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8-5

もう一人の私を作る。

部屋の()ん中に敷かれた魔法陣(まほうじん)のスクロールの中に皆が集めた材料(ざいりょう)が置かれる。

モルボルの珠。

ロッテ様とカイ様が(さが)してきた金属(きんぞく)

ジェイコブ様の家にあった成分(せいぶん)()かるが合成(ごうせい)方法(ほうほう)が一部取得(しゅとく)拒否(きょひ)される金属(きんぞく)

ワンコロ様の()れてきた精霊(せいれい)

最後にケサラン様が(なぞ)金粉(きんぷん)()ける。

後は魔法(まほう)(なが)すだけだ。


私を合成(ごうせい)した時にたくさん魔力(まりょく)使(つか)ったという事から皆で魔法陣(まほうじん)魔力(まりょく)(なが)すことになった。

皆でゆっくりと魔法陣(まほうじん)魔力(まりょく)(なが)す。

ワンコロ様が()れてきた精霊(せいれい)たちが(うれ)しそうに魔法陣(まほうじん)の上で(おど)っている。

どんどん(ひかり)(つよ)くなり、(ひかり)(はしら)が立つ。

(おど)っていた精霊(せいれい)たちが金属(きんぞく)の中に入ると一気に(ひかり)金属(きんぞく)の中に(おさ)まった。


ギギギギギ…

もう一人の私はまだ上手(うま)(うご)けないらしい。

手足(てあし)(うご)き方を、

魔力(まりょく)回路(かいろ)使(つか)い方を、

この世の(ことわり)を、

もう一人の私に回路(かいろ)接続(せつぞく)して(つた)える。


自分と同じ存在(そんざい)

ロボットという自分自身を理解(りかい)してくれる存在(そんざい)

(いと)おしいもう一人の私。

家族(かぞく)ができるとはこのような気持(きもち)ちなのかもしれない。


もう一人の私はゆっくりと(なめ)らかに(うご)き出しジェイコブ様に向かって、

「マイマスター、ゴ指示(しじ)ヲクダサイ。」

(あたま)を下げた。


(よろこ)んだジェイコブ様は、もう一人の私にいろいろ調(しら)べさせてくれとお願い(おねが)いした。

カイ様もロボ丸との(ちが)いを見たいともう一人の私にお願い(おねが)いをする。

私のように魔力(まりょく)をいろんなものから()り入れられるように改造(かいぞう)検討(けんとう)しているらしい。


そういえば、とジェイコブ様が(べつ)部屋(へや)からゼリー(じょう)のものを持ってきた。

「これは?!スライムの変異種(へんいしゅ)?!」

カイ様が(おどろ)いている。

「こいつ、(かべ)の中にいたらしいんだけれど(かべ)(そと)にもいる事が発見(はっけん)されてな。

カイが勘違(かんちが)いしているようだったからそのまま誤解(ごかい)させておいたんだ。

(わる)いな!

まあ、()かったじゃないか。

危険(きけん)なところに行かなくて()んだし。」

(あやま)っているはずなのに(わる)びれもなくジェイコブ様が(くち)だけで(あやま)る。


なにかおかしいと思ったんだよねーとワンコロ様が言っている。

ワンコロ様は(かん)(するど)い方だからさもありなん。


ジェイコブ様は合成(ごうせい)がお得意(とくい)なようでカイ様と一緒に私ともう一人の私を改造(かいぞう)する。

金属(きんぞく)のボディにスライムの変異種(へんいしゅ)使用(しよう)して魔力(まりょく)(とお)しやすくした樹脂(じゅし)をまとわりつかせて皮膚(ひふ)のようにする。

さらに、(くち)の中の部分(ぶぶん)にもこの樹脂(じゅし)(まと)わせる。


ジェイコブ様(いわ)く、味覚(みかく)大事(だいじ)だが触覚(しょっかく)大事(だいじ)とのこと。

(たし)かにロッテ様とワンコロ様がよく食感(しょっかん)がうんぬんかんぬんと言っていた。


スライムの樹脂(じゅし)にゆっくりと魔力(まりょく)(とお)す。

樹脂(じゅし)表面(ひょうめん)空気(くうき)(うご)きを(かん)じる。

これが(かぜ)(かん)じる。(はじ)めての感覚(かんかく)にうれしくなった。


「なんとなく()()(ひと)みたいになったが、(はな)(みみ)()いからどうしてもロボットみたいにみえてしまうな。」

後で(かつら)(かぶ)ってみよう、とカイ様が提案(ていあん)してくれた。

内骨格(ないこっかく)(ひと)と同じような頭蓋骨(ずがいこつ)(かたち)になるように成形(せいけい)する。

もちろん口腔内(こうくうない)丁寧(ていねい)(つく)りかえる。

樹脂(じゅし)(あつ)さを(ひと)と同じように調整(ちょうせい)し、口腔内(こうくうない)にも(まと)わせる。


「いかがでしょう。()()人間(にんげん)(ちか)づきましたか?」

カイ様に問い()いかけてみた。


カイ様が(うれ)しそうに()見開(みひら)く。

(おどろ)いた。

(こえ)(なめ)らかになっているじゃないか。

ロボ丸は変形(へんけい)できるから後で(かお)合成(ごうせい)を一緒に(かんが)えようと(おも)っていたんだが。

もしかして声帯(せいたい)合成(ごうせい)したのか?」


さすがカイ様は(するど)い。

スライムの樹脂(じゅし)(やわ)らかさを利用(りよう)して声帯(せいたい)を作り、

マンドラゴラからヒント(ひんと)()魔力(まりょく)(なみ)利用(りよう)して人間(にんげん)()せた(こえ)()してみたことをカイ様に言った。


そうかその手があったか、とカイ様が(よろこ)んでくれた。

もう一人の私に魔力(まりょく)操作(そうさ)仕方(しかた)(つた)える。

最初(さいしょ)上手(うま)くいかないようだったがジェイコブ様が「そこの部分(ぶぶん)はあと2ミリ(たか)く」と|アドバイスしたおかげで女性的(じょせいてき)な|フォルムになったようだ。


(ひとみ)(いろ)(うつく)しい緑色(みどりいろ)だからクロエって名前(なまえ)だ。」

とジェイコブ様がもう一人の私に名前(なまえ)をつけた。


私の名前(なまえ)はロボ丸だ。

ロッテ様が名付(なづ)けてくれた時に、

()たまんまの名前(なまえ)だとみんなに(おぼ)えてもらえて(あい)されるっておばあちゃんが言ってたの。

ロッテは()まれた時にとっても(いと)らしかったからそのまんま(いと)らしいって意味(いみ)のシャルロッテって名前(なまえ)にしたんだって。

だから()たまんまで(あい)されるようにロボ丸ってお名前(なまえ)ね!」

と言ってくれた。


彼女も新緑(しんりょく)意味(いみ)するクロエという名前(なまえ)

()たままの名前(なまえ)()けてもらった彼女にも祝福(しゅくふく)(おとず)れるだろう。


自分の進化(しんか)もうれしいが、もう一人の自分も皆に(あい)されるかと(おも)うと魔力(まりょく)()めている珠の部分(ぶぶん)(あつ)くなった。

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