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いやぁ、やっぱ違うね!
武人と誉れ高き方の得物は一味違う。
ワンコロの刀も振らせてもらったが、武御名方様の刀の方がなんかできる気がする。
プラシーボ効果というやつがいるかもしれないが、こういうのは思い込んで道を究めた者が勝者だ。
俺は、刀をまっすぐに振り下ろす。
空間を切り裂くように刀が下ろされる。
滑らか過ぎて切り裂く音がしない。
今まで刀を振るたびに音がしていたのは空間に負荷をかけていたからかもしれない。
武御名方様の刀捌きで音がしなかったのは軽く振っているからだと思っていたが、負荷をかけずに空間を切り裂いていたからだったようだ。
ワンコロが俺の太刀筋を見て悔しそうにしている。
いや、お前は存在そのものがチートだからこんなのすぐにできるだろうよ!
武御名方様が俺の太刀筋を見てうなずいている。
どうやら感心しているようだ。
この素晴らしい刀を譲り受けたことに申し訳なく思い、俺は武御名方様に聴いた。
「得物が変わると太刀筋も変わるということを学びました。
馴染んだ刀を俺が譲り受けてもよろしかったのですか?」
「得物の違いで弱くなるのは道を究めていない証拠。
私がこのヒヒイロカネの刀で弱くなるのだとしたら己の修行が足りぬからだよ。
それにな、力というものはあればあるほど良いものだ。
選択の幅が広がる。
私は火が苦手でな。
その点、日属性は私の氷とも相性が良いらしくこんなことができるようになったぞ。」
と、武御名方様は辺りの空気をつめたく凍らせた。
すると、目の前がキラキラと輝きだした。
「ダイヤモンドダスト?」
驚いて武御名方様を見ると笑みを浮かべていた。
「細氷ともいうな。
空気の中の水を凍らせて日の光を当てるとキラキラ虹色に輝く。
ただの戯れだが、心を動かす綺麗な戯れよな。」
大事なものを守りたいという気持ちの前に一緒になって楽しみたいという気持ちがどうしても先にでてしまってな、と微笑む武御名方様と俺とワンコロはいつまでもキラキラを輝く細氷を眺めていた。




