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9-2

ジェイコブ兄さんもようやく目が()めた。

今は(みな)でロボ丸とクロエの作った、油・タンパク質・炭水化物(たんすいかぶつ)三拍子(さんびょうし)がそろった英国式(えいこくしき)ブレックファーストをいただいている。

さすが俺の嫁と言ってうまいうまいと山のようにベイクドビーンズを乗せたトーストを食べているジェイコブ兄さんに、その嫁が二日酔(ふつかよ)いで(もよお)している()()(さら)加速(かそく)させようとしたことを(かしこ)い俺は言わない。

それよりも、変わった女性ばかりが寄ってくるというジェイコブ兄さんの女運(おんなうん)の悪さがヒューマノイドにも影響(えいきょう)することに戦慄(せんりつ)する。

ジェイコブ兄さんは悪い人ではないのになぜかいつも変わった女性と付き合ってしまい、(いま)だに結婚まで(いた)ったことがない。

こんな僻地(へきち)赴任(ふにん)させられているのも魔女の占いで一生独身と出たからだ。

確かにヒューマノイドとは結婚できる法律がこの世界にはまだないからな、と占いの正確さに感心する。

クロエはさわやかな雰囲気(ふんいき)清楚系美人(せいそけいびじん)だ。

クロエを嫁((かり))と呼んでいたら彼女はもちろん結婚もできないだろう。


まあ、本人が幸せならいい。

それよりロッテだ。

いつもおかわりをするはずのロッテがおかわりをしない。

(ひろ)()いでもしておなかが痛いのか?」

と心配になって身体の調子をロッテに(たず)ねる。

真っ赤な顔をしたロッテは大丈夫と答えてロボ丸が…とブツブツ言っているが心配だ。

ここは(たよ)れる大人として、正しい(ひろ)()い(採取(さいしゅ)ともいう)を指導(しどう)してやろうではないか。

「せっかくいつもと違う場所に来たんだ。

昔と変わっていないならこの近くに黒スグリの(しげ)みがあるはずだ。

甘い物が好きなロッテが気に入るような甘酸(あまず)っぱいジャムを一緒に作ろう。」

と俺は提案(ていあん)した。

ワンコロも甘い物一番大好きと言っているがあいつはこの前は肉が一番好きって言っていなかったか?

やっぱり(かしこ)い俺は可愛いワンコロには突っ込まず、もふもふしてやった。


ジェイコブ兄さんはクロエを美しく着飾(きかざ)るために近くの町まで嫁と出かけるという。

嫁((かり))と幸せそうで何よりだ。


俺たちはお弁当を持って黒スグリの(しげ)みを目指して歩みを進める。

大きな(がけ)が目印だったはずだから場所を正確に覚えていなくてもたどり着くはずだ。

小川沿いに歩きながら大きな(がけ)を目指した。


途中、大きな(なまず)のようにヌメヌメとした魔魚が現れたり

(ロッテがびっくりしつつも対応し上手く三枚おろしにした)

魔鳥が現れて苦戦(くせん)したり

(ワンコロも三枚おろしにすると言って出来るわけがない構造(こうぞう)の魔鳥を無理やり三枚にした)

したが些末(さまつ)なことだ。

魔獣の群れにロボ丸がスライム樹脂(じゅし)耐久性(たいきゅうせい)を試したいからと組手(くみて)の練習を始め、

それをみたワンコロが対抗意識(たいこういしき)を燃やして組手(くみて)?を始め、

早く倒して先に進みたかったのにロッテが楽しそうに二人を応援(おうえん)しつつ俺の組手(くみて)を期待するものだから泣く泣く百人組手(ひゃくにんくみて)参戦(さんせん)するはめになった。

ケサランが途中(とちゅう)で体力を回復する魔法を(みな)にかけてくれたのは良い思い出だ。

おかげでもっと組手(くみて)ができるとロボ丸とワンコロが張りきった。(泣き)


そんなこんなで日が高くなるころ大きな(がけ)(ふもと)の黒スグリの(しげ)みにたどり着いた。

ロボ丸の訳の分からない空間魔法を応用して植物の成長を促進(そくしん)し花を咲かせ結実(けつじつ)させる。

理論的(りろんてき)にはすんなりいけると思っていたが意外(いがい)苦戦(くせん)した。

光の照射時間(しょうしゃじかん)花芽(はなめ)形成(けいせい)(うなが)す植物ホルモンの分泌(ぶんぴつ)に関係しているのだが、ものによって感度(かんど)が違うことを考慮(こうりょ)していなかった。

微調整(びちょうせい)に時間がかかってしまいそうだったので、その間に皆にはお弁当をゆっくり食べてもらった。

土魔法で土壌改良(どじょうかいりょう)をしたおかげで大きく甘くなった黒スグリの実を皆で()る。

途中(とちゅう)、実が(くず)れちゃうとかなんとか言い訳しながら甘酸(あまず)っぱい黒スグリの実をデザートに皆でつまみ食いする。

ケサランも白い綿毛に濃紫色をまばらにつけて黒スグリを堪能(たんのう)してるようだった。


順調(じゅんちょう)といえば順調(じゅんちょう)

珍事(ちんじ)があったといえばあった。

適度(てきど)に楽しく適度(てきど)緊張(きんちょう)した(みな)との冒険もジェイコブ兄さんの家に戻ることによって終わりを(むか)えた。



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