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目の前には武御名方様というそれはそれは大層立派な神様がいらっしゃる。
「お納めください。」
と、俺はあんこ餅の入った重箱を武御名方様にお納めする。
このあんこ餅は俺特製だ。
小豆を一度煮立ったところでゆでこぼしアクをきちんと抜いてある。
コクを出すためにキビ砂糖を使って丁寧に練り上げた粒あんだ。
隠し味にお塩を少々入れることによりお砂糖控えめなのにしっかり甘みを感じる一品になっている。
餅も杵つき餅、ロボ丸が修行でいなかったから苦労したが我ながらおいしくできたと思う。
ワンコロなんて野菜が苦手なのに大根おろしのからみ餅とあんこ餅を交互に何度もおかわりしていた。
いやぁ、なんかおかしいと思っていたんだよなぁ。
刀を作るときに、ナーガの鱗は使わないけれど別の鱗を用意するから使って欲しいだなんていう武人。
しかもワンコロの知り合い。
神様の鱗の代わりになるものを準備できる時点で気が付くべきだった。
ソソウ様からいただいたという鱗は黒く輝いている。
こっそり鑑定したところ土属性のようだ。
これを刀に上手く連動させることができたらと考えると、……やっばい楽しい。
俺のにも欲しいなぁなんて考えていると、さすが神様、伝わったのか
「それが良いものならば追加でもらってこよう。
ミシャグジ様は大変心優しき御方だ。」
重箱のあんこ餅をもしゃもしゃ食べながら武御名方様がおっしゃる。
優しいならもしかして皮ももらえるかな。
鱗を見るとミシャグジ様は蛇の神様みたいだ。
脱皮した皮とかあれば持ち手の部分である柄に巻くのもいいよなぁ。
「こちらの要望通りに作ってもらうのだ、欲しいものがあれば遠慮なく言えばよい。
下緒の部分には私の髪を編んだ紐を使うのも良いだろう。」
武運が上がる加護が付くだろうし、と武御名方様がおっしゃる。
めちゃくちゃ欲しい、個人的にも喉から手が出るほど欲しい。
でも、異空間に収納する予定なので刀を腰に下げるための下緒は必要ないのだ。
まことに遺憾ですが、と断ると異空間に収納する機能は欲しいが居合切りをするためには鞘が必要だと言われ、武御名方様の毛髪を手渡しでいただいた。
最近めちゃくちゃついているのはなんでだ?!
もしかしてロッテからもらったバングルの運上昇の効果が効いているのか!?
ほくほく顔の俺に武御名方様が、
「そなたの手は武人の手だ。
御礼というには及ばないが、よかったらそなたも一緒に修行しないか?
剣の腕を上げてやろう。」
俺は二つ返事で答えた。




