文化祭 ~さん~
『ま、まって』
『早く塩谷、前に進めよー』
うちのクラスのお化け屋敷の設置が終わると、お化け役は中に入ってスタンバイをしなければならない。
暗いところが、大の苦手な恋華にとっては地獄だった。
『誰かー!先に入ってください!』
『塩谷が先に行かなかったら、進まないんだけどー』
その途端恋華の腕を誰がつかんで、中に引きずりこんだ。
まあ、その人は誰かわかるけど。
『龍馬....』
『怖かったら、俺の服千切れるくらい、引張っていいから。』
『まって、例えが....』
といっても、光がない。ほんとにない。
『恋華、立ち位置のテープ何色?』
『水色』
『ここか。俺その先だから。がんばれよ』
『う、うん。』
手汗がやばかった。
お化け屋敷は、うちの教室の前の廊下から始まっている。
けっこう、長い道のり。
トン....トン....
足音が聞こえる。
『きゃぁぁぁぁ!』
『ひぃ!....』
入ってきた人の悲鳴に驚いてしまう。
『かなちゃん....先行ってよ....』
『いやだよ。怖いし』
1年生の子であることは確かだ。
あと少しで、恋華の出番だった。
そして、目の前にきた。
『わぁっ!....』
『............』
『わぁ!....』
『ど、どうも....?』
『お化けだ!....よ?』
『........頑張ってくださいね!』
1年生の子は、走って行ってしまった。
怖くないのか?なんなんだ?おどかすのが下手なのか?
『きゃぁぁぁぁ!』
そんなことを考えていると、また人がきた。
もう少しでくる!
『わぁぁぁ!』
『きゃぁ!........あ、塩谷さん!』
『あ、清水先輩....。』
この方は、委員会でお世話になっている方と、そのお友達さんだった。
『塩谷さんがお化け役って可愛い!』
『え....怖くないですか!?』
『塩谷さん以外の子は、怖いけど塩谷さん可愛くて、怖くないかな(笑)』
『....』
『まぁ、頑張ってね!』
お友達さんと先輩は、行ってしまった。
それから、恋華はがんばった。人を怖がらせることを目標に。
『わぁ!』
『し、塩谷先輩だ///』
『....怖くないの?』
『か、可愛いです!』
『あぁ。ばいばい』
『可愛かったですよおおおお!』
女々しい1年の男子は行った。というか、行かせた。
それか、3時間くらいの戦いは午前の部は終わってしまった。
帰りはなぜか1人で帰れた。
『れんちゃん!今日ね、いろんな人が驚いてくれた!』
『え!?』
真姫でも驚かすことができるのに、なぜ私は1人も驚かすことができないのだろう。
『恋華、どうだった?』
『誰も....怖がってくれなかった。』
『悲しいな。それは』
『俺、すっげー怖がられた』
『俺も』
『声かけ喉枯れるー』
『あ、優也くんおかえり♡』
優也は、真姫の頭を撫でた。
『一緒に屋台でご飯食べない?』
『おお!いいね!』




