お願いごと
他月たちは、龍馬のことを許してくれてまたみんなで仲良くなれることができた。
龍馬は、それから両耳の治療に専念した。
『おはよー!体調どう?』
恋華は、携帯を龍馬に見せた。
『俺さ…ちゃんとしゃべ…れてる?』
龍馬が喋っている。
恋華は嬉しかった。
『喋れてる!!』
嬉しくて文字を入力する手が焦っていた。
『自分の声……聴こえないから…わからないけど…』
久しぶりに龍馬の声を聴いた。少し途切れ途切れだけどそんなに違和感はない。
『耳、早く治るといいね』
恋華は携帯を見せて笑うと、龍馬も大きく頷いてくれた。
『治ったら、また一緒にいろんなところ行きたいなぁ…』
恋華はウキウキしていた。
龍馬の両耳が治ったらまた一緒に…
その時だった
『れ………れん…か……!』
家から持ってきたりんごの皮を別室で剥いていると、龍馬の苦しそうな声が聴こえた。その声は嫌な予感をさせた。
『龍馬……!!』
龍馬がベッドの上でうずくまって、震えていた。
『龍馬!!どうしたの!?』
『く……るし………ぃ』
声はかすれていて龍馬は、ベッドのシーツを強く握っていた。
(ナースコール……)
恋華は枕元にあったナースコールを鳴らした。
病院の先生と看護師さんがすぐに駆けつけて、龍馬は別のベッドに移されて治療室に運ばれた。
(お願いだから……!なんでもありませんように……!!)
恋華は治療室の前の椅子に座りながらただただ祈った。
『恋華!』
他月と真姫が走ってこっちに来た。
『れんちゃん…龍馬大丈夫?』
『大丈夫じゃないよ…でも、喋ったの!喋って…それで…』
頭の中は真っ白だった。
『死んじゃ嫌だ…!!』
恋華は今の気持ちをただ2人に伝えた。
『死ぬわけねーだろバカ!自分の彼氏だろ!?自分の彼氏ぐらい信じてやれよ!!』
他月は、恋華の肩をガシッと掴んで恋華に言い聞かせた。
そんな時、治療室から先生が出てきた。
『先生!加藤…』
『加藤さんは、命には至りませんでしたが、とても危険な状態でしたね。加藤さんはたぶん、耳が痛くて薬を飲もうとしたんだと思います。でも前よりも耳の痛みが酷くて頭まで回ったんじゃないかなと思います。たまにいるんですよ。頭が痛くなったのに急に苦しくなって過呼吸になってしまう人。まだこの病気はなんなのかわからないんですけどね。』
『じゃあ、龍馬は大丈夫なんですか…?』
『はい。まぁ頭痛や吐き気や息苦しくなるのはあるとは思うんですけど加藤さんの場合、薬の副作用か耳の影響なので少し気にかけるくらいでナースコールは呼ばなくて大丈夫ですよ。』
『わかりました。』
『加藤さんは、病室にいますので』
『はい…』
病院の先生は、『失礼します』と言って行ってしまった。
『大丈夫だって?』
『うん。よかった…』




