22-1
ここは……
あの……くうかん。
かれが……
かれは……
かれは、
いつもふらっと現れる。
最初のころはいつもびっくりしていた。
よく同じ方面の依頼で会うことがあって、偶然が続くなんて運命的とこっそり思ったものだった。
一人で任務をこなすより二人で任務をこなした方が効率が良いからという理由で毎回彼に助けてもらった。
そう、彼だったら一人でも二人でも変わらないのにお人好しな彼は私を助けてくれた。
「知っている人がそばにいるのに助けない理由なんてない。」
彼はいつも笑って助けてくれた。
偶然が重なった5回目に私から|パーティ《》を組むことを提案した。
その方が効率が良いからって言ったけれど、本当は彼のことを好きになっていたからかもしれない。
ガサツで強気な私の言葉にも彼は微笑んでくれる。
調査依頼でイシス神殿の地下、大書庫のさらに地中深くに入った時に私が盗掘よけの罠にかかってしまい一晩中二人で暗く狭い穴の中にいたことがある。
情けなくてどうしようもない時も彼は落ち着いていた。
暗くて見えなかったけれど、きっと顔は微笑んでいたと思う。
だってやさしい声で大丈夫って言ってくれた。
他の人だったら困っただろうけれどゆかりとだから楽しいよ、って言ってくれた。
持っていたライトは罠にかかった時に壊してしまったみたいで灯りが点かない。
暗闇で助けも来ないのになんとかするって言ってくれた。
ちょうど悪い時間帯みたいだから人の気配がするまでゆっくり待とうって落ち着かせてくれた。
今度は私が彼を助けなきゃいけないのに、
こんなところから出ないと。
「こんな…ところ?」
腕の中のなにかが動いた気がした。
腕の中に目をやると、ティムがいた。
彼女はたぶんクロヒョウの精霊で私の友達だ。
たぶんというのは、獣の形をしているが魔獣と呼ぶにはとてもきれいな心をしているからだ。
猫か聞いたら違うそうなので、たぶんクロヒョウだ。
なんで彼女を連れて来てしまったのだろう。
こんな目に会うのは私だけで良かったのに。
「ティム、ごめん…。」
ここに来てから時間の流れがおかしい。
思考の伝達速度が極端に落ちている気がする。
更に何度も思考がループしている気がする。
|ブラックホール《》に閉じ込められた?
いや、|ブラックホール《》ならばすべての事象の速度が変わるはずだから思考だけが分離していることはないはず。
ということは|ブラックホール《》とは違う場所にいるのかもしれない。
かもしれない、かもしれない。
仮定の話なぞすっ飛ばしてなんとかしないと。
ティムが弱っている気がする。
早くなんとかしないと。




