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カイさんが店内でゴーグルをいじりながらロボ丸に問いかけている。
「人間みたいな見た目でロボ丸って名前はそろそろ客が訝しがるだろう。
名前を変えたほうがいいんじゃないか?」
「私、この名前が気に入っているので。」
ロボ丸が頭を振る。
ジェイコブさんとクロエちゃんに別れを告げて私たちはおうちに戻ってきた。
それからカイさんは創作意欲が湧いたみたいでゴーグルを何かにするみたい。
何を作るかはまだ秘密だって言われちゃった。
カイさんとロボ丸はあだ名にしたらとかセカンドネームはなどと押し問答をしている。
スライム樹脂を纏うようになってからロボ丸は一般的にいうイケメンになった。ロボ丸曰く、人間の平均的なパーツを組み合わせてみたみたい。
さわやかそうな男性がロボ丸って言われていたらちょっとだけおかしいかもしれない。
でも、ロボ丸はこの名前がいいみたい。
「この名前はロッテ様がつけてくださった名前です。
それに皆様にロボ丸と呼ばれる喜びも感じています。
今更、名称を変更または追加など不必要で不効率と思われます。」
ロッテ様はご賛同いただけますよね?とロボ丸が私に問いかける。
ロボ丸の言うこともわかるし、カイさんの言うこともわかるんだよね。
どうしようと困っているとカイさんが、
「そもそもロボ丸はロボットだったのに人間になったら客がびっくりするだろう?
噂になったら協会に言い訳できないぞ。」
と面倒ごとにならないためにと説得している。
なのにロボ丸は「最近、人の記憶を蘇らせないように研究いたしました。私に関する記憶について活発に呼び出している部分をスキャンで発見し、その部分に接続する神経細胞へ神経伝達物質が伝わらないようにシナプスの部分を少しだけ弄ることによりロボ丸という名前を聞いてもロボットのロボ丸と認識しないようにしました。」などと難しいことを言ってカイさんの名前を変えてほしい理由は理由にならないと突っぱねる。
カイさんがロボトミーはダメだとかなんとか言っているけれど、難しすぎてどちらが正解かわかんない。
でも、きっとカイさんの言うことが正しいのだろうとロボ丸を説得しようとしたが、
「これは私のわがままです。
人間はわがままを言うものです。
だから私もわがままを言いたいのです。」
とロボ丸が断固として拒否をするものだからカイさんも渋々「施術相手の健康を損ねない程度に」と許してあげていたみたい。
そんなこんなで言い合っている中、カイさんが唐突に「できた」とゴーグルを私に手渡してきた。
その茶色いゴーグルはピンクのガラスが付いていてカッコいいのにかわいくって私好み。
これは?とカイさんに尋ねる。
「ロッテはとっさの防護魔法が苦手だろう?
それに付与魔法をかけて防御力をあげるといいかと思ってな。
ゴーグルだと砂塵などの物理攻撃も防げるから一石二鳥だろ?
人間は視覚で8割ほどの情報を得ているから目がやられるとどうにもならんことが多いからな。
かわいい女の子だし、ピンクの遮光ガラスにしてみた。ピンクの服が似合っていたからいいかと思って。」
カイさんにかわいいって言われちゃった!
それだけで顔が熱くなるのがわかる。
女の子は第六感が優れているとかなんとかいうから無駄だったかもな。って小声でぼそぼそ言うカイさんに「無駄じゃないです」っていうのが精一杯だった。
なんだかふわふわした雰囲気をわざと変えるように、
「これから付与をしようと思うがうまく出来たら試用しに行こう。」
とカイさんが付与魔法のおすすめを聴いてくれた。
なんかうまく言えないけれど私のことを思って作ってくれたことも、私の服を褒めてくれたことも、似合う色を考えてくれたことも、それだけじゃなくなんか全部うれしかった。




