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壁の中について行こうと思ったのは私だけではなかったようで、ケサラン様までもがついて行こうとしていたとわかったのは、ワンコロ様がカイ様を抜かした全員で集まった時のことだった。
「なんで悪い人を生かしているのかわかんないけれど、
最悪みんなお空のお星さまにしてしまえばいいと思うの。」
と、ワンコロ様。
「悪いことをしたら反省しなきゃいけないんだよ。
おばあちゃんが言ってたもん。
私たちに悪いことしたら反省してもらえばいいんじゃないかな?」
とロッテ様。
いくら混乱している時だったとはいえ、大量虐殺をしてしまうと残虐非道だと歴史に悪名を刻んでしまうからという理由により壁で隔離をしたという経緯がありますよと伝えると二人は、
「隔離されているから全員お空のお星さまにしてしまってもいいってこと?」
「隔離されているからちょっと力加減を失敗してもバレないってこと?」
と聞いてくる。
よい子の皆さまは分かっていると思いますが、たとえ隔離されていて誰にも見つからなかったとしても人の道から外れたことはしてはいけないという事ですと告げたらお二人とも不思議そうなお顔をしていた。
お天道様が見ているという旧時代から続く日本人の心をお伝えすることはお二人には難しかったようだ。
準備ができたとカイ様がリビングに入ってきた。
今回は転移魔法で兄弟子の所に行くと告げた。
転移用の魔法陣を取り出すと皆に魔法陣の上に乗るように言った。
これは興味深い。
魔法陣をこっそりコピーする。
行先を指定する部分を変更すればどこにでも応用できる優れものの魔法陣のようだ。
魔力を流すと魔法陣を書いた用紙が焼き切れてしまうので一回限りのスクロール。
A0サイズの紙に命一杯大きく正確に描かれた魔法陣がうっすらと輝き出す。
カイ様が魔法陣に魔力を通し始めたようだ。
辺りの景色が揺らぎ始める。
ピカッと辺りが光ったかと思うと強く魔力で押し出されるような感覚がした。
光が消えて目の前には大きな壁と小さな家があった。




