7-7
目の前が急に明るくなった。
ぼやけて焦点が合わない。
目に涙を溜めながら顔を歪ませているカイさんの顔が見えた気がした。
村じゃない。
森?
何が本当で何が夢か分からない。
頭が朦朧としている。
くらりと目眩がして頭を押さえて目を閉じる。
喉がヒリヒリと痛い。
どうやらめちゃくちゃ大声で叫んでいたらしい。
ふわりと身体が温かくなって痛みが和らぐ。
落ち着くまで気が付かなかったが、カイさんに抱かれている感触がある。
ドクンと胸が強くはじけた拍子に思わず目を開けてしまった。
カイさんの瞳と視線が合う。
「悪い!抗精神魔法は痛かったか?!
今、回復魔法をかけた!
大丈夫か?」
顔が近い。
ドクンとまた胸が強くはじけた。
胸が詰まって声が出せない。
かろうじて動く頭を軽く上下に振り、大丈夫と伝える。
私を抱きしめていた腕をゆっくりと身体から離し地面に優しく横たえて、カイさんがロボ丸に駆け寄る。
くそっ!と言葉を吐きながらロボ丸に魔法をかけ続ける。
ロボ丸はガガガと音を立てて動かない。
カイさんがぶつぶつ独り言を言いながらいろんな魔法を試している。
回復魔法が効かない。
抗精神魔法が効かない。
解毒魔法が効かない。
魔力の無駄打ちをするな。
考えろ。
ロッテとの違いはなんだ。
ロボット。
回路。
魔力回路。
魔力の流れ。
回路は?
ショートしている!
他には?
くそっ!
全部直したら魔力が足りない。
考えろ!
最小限必要な個所のみの修復は?
それでも魔力が足りない!
バイパスを通してここにつなげれば?
いけるかもしれない!
慌てるな。
慎重に。
バイパスを太くゆっくり繋げる。
ゆっくり。
ロボ丸から不審な音が消えた。
リロード中…回路修復…再リロード中…。
カイさんから不意に出てきた自分の名前に胸の鼓動が早くなって苦しい。
耳の真横に心臓があるみたいだ。
心臓の跳ねる音が大きすぎてよく聞こえない。
多分、ロボ丸が心配だったせい。
ケサランちゃんが近づいて寄り添ってきた。
カイさんに魔法で治してもらってやっと動けるまでに回復したらしい。
ロボ丸の無事を確かめたカイさんが、今度はワンコロに向かって駆け出す。
この大変な時に、身体が熱い。
胸が苦しいのは、
攻撃を受けてしまったからで。
身体が熱いのは、
昔の恥ずかしい黒歴史を夢に見てしまったからでそれ以外の理由じゃない、はず。




