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最弱の不死者<イモータル>  作者: ネツアッハ=ソフ
不死身の男
14/52

番外3 ある日の風景

何気ない日常です。

 ある日の朝、マナはテラを起こす為にテラの部屋へと来ていた。


 テラは朝に弱い為、偶にマナが起こしに来るのだ。


 何故、姫君であるマナがテラを起こしに来るのか?それはアルフレッドが原因だ。


 マナのテラに対する恋心を察したアルフレッドが色々と手回ししたのだ。ようするに、いつもの悪戯である。


 閑話休題―――


 マナは部屋のドアをノックする。・・・何の反応も無い。


 もう一度ノックするが、やはり何の反応も無い。


 ドアを少しだけ開けて中を覗いてみる。


 「・・・・・・・・・へっ?」


 中には誰も居なかった。部屋の中に入ってみるも、中に誰一人として居なかったのである。


 呆然とするマナは机の上にメモが置いてあるのを見つける。


 それを手に取り、読んでみる。


 ―少し出掛けてきます。探さないで下さい―


 余りにも簡潔なその言葉に、またしばらく呆然とするのだった。






 一方その頃、テラは商業区の大通りを歩いていた。


 今回、何故皆に黙って王城を抜け出したのか。それはサプライズの為である。


 マナにサプライズでプレゼントを渡そうと思ったのだ。


 理由は只なんとなくである。


 (さて、一体何を買おう?)


 プレゼントを何にするか迷っていると、テラに声を掛けて来る者が居た。


 「あれ?テラさんじゃないですか。今日はどうしたんですか?」


 声を掛けて来たのはレイラだった。今日は一人なのか、他の二人の姿がなかった。


 テラは首を傾げる。


 「君こそどうした?他の二人が居ないみたいだけど・・・」


 「いや、私たちだって何時も一緒に居る訳じゃないですよ?」


 それもそうかとテラは納得する。どうやら三人が何時も一緒というイメージが出来ていたらしい。


 脳内で修正しておく。


 「で、今日はどうしたんです?」


 レイラは実に興味深そうに尋ねて来る。


 思わずテラは苦笑する。


 「いや、マナにサプライズでプレゼントを贈ろうとね・・・」


 「へえっ」


 レイラは意味ありげににやりと笑った。


 その笑みに、テラは冷や汗をかく。


 「ねえ、テラさん?私、プレゼントに良い店を知ってるんだけど」


 「は、はあ・・・」


 結局、テラはレイラからその店の情報を買う事になった。レイラはほくほくとした顔で金貨一枚を握りしめ、帰って行った。


 ・・・・・・・・・


 町の一角にある宝石店。其処にテラは来ていた。


 琥珀、瑪瑙、ターコイズ、ラピスラズリ―――


 その他にもこの世界固有の宝石もあるようで、テラの見た事のない宝石が幾つか紛れていた。


 その中の一つに目が留まる。


 「店主、この宝石は?」


 「はい、こちらは永久石アースと言いまして、石言葉は永遠の愛、或いは不変を意味してます」


 様々な色が幾重にも折り重なった綺麗な楕円形の宝石だった。


 イメージで言うと、楕円形の石にオーロラが入っている感じだろうか。


 そんな幻想的な美しさがあるのだ。


 「うん、これを買おう。店主、これ幾ら?」


 「金貨八枚になります」


 テラは即金で金貨を八枚支払った。


 ・・・・・・・・・


 テラは次に小さなフラワーショップに来ていた。


 「ひゃっほー!お客さんは元気かい?私は元気さ!!」


 なんかとてつもなく元気な小娘が店主をやっていた。軽く引いた。


 とまあそれはさておき、目の前には色とりどりの花があった。


 テラの知っている花から全く知らない花まで、色々な種類がある。


 「何だい何だい?彼女さんへのプレゼント?」


 「え、ええ・・・。彼女じゃないですけど、女性へのプレゼントですかね?」


 元気すぎる店主のテンションに、若干押される。この店主、ノリノリすぎる。


 少し疲れて来たテラに店主は言った。


 「そんな君に有益な情報をあげよう!此処王都から東に少し歩いた所に綺麗な花園があるよ!!」


 「そ、そうか・・・」


 終始、テラは店主のテンションに圧倒されていた。


 その後、テラは店主に情報料として銀貨一枚を渡し、店を出る。


 「彼女さんによろしくねえーっ!!」


 「だから彼女じゃないって・・・」


 テラはがっくりと肩を落とす。






 王都の東、徒歩で三十分の所にその花園はあった。


 色とりどりの花が咲き乱れていて、とても綺麗だ。思わずテラはその光景に見蕩れた。


 何時かマナと一緒に此処に来たい。純粋にそう思った。


 そんなテラの背後から聞き覚えのある声が聞こえて来た。


 「テラ!ようやく見付けたっ!!」


 「マナ?」


 其処には涙目のマナが居た。テラを探し回ったせいか、少し息を切らし、服も少し汚れている。


 「マナ、どうして此処に?」


 「どうして、じゃないです。心配したんですよ?」


 メモを見たマナはその後しばらく呆然とした後、急に不安になったのだ。


 このままテラが出て行ったっきり帰って来ないのではないかと。それで今までずっとテラを探し続けていたという。


 話を聞いたテラは思わず苦笑する。


 「大丈夫だよ、マナ。僕は何処にも行かないから。それよりも見てごらん、この景色を」


 「えっ?・・・わあ」


 マナの目に綺麗な花園の景色が映った。


 「綺麗・・・」


 「・・・・・・・・・うん、此処で渡そう」


 何かを決意したのか、テラは懐から何かを取り出した。


 花園に見蕩れているマナはそれに気が付かない。


 「マナ」


 「はい、何ですか?」


 此方に振り返るマナにテラは宝石店で買った宝石を渡す。


 「・・・・・・・・・え?」


 「本当は花を添えて渡したかったんだけどね・・・」


 そう言って、照れ臭そうに頬を掻く。


 その言葉の意味を理解したマナは感極まってテラに抱き付いた。


 「!?」


 「テラ、ありがとう!凄く嬉しいです!!」


 マナは余りの嬉しさに泣きながらテラに礼を言う。


 テラのサプライズはこうして成功したのだった。

不器用な男の不器用なプレゼント。

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