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目の前で大喜利大会が開かれている。
「スーパーすごいカッコイイせんぷうきゃく!」
「蠅切り。」
「愛のマジカルマジック!」
「大鉾裂……貫通……?」
「一刀両断一網打尽!」
「一刀両断しながらも一網打尽が出来る技はないかと思います、八坂刀売神様。」
ロボ丸が、すっげぇ美人に物申している。
神様?建御名方様と仲良く隣に並んでソファーに座っていらっしゃるということは、もしや噂の奥様か?
うちのリビングで楽しそうにワイワイやっている中に(仮)の野郎がいないことがちょっと、ほんのちょっとだけ変な感じがした。
すっげぇ美人がロボ丸に口の端をすこしだけ上げて答えた。
「あとで見せれば良いのだろう?必殺技とやらを。
それよりも其方の蠅切りとはなんだ。
小虫しか切れぬなど、必殺技には程遠い。」
ワンコロが目を見開いてロボ丸を責める。
「カッコイイ必殺技って言ったよねぇ!
ハエって虫のハエだったの?!
早く切るからハエギリかと思ったのに!
ひどい!」
そうかそうか。
大喜利大会じゃなくて必殺技大会だったのか。
センスが酷すぎて勘違いしたぞ。
「飛んでいる蠅だろうが止まっている蠅だろうが叩くのすら難しいからな。
蠅を切れるのはすごい技だと思うぞ。」
ロボ丸に助け舟を出してやる。
ロボ丸は得意そうな顔で、
「そうですとも。私の尊敬する本多忠勝様の御愛用されていた槍は飛んでいる蜻蛉が槍に触れただけで真っ二つに切れてしまったという銘槍『蜻蛉切』でございます。
そこからインスピレーションを頂き『蠅切り』といたしました。
もちろん、私の槍で飛んでいる蠅を真っ二つにしたことから由来しております。」
と胸を張って主張しながら続ける。
「それよりも、建御名方様の『大鉾裂貫通』とはどういったものでしょうか?
先日お受け取りになられた武器は刀でございます。
しかし、必殺技名に鉾の名前がございます。
鉾とは槍の祖。刀を鉾のようにお使いになられるのでしょうか?」
ぐぬぬ、と言いたげなお顔をされた建御名方様が小さな声でこういうのは苦手なのだとぶつぶつ言っていらっしゃる。
すっげぇ美人が代わりに答える。
「昔は鉾を使っておったからな、昔からの必殺技じゃ。。
刀を鉾のように使っては一度きりしか使えまい。
それこそ必殺技じゃ。
それはそうと、『愛のマジカルマジック』とはかわいいのう。
どんな必殺技か見てみたいものじゃ。」
すっげぇ美人は頭の回転もすっげぇみたいでロボ丸とためを張っている。
そして俺もロッテの必殺技『愛のマジカルマジック』が気になっていた。
やっぱり女の子だから恋する年頃なのかな。
おじさんはちょっとさみしいぞ。
ロッテは真っ赤な顔で両手を胸の前で振りながら思いっきり否定する。
「ワンコロが必殺技のお名前を考えようって言ったから、
なんとなく浮かんできちゃっただけで。
まだ技は作っていません!」
えっ?!
必殺技を作っていないのに名前を考えていたのか?!
さすがワンコロ、斬新だ。
いや、もしかしたら建御名方様|カップルは必殺技があるみたいだからワンコロも必殺技を考えた後なのかもしれない。
俺は聴いてみた。
「ワンコロの必殺技はどんな技なんだ?
めちゃくちゃすごそうだが。」
旋風却っていうのは足を使う技だぞ。
ワンコロはしっぽをブンブン振って答えてくれた。
「まだ考えていないの!
でもとってもすてきなお名前だよねぇ!」
なんだろう、この感じ。
ワンコロだから許されるこの緩さ。
(仮)のこともジェイコブ兄さんのとこの壁周辺のこともどうでも良くなるこの緩さ。
なんだか元気が出てくるなぁ。
ケサランも杉玉もさすがワンコロ様と大絶賛している。
「じゃあ、みんなで必殺技のお披露目会として魔獣狩りにでも行くか!」




