38-2
異変を感じてくれたのか、いつの間にかロボ丸が俺の|そばに立っていた。
「(仮)に攻撃された。」
ロボ丸は割れた窓の方向を見ながら俺に手を差し伸べて立たせてくれた。
そして俺の身体を上から下まで見たあと、ロボ丸は俺のガラスで傷つけられた細かい傷を一瞬で塞いでくれた。
「助かる。」
俺たちが割れた窓の方に向き直ると、ゆっくりと空を飛びながら(仮)が降りてきた。
すとんっと地面に降りると、(仮)は言った。
「二対一とは分が悪いね。」
(仮)は口元だけにこっと笑う。
(仮)の足元に魔方陣が浮かんだ、おそらく転移用の魔方陣だ。
そのまま、すっと(仮)は姿を消した。
もしかしたら急に背後から現れるかもしれない。
検知魔法で探索しようとしたときに思い出した。
「隠ぺいしていた部屋から出る前に検知魔法で調べたんだ。
廊下には誰も居なかったはずなのに、あいつが立っていたんだ。」
検知魔法じゃわからないかもしれない、と俺はロボ丸に言った。
「実は、お伝えするべきだったと今更ながら思います。
カイ様が隠ぺい魔法を掛けられていたお部屋ですが、以前から(仮)様が出入りされていました。
カイ様が私にも秘匿されていたようなので自分から報告するわけにもいかず。
(仮)さまもなにか破損されるわけでもなく、ただお部屋に滞在されていただけでしたのでご報告を控えておりました。
検知魔法に引っかからなかったのは、おそらく何らかのトリガーが発動すると自動的に転移されるようにしたのかもしれません。
カイ様の魔法は繊細で丁寧ですので、カイ様の検知魔法を掻い潜ることは不可能です。
私ももちろん、ワンコロ様ですらできないでしょう。」
そうか、と俺は深く息を吸うとゆっくり吐いた。
魔術師にも見つからないようにと練りに練った隠ぺい魔法を見破られるとは、自分が驕っていたことに腹が立った。
大きく深呼吸をする。
だめだ、腕が怒りで震えている。
自分になのか(仮)になのか、何に怒っているかわからんが自分の気持ちを抑えきれない。
俺は大きく息を吸うと、
「ぜーったい!絶対!許さんからな!
覚悟しておけ!」
と空に向かって吠えた。
ロボ丸が目を閉じ神妙な顔で、その通りでございますとうなずいている。
そんなロボ丸を見ていたらなのか、大声を出したからなのか、ちょっと気持ちが落ちついた。
俺は、ロボ丸ににこっと笑って、
「窓直さなきゃな。」
と言ってロボ丸の肩を叩き歩き出した。




