよ」


 「それで、テラはどうやってその精神世界から脱出したのですか?」


 マナが不思議そうな顔で問う。


 まあ、その疑問も尤もだろう。テラが閉じ込められたのは精神を閉じ込める為の牢獄。


 本来は脱出する手段など有りはしない筈なのだから。


 それでも、脱出出来たのは―――


 「僕が精神世界から脱出出来たのはあの空間の特性を利用したからだよ。精神を縛る力を上回る意思の力で精神世界を破壊したんだ」


 「「・・・・・・・・・」」


 その言葉に、マナとドラコの二人は絶句した。


 当然だ。それはもはや力技と言っても過言では無いのだから。


 ちなみに精神世界を破壊した時、テラからある異質な力が漏れ出ていたのだが、その事にテラは全く気付いてはいない。


 テラがその力に気付くのは少し後の話になる。


 「まあ、テラが無事で良かったよ」


 マナが苦笑しながらそう言った。対するテラはバツが悪そうに頬を掻く。


 「見えて来たぞ」


 ドラコの言葉に、テラとマナは正面を見る。其処には漆黒の外観の城が有った。


 此処が黒魔術師ネロの居城、迷いの城である。


 テラは城の門に近付き、そっと触れる。


 当然、門は堅く閉ざされている。


 「ふむ、やはり開かないか・・・」


 「どうするの?」


 うーむ、と考え込むテラとマナ。一方、ドラコは門に触れながら何事か考えると、剣の柄に手を掛けた。


 「?ドラコ?」


 「二人とも、少し離れてろ」


 ドラコがそう言った瞬間、ゾクリとテラの背筋に寒気が奔った。


 慌ててテラはマナを抱えて後方に飛び退く。同時にドラコの剣が閃いた。


 キンッ、という金属音と共に堅く閉ざされていた門がバラバラに切り刻まれ、崩れ落ちた。


 「「・・・・・・・・・」」


 余りの事に、テラとマナの二人は呆気に取られる。見間違いでなければ確かにドラコは巨大な鉄門を切り刻んだのだ。


 流石にこれは予想外だった。


 「さあ、これで中に入れる。さっさと入ろうぜ」


 そう言って城の中に入って行くドラコに、釈然としない物を感じながらも付いて行くテラとマナだった。


 ・・・・・・・・・


 漆黒の外観とは打って変わって、城の中は純白の壁に覆われていた。


 「・・・・・・・・・妙だな」


 「ああ、敵の気配が全くしない」


 テラとドラコは警戒心を露にする。そう、これだけ派手に侵入したにも係わらず、敵が現れるどころかその気配すら全くしないのだ。


 その場を不気味な静寂が満たす。


 ―――異変はその直後にやって来た。


 「テ、テラ!?門が!?」


 「っ!?」


 気付けば門は堅く閉ざされていた。そう、切り刻まれた筈の門が、何事も無かったかの様に入口を塞いでいたのだ。


 「くっ!」


 ドラコが再び門を切り刻もうとするが、今度は傷一つ付かなかった。


 「罠、か・・・」


 此処は既に敵の体内。一度入り込めば二度と抜け出せない罠が其処にあった。


 この城から脱出する方法は、主に二つ。


 その一つは―――


 「このまま進むしか無いか」


 このまま進み、この城の主を打倒するという方法だ。


 テラの言葉に、マナとドラコは頷く。元よりそのつもりでこの城まで来たのだ。


 ならば三人とも引くつもりなど最初から無い。


 こうして三人は敵城の中を進み始めた。


 ・・・・・・・・・


 城の中を進み始めて一時間程が経過した。


 歩けども歩けども誰一人として遭遇しない。どころか、先程から三人をある違和感が襲っていた。


 「ねえ、何だかさっきから同じ所をぐるぐると回ってない?」


 「ああ、どうやらその様だ」


 マナの口から零れた言葉にテラが答える。そうなのだ、先程から三人は同じ場所をぐるぐると回っているのである。


 その証拠に、白い壁には黄色いテープが貼られていた。道中、念の為にとテラが貼っておいた物である。


 ソレが目の前の壁に貼られていると言う事は、三人は同じ場所を回っている事になる。


 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 先程から、ドラコは黙り込んだまま何も言わない。心なしか、目も据わってきている。


 どうやらかなりイライラしているらしい。


 「・・・・・・・・・恐らく、空間そのものが歪んでいるんだろう。城そのものが恐らくは外敵を迷わせる為の魔術が掛かっているんだろう」


 「じゃあ、どうやってこの城を攻略するの?」


 「しゃらくさい。そんなもの城ごと吹き飛ばせば良いだけではないか!!!」


 「「!?」」


 テラとマナが話している所に突然、先程まで黙っていたドラコが割って入って来た。


 その言葉に二人はぎょっとする。


 ドラコは徐に片手を天に掲げる。すると、その掌に突如魔法円、光のサークルが出現する。


 キーンと金属音の様な音が響くと共に、その魔法円に膨大なエネルギーが収束していく。


 これは拙い。そう思い、テラがマナに覆い被さると同時にドラコが呟いた。


 『ドラゴンブレス』


 それは、まさしく全てを打ち滅ぼす閃光だった。


 天を貫く一条の閃光と共に城は瞬く間に吹き飛び、消し飛んだ。後に残ったのは迷いの城だった残骸と、テラとマナとドラコの三人だけだった。


 「ふう、ようやくスッキリした」


 「スッキリした、じゃねえよ」


 爽やかな笑顔で額の汗を拭うドラコにテラは静かにツッコム。


 そう、これが迷いの城から脱出する為のもう一つの方法―――


 城を丸ごと破壊する、である。

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