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大虎、小虎

「山南さん、今日も一日暑かったですね。こんな日はまた一緒にお蕎麦食べたくなるなぁ」


 月明かりの下、タライに張ったぬるま湯に手拭いを浸し固く絞った更紗は、目を閉じたままの山南の顔を優しく拭う。



「たくさん汗かいたでしょう。次は右腕を拭いていきますね。熱かったら言って下さいね」


 反応のない温かな腕に触れ、着物の袖を捲り上げる。丁寧に拭き上げると、その手を布団の中へ入れ込んだ。


 行灯の明かりを頼りに、様子を見ていた藤堂が訝しげな顔つきを浮かべる。



「……意識ねぇ山南さんに話し掛けてもしょうがなくねぇか?」


「そんなことないです。声をかけて手を握ったり体をさすったりだとか、安心感を与える働きかけをすると、刺激を受けて目覚める時があるんですよ」



 タライに浸した手拭いは水の中で踊るように広がっていく。女の横で胡坐をかいて座る永倉が溜め息を零した。



「……たく本人は生きるか死ぬかの瀬戸際にいるっつうのに、近藤さんは己の手柄みてぇに会津に良い顔してよ……」


「新八、そろそろ止めとけよ。近藤さんだって顔で笑って心で泣いてだ。辛ぇに決まってんだろうが」


「そうですよ。近藤先生の人の良さは分かってるでしょう? 先生を悪く言うなら、たとえ永倉さんでも私は許しませんよ」



 永倉のボヤきに原田と沖田が立て続けに反論する。更紗は、口を出さないでいた。差し込んでいた月光が雲に遮られ、暗く、重苦しい沈黙が辺りを支配する。



 山南が意識不明になって早二日、依然として目覚める様子は見られない。


 そんな切迫した状況下で、肥後守松平容保公が不逞浪士討伐の功績を買ってくれた。労いの意を込めて山南敬助へ金八両が授けられることが決まったのである。


 そのため今宵も近藤と土方は会津藩への挨拶回りで花街へと繰り出していた。命を賭した功労者を置き去りにした二人の対応に永倉は納得がいかないようだ。


「俺ァ今からもう一人の先生の所へ行ってくるぜ。誰かさんよりよっぽど壬生浪士組の未来を考えておられるんでな」



 言葉の刃が落とされた部屋へ再び月光が差し込む。山南の顔を青白く照らしていた。



「助太刀したのに山南さんを助けられなくて、半ばヤケになっちまってんだ。大目に見てやろうぜ。さて……俺たちも息抜きに飲みに行くか」


「……ええ!? この状況で飲みに行くの?」


「いいじゃねぇか! ぱっつぁんだって、ああやって文句垂れつつ飲みやがるんだろう。他に付いてくる奴ァ……?」


 原田にせっつかれた藤堂が渋々立ち上がる。その場に座っていた更紗、沖田、愛次郎は苦笑いで首を横に振った。



「ほんと……左之さんは相変わらずだなぁ。でも、助かりました。あのままだったら、新八さんと喧嘩になってましたし」


 名残惜しそうに部屋を去る藤堂の後ろ姿を見送る。小さく呟く沖田へ視線を向けた更紗は、彼の中に燻る複雑な感情を読み取っていた。


 近藤の悪口はどうしたって許せないらしい。この二日、不満を口にする永倉と衝突しそうになるたびに、その間に入ってくれるのは、まさかの原田であった。


 ガサツで助平な伊達男は、試衛館組の緩衝材だ。デリカシーのない彼の裏側には、いざという時に発揮される気遣いが隠れていた。



「佐々木君、身内の小競り合いを見せてしまって悪かったね。いつもはこんなでは無いんだけど……」


「……あ、いえ。私こそ何だかすみません……」



 幹部たちの感情のズレを目の当たりにした愛次郎は、居心地悪そうに言葉を濁す。


 襖の向こう側では、見知らぬ泊まり客がどうにもならない苦情を女中へぶつけている。

 

 壬生浪士組とおよそ三ヶ月の時を過ごし、更紗なりに気づいたのは、この集団は全く統一性の無い烏合の衆であること。何をするにもバラバラで、足並みが揃わないのだ。


 試衛館組でも内輪揉めするのに、芹沢派とまとまるのは困難を極めている。必要以上に話さないし、同じ部屋で過ごすこともない。男たちの協調性は今から育めるものなのだろうか。


(……土方さんは芹沢先生に声かけたりしてるけど。一人では限度があるもんなぁ……)



 包帯が巻かれている左手をそっと撫でる。血が通っているから温かい。更紗は唯一、その助けができそうな男へ優しく話しかけた。



「山南さんがいてくれないと、浪士組は大変なことになっちゃうから……早く起きて知恵を貸して下さいね」


「……そうですよ。あの日、更紗さんに傘を買うって約束したんだから、買いに行かないと……ですよね?」



 愛次郎は山南の前で屈むと、少し照れたような表情で怪我をしていない右腕をさすった。



「……こんな感じでいいでしょうか?」


「はい! 十分です。ちゃんと山南さんに伝わってると思います。ありがとうございます」


「いえ、更紗さんはいつも気丈に振舞われて尊敬します。なかなか出来るものでは無いから」


「私、少し前まで母の看病をしていたので……気丈というより、慣れかもしれません」


「それが慣れであったとしても……山南さんに対する更紗さんの思いは伝わってきていますよ」


 

 ニコリと笑みを浮かべた愛次郎は、更紗を優しく見つめる。山南へお辞儀をした。



「では、私はこれにて失礼します。また明日の朝に伺います」


「はい、また明日待ってますね」


「佐々木君、見舞いありがとう。また明日お願いします。山南さんも喜びます」



 更紗と沖田を見た愛次郎は、畳に手を付き頭を垂れると、刀を手に取り部屋を後にした。


 湿った夜風がほんの少し吹き込めば、更紗と沖田と山南しかいない部屋に逆戻りだ。静かな時間がまたやってくる。


 あの日以来、沖田は山南の傍を離れようとしなかった。


 彼がずっと悔やんでいるのは、好きでもない遊郭に行ったせいで、山南を自らの手で助けられなかったこと。


 沖田総司は、特定の人物への愛情が強いようだ。彼にとって近藤勇が一番。その次に大事な存在は、山南なのだろう。


 鼻を啜り始めた青年へ近づいた更紗は、優しく背を撫でる。いつからか二人きりになると、沖田は我慢せずに涙を見せるようになった。


 その悲しみは手に取るように分かる。母を看取るまで片時も離れずにいた過去の自分を見ているような、不思議な気分だった。



「……なぁ、更紗」


「……はい」


「山南さんは……助かるんだよな?」



 昨日も沖田に同じことを聞かれた。更紗は返答に困る。何と伝えるのが正解なのだろう。


 単純に不安を払拭してほしいのか。それとも、未来の結果を教えてほしいのか。


 山南の腕の怪我が史実通りなのか、答えを知る術はない。でも、この世界にいるはずのない未来の女が傍にいたことで、何らかの影響が出た可能性も否定はできない。


 何が必然で何が偶然かも分からない状態の中で、もがき苦しんでいるのは自分も同じ。



「そんなの当たり前じゃないですか。山南さんは必ず良くなります」


 更紗は自分にも言い聞かせるように、凛とした声を響かせた。沖田は目元に涙を滲ませ、頷く。そして、ゆっくりと身を屈めた。


「……御免、少しの間だけ……」



 男の結わえた髪が女の肌に触れる。夏の夜にも負けぬ熱がその身体を包み込んだ。


 首に絡められた逞しい腕の力は優しかった。沖田は上半身を猫のように丸めて、甘えるように寄り添ってくる。いつもと違う姿に、胸がトクトクと早く打ち始める。


 清らかな顔が肩へ預けられ、更紗は一瞬身を強張らせる。でも、それ以上は何もするつもりがないことを悟ると、黙ってその背を撫でた。


 沖田の女性に対しての態度は一貫している。必要以上に、関係を深めようとはしない。更紗は楽しく会話をしていても、見えない壁を作られていることは感じていた。


 そんな男があえて弱さを見せてくるのは、それほどまでに心が限界なのだろう。


 どこからともなく聞こえる三味線の音が静寂を彩っていく。目を閉じて一曲聞き終えた時、スッと襖が開いた気配がした。



「……失敬。出直し致す」


 更紗は声のするほうへ顔を向けた。少し面食らった斎藤が自分たちを見入っている。


 苦笑いを浮かべた更紗は、沖田の背に回していた手を上げて咄嗟に手招きした。


「……あ、えっと、大丈夫ですよ。どうぞ中へ」



 抱き寄せられている更紗を見つめた斎藤は訝しげに目を細めた。パッと身を離した沖田が気まずそうに立ち上がった。


「ちょっと肩借りただけだから。顔を洗ってきます」



 沖田は足早に斎藤の横をすり抜け、部屋を出て行った。斎藤と二人きりで話したことはない。妙な沈黙に包まれ、更紗の胸がざわつく。


(……どうしよう……勘違いされたかな)


 

 何とも微妙な空気が流れる中、斎藤は大刀を抜き取り、山南の近くの壁際へ座り込んだ。



「沖田を慰めていた事は分かっている。気にするものでは無い」


「……あ、はい」



 思いの外さっぱりとした斎藤の対応に更紗は拍子抜けした。誤解されていないなら、よかった。ただ、事情を理解しているということは、いつから廊下にいたのだろうか。


(……もしかして、こっそり見られてた?)



 斎藤一は両方の派閥に属している不思議な少年だ。芹沢にも、近藤にも可愛がられている。


 端から見れば必要最低限の人付き合いしかしていないように見える。ただ、なぜか事件が勃発する場に居合わせることが多かった。



「もう直ぐ人が来る。看病は交代して、少し休んだらどうだ……顔色が悪い」


「……え、」


「────おや、更紗と一しかいないのか。総司はどこへ行った?」


「あ、源さんお帰りなさい。沖田さんはお風呂か井戸だと思います」


「ただいま。じゃあ、戻ってきたら皆で食べよう。最中とみたらし団子を買ってきたよ」



 開け放たれていた部屋に入り、にこやかに笑う井上は、額に汗をかいていた。夜になっても、まだ大坂の町は暑いようだ。


 沖田の元気がなくなってから、井上は日に何度か差し入れを買ってきてくれる。安易に慰めたりはしない。ただ、口から少しでも元気になれるように動いてくれた。


 試衛館組を陰で支える立役者は井上だろう。その信頼は揺るがない。



「山南さんは俺が見とくから、更紗は横になりなさい。あまり寝られてないだろう」


「ありがとうございます。じゃあ、寝る前に……お風呂に入ってきていいですか?」


「ああ、ゆっくり浸かってきなさい。今日の疲れは明日に持ち越しちゃいかんよ」


 

 優しく諭してくれる井上に頷いて見せた更紗は、昼食以降、休まず山南の看病をしていたことに気づく。気が滅入っているせいか、夜食もあまり食べられなかった。


 人に指摘されるほど疲れた顔をしているのはよくない。疲れているのは皆一緒だ。


「……それにしても斎藤さん、すごいなぁ。なんで源さんが来るって分かったんだろ。耳がすごくいいのかな」



 月明かりの下、酒樽に張られた湯に浸かった更紗は目を閉じた。張り詰めていた身体から力を抜いていく。


「……斎藤さんって、どんな人なんだろう? もう少し歴史で注目すればよかった……」



 沈めていた肢体を持ち上げる。指先から滴る雫が再び揺蕩う湯船へと溶け込んだ。


 大坂に滞在する時、風呂は一人になれる唯一の場所だ。深呼吸をした更紗は、風呂場の隅で素肌に浴衣を羽織って、帯を適当に締める。


 少し気分が優れなかった。気が抜けたからか、看病の疲れがどっと出てくる。


 いつもより着崩した格好で手団扇をした。山南の部屋に戻るか、広間で仮眠するか考えながら廊下を歩き始めた刹那────。


「しつこいなぁ! うちは解かへん言うてるやろ!!」



 廊下中に響き渡ったのは、ヒステリック気味に女が喚き散らす声。


 不穏な空気を感じたのは自分だけではなかった。襖が開けられ、泊まり客が顔を出して様子を伺っている。そういえば、さっきも怒っていた客がいた。女中仕事は大変そうだ。


 男女の揉めている声が次第に大きくなる。半ば開いた襖の向こうからだ。これは、間違いなく修羅場。自分には無関係だが、一度芽生えてしまった好奇心は……。


(火事と喧嘩は江戸の花だっけ……大坂も江戸もきっと大差ないよね)



 手拭いをフワリと頭に被せた更紗は、明かりと罵声の漏れる部屋へ向かってゆっくりと歩みを進める。通り過ぎるだけ、ただ、横を通り過ぎるだけだ。


 次の瞬間、鋭い眼光に視線を絡めとられる。獲物を見つけたように目が光った気がした。



「碧目か。丁度良い所に来たな、入れ」


 地を這うような、しゃがれた低い声。もう、トラウマになっていた。更紗は身体に鎖を巻かれたかの如く、その場から一歩も動けなくなる。


 できる限りその目に映らないようにと、細心の注意を払って生活してきたのに。


 万事休す────、性急に張り詰める鼓動が今すぐ逃げろと自分に訴えてくる。



「お前も儂を怒らせたいのか……おい! 中へ入れと言うのが、聞こえんのか!! 」


 檻の中の獣が吠えるような怒号。湯あたりなのか何なのか分からない眩暈が襲ってくる。悪寒が背筋を駆け巡っても、もう逃げられない。


 踏み入れた暗い室内で、芹沢は凄みのある顔を赤らめていた。これはかなり飲んでいる。大虎だ。逆にその隣の永倉は狼狽を匂わせ、青白かった。そして、末席には二人の女が腰の引けた正座をしている。



「……ほう、素人のほうが、仕事の意味を分かっているようだな。滑稽なもんよ」


 一人で笑い出した芹沢から、いつもの品は感じられない。盃を煽りながら、自分を眺めてくる。じっと見られるのは、八木邸で首を絞められた以来かもしれない。


 怖くなった更紗は、手拭いを肩にかけて、緩めていた合わせをそっと隠した。



「今から土方のもとへ行くのか」


「……違います」


「まぁ、いい。碧目から小寅に諭してくれるか。商売女がどうやって客を楽しませるものなのか」



 芹沢が顎を動かして指示する。更紗は華やかな着物を身にまとった芸妓を見た。勇気のある女性だと思った。露骨に嫌悪感を出して芹沢を睨みつけている。


 彼女たちは宴会を開くために京屋へ呼ばれたのだろう。三味線や扇子が畳に置かれていた。ただ、横柄な芹沢のことだ。嫌なことを言われて怒っているのに違いない。


 並べられた二つの膳は、恐らく芹沢と永倉のために用意されたもの。転がっている竹筒は飲み干した酒だ。どうみても四人で酒宴を開いている最中のはず。



「……えっと、私は何をすれば」


「うちは体を売る娼妓やなくて芸を売る芸妓や! 生業を終えたら帰らせてもらいます」



 更紗の声を消し去るように、美しい芸妓は今にも噛みつく勢いで言葉を吐き捨てた。



「玄人がカマトトぶるな。客の部屋に泊まる事はあるだろう」


「それは……きちんと花代を払うてくれる、男気のある御人だけです」


「ツケで飲んでいる事が気に食わんのか。ならば今、全て払ってやる」


「……せやったら……お鹿が帯を解くなら、うちも解きます」


「姐さん、殺生なぁ。うちは付き添いで来ただけ、もう見世に戻らんとあかへんし……」



 女髷を艶っぽく結わえた小寅に比べて、お鹿と呼ばれた女性は、簪も着物の柄も控えめだ。芸妓ではないのかもしれない。ただ、所作が美しく、妙な色気があった。


 そして、女たちの話し合いはまとまらない。一人立ったままでいる更紗は困り顔で永倉を見つめた。申し訳なさそうに顔の前で小さく手を合わせるばかりだ。



「……これが天下の吉田屋お抱えの妓とは。底が知れたか」


 ヒュイ、と振り下ろされた鉄扇が膳を直撃し、酒器の破片が飛び散る。白い行灯が酒で濡れた。

 

 立ち上がった芹沢は破片を踏みながら歩いてくる。更紗はぎょっとした顔でそれを見た。冴え冴えとした双眸が目前まで迫ると、あの日のように腕をグッと掴んできて────



「今宵はお前でいい。永倉、売女は廓に戻してやれ」


「先生! 更紗に手を出すのはご容赦を……!! 直ぐに女郎を見繕いますゆえ!!」


「碧目、帯を解け。お前なら容易いだろう」


「……そういうことは、お断りします」



 更紗はようやく事態の深刻さを理解した。握り締められた腕をひらりと返すと後退っていく。このまま二人きりにされたら、大変な目に遭うどころじゃ済まない。

 


「儂に回してもいいと言っておったからな。永倉、会津に現を抜かす土方へ伝えてこい。碧目を一晩拝借するとな」


「先生!! 尽忠報国の士として夷狄を抱くなど、悪いご冗談は……!」


「異人の血が入った女の味は、どんなものか。お前には教えてやろう」


「先生!! それだけは承知できません!!!」



 まさに我武者羅だった。更紗と芹沢の間に割り込んだ永倉は、素手で獰猛な獣に飛びついていた。その頭に鉄扇が振り下ろされる。女たちから悲鳴が上がった。


「更紗……! お前は部屋を出ろ……!! 総司のとこまで走れ……!」



 殴られて顔に血が滲んでも、永倉は力を緩めなかった。力士のように芹沢を強く押した。更紗は永倉と組み合う芹沢を睨みつける。わなわなと湧き上がる怒りが口から零れた。



「……お金や暴力で手に入ると思ったら大間違いだし……魅力を感じるわけない」


「……それは、浪士組筆頭局長に向けての言葉か。女の分際で無礼千万!!」



 窪んだ眼を細めた芹沢は、途端に足下の膳を蹴り上げた。皿の料理が宙を舞い、嫌な音を立てて畳に落ちる。床の間にあった壺を鉄扇で叩き割ると、掛け軸を破り捨てた。



「芹沢先生、どうか! 何卒お収め下さい!!」


「我が面目に泥を塗りおった女は全員斬る!!! 永倉、退け!!」



 鞘に手をかける怪物を見た小寅とお鹿はとうとう泣き出し、ガタガタと震えていた。


 更紗は、この世の終わりを見た気がした。余計な一言は身を滅ぼす────。せめて彼女たちはここから逃がそうと、二人を守るように立ちはだかる。


「……立てますか? 一緒に部屋を出ましょう」



 綺麗に灯る行灯の先では、破壊された物が散らばっていた。荒れ狂う一人の侍の姿を、淡褐色の瞳は逸らさず、ただ睨み続けた。

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