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ちょっと考えさせてくれと言われた2日後、カイ様から提案を受けた。
味覚に関しては味蕾という感覚受容体を通じて電気シグナルで脳に伝達させると。
人間でいう脳の部分(メモリ)に甘い苦いなどをインプットし、感覚受容体から得た情報を選別するようにすれば似た感じになるのではないかと。
つまりは、感覚受容体を私に内蔵できればなんとか成りそうという事だった。
「その感覚受容体の作成にぴったりな魔物が東の方にいてな。
そこに住むスライムは甘いものは捕食するが、苦いものや酸っぱいものは避けるらしい。
悪食で有名なスライムに嗜好性があって最悪だとその周辺を管理している俺の兄弟子が嘆いていたのを思い出したんだ。
いつも世話になっているロボ丸のためだ。
多少長旅にはなるだろうが兄弟子にも久しぶりに会いたいし、ちょっと出かけてこようと思う。」
とカイ様が告げる。
私のためなら私も行きたい。
カイ様の足手まといには決してならないからと連れて行ってくれることをお願いしようとした。
それを遮るかのようにワンコロ様とロッテ様が、
「ワンコロも行く!
楽しい予感がするから絶対行く!」
「私もカイさんがいないと…じゃなくて
楽しい予感がするから行きたいです!」
とカイ様におねだりする。
ワンコロ様とロッテ様にわかったわかったと、
私とケサラン様に同行するかカイ様が尋ねてくれた。
理由なんて特になくても自身の要望を伝えるというのは人間らしい行動だ。
そして、理由がなくても承諾するというのも人間らしい行動だ。
同行したいことに理由をつけて説明しようとしていた自身がロボットらしいとロボ丸は分析してしまった。
実際、楽しいとは思えないだろう。とカイ様が語ってくれた。
カイ様の兄弟子の管理している場所は世界が混ざりあってしまってからできたところだそうだ。
ある時、地面がモザイク状に切り取られ世界が混ざりあってしまった。
混ざってしまったのは地球だけでなく他の星も混ざってしまったというのが最新の研究結果だ。
その世界が混ざってしまった直後の世の中が混乱していたころの話。
モザイク状に切り取られたある国の人たちの住む町の住民が混乱に乗じて、別の国である隣の町の物を強奪するだけでなくもっと恐ろしいことをし始めたそうだ。
秩序のある国に接することができたものは幸運だった。
秩序のない国に接してしまったものには更なる混沌が待っていた。
その秩序のない国の住民たちに腹を立てた一人の魔術師が、土地ごと壁で囲い住民を二度と出られないようにしたそうだ。
秩序のない人はちょうどその壁に囲われた時に不在だった人と言われ、罪を犯してとらえられた場合その壁の中に投げ込まれるようになったと記録されている。
例え何千キロと離れていたところでとらえられたとしても。
壁が出来て100年程経っているのにも関わらず、いまだに投げ込まれる。
情報が完全に遮断されているためインターネットには内部の情報は載っていないが、秩序が無い中で秩序があるようだ。
その壁の中に目的のスライムがいるらしく、カイ様は危険だから壁の中には自分一人で行くと言った。
壁の中の情報をカイ様は持っていないから、なんとしてでも私が一緒についていかねば。
ロボ丸は心に強く誓った。




