7-3
虫の魔物は小さい個体がたくさん集まって群れを成していた。
ひとつひとつの魔力は小さいが何百と集まっているから厄介だ。
しかも、考え事をしていたせいで3人と離れてしまったようだ。
最近覚えた魔力感知のおかげで、なんとなく近くにいるのはわかる。
でも、ワンコロが入り組んだけもの道を道案内していたせいで目視できない。
泣きそうになりながらロッテは大剣を構えた。
ロッテは不器用だとはっきりと自覚している。
剣も魔法も微調節というのが難しい。
だから、魔物に当たるようにとどんどん剣を大きくしていったら1メートルよりちょっと大きいくらいまでになってしまった。
魔法はなんとなく放つと大変なことになる。
牧草地を丸焼けにしたときは、魔力をほんとにちょっとだけにしたはずだった。
なのに大惨事になってしまってワンコロと二人ではどうしようもなくなっておばあちゃんに泣きついて直してもらった。
おばあちゃんはいない。
自分だけでなんとかしなければいけない。
小さいからひとつひとつへの攻撃は当たらないだろう。
だからといって魔法は放てない。
魔虫の群れが一つにまとまっていたとしても当たるとは限らないし、そもそも魔力の調節が特に戦闘中は難しい。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
その時、
光の網が魔虫の群れを覆った。
「網に巡らせるように魔法をかけろ!
後はなんとかする!」
聞こえた声に応えるようにロッテは魔法をかける。
えぇっと。
光の網だから雷魔法!
光は電気。電気は雷。
光の網の一本一本に魔法を通す。
電気だから本当は早いんだけど、自分が思う光の速さでゆっくりと網に電気が行き渡るように魔法を通す。
網の中で暴れ回る魔虫が大人しくなるまでゆっくり魔法を通した。
ワンコロとロボ丸が光の網で捕獲できなかった個体を倒し終えた頃、光の網の中の魔虫も息絶えた。
カイが心配そうにこちらに寄ってくる。
「ケガや異常はないか?
とりあえず、
何かありそうだったらなんとかするし、
何かあったらなんとかするっていうのはこういうことだ。
適材適所。
俺は火力は弱いが、ロッテの力を最大限に生かす方法はたくさんある。
ただ、今みたいにパーティーが分断しているとなんともできないことが出てくるからな、
お互い気を付けよう。
ワンコロのおかしな技に夢中になってて悪かった。
ロッテも調子が悪いなら早めに伝えてくれ。
調子が悪いやつに合わせるのが基本だ。」
ロッテはこの時なんて答えたか覚えていない。
もしかしたら答えていないのかもしれない。
なんとかなって安心した気持ちと、
頼りにしていてくれたうれしさと、
気にかけてくれていた気恥ずかしさと、
他にもいろいろ、
全部ひっくるめてほわほわした気持ちでロッテの心は温かくなった気がした。




